「落語ネタの不思議なお話………・片棒」

後継者にするかを決めかねている。そこで大旦那は、ある命題を与えてどのように対応
するかを息子に答えさせて商売に対する姿勢を判断しようとする。
その命題とは、「自分の葬式をどのようにどり行うか。」である。
まずは長男から………
この長男は実に長男という性格でして、堅いのですね。きちっと物事に対応できるの
だけど、程度というものを知らない。というよりやはり見栄っ張りのところがある。
長男は大抵は世間体を気にするタイプが多い。子供の頃から後継者としての意識が
あるから、仕事はできるのだが、内面よりも外面を重視するタイプになる。
その長男の回答……
というような具合で、さすがに大旦那は呆れてしまった。
では次男はどうなのか…………・
次男は責任のないポジションにあるから、自由奔放といえば聞こえがいいが、仕事
よりも遊ぶほうが好きというタイプになりやすい。しっかりものの兄貴の影でこっそり
いい思いをしているのが次男。親の方も余り期待をしていない。だから適当に人生を
送ってしまう。この次男も同様で、花柳界などに出入りするやら、町内の威勢のいい
連中と付き合うやらで放蕩の毎日。したがって、このような回答になってくる。
次男の回答……
でな具合で、これも大旦那には受け入れられない。
さて、最後は三男、末っ子である。
常日頃兄貴連中にいじめられているから、自立心が強くなる。
自分をしっかり守るタイプ。当然ながら金銭には辛い性格になる。
そんな三男の回答やいかに……・
この名案(?)を大変気に入った大旦那。身代を託すのは三男ということに決めた。
ただ一つ問題があるのは、棺桶は二人で担ぐが、片方は三男としてもう片方はと、
思案している三男に向かって、大旦那はこう答えた。
「もう片方は前にまわって自分で担ぐ」…………・とね。
さて、大旦那は一体誰に身代を継がせたのでしょうか?
流れからいうと三男でしょうかね。……
実はこのような人事となったのです。
長男は代表取締役社長、次男は営業担当専務、三男は経理担当常務となった。
元就の三本の矢と同様の人事ではないでしょうか。それぞれの性格に合わせている
でしょう。…・・と、席亭ならこのような人事をするというわけです。