「気の毒な亭主」

「男に生まれて、持ちたい物は金の成る木と良い女房」とはいいますが、金の成る木はべつとして、

良い女房は持ちたいですね。容貌は人並み程度で十分ですよ。一皮剥けば皆同じですから。

気立てが良くて、清潔好きで、やりくり上手。家事は一通りこなす。

そんな女房が最高なのでしょうね。

ここに登場する亭主は、そんな女房とはかけ離れた女を娶ってしまったから、もう大変・・・・・・・・・

御飯も炊けなければ,縫い物もできない。洗濯などまるでだめときている。

どうしてこのような女房をもらったのかは不明。

もっとも、亭主のほうだって威張れたものではない。稼ぎが少ないのだから。男は稼ぎでしょうから。

これがだめとなると、女房には女房の言い分が出てくる。

「あたしに女房らしいことをして欲しかったらもっと稼いで来い!」

これが切り札となって亭主は意気消沈と成り我慢の一手で耐える。

そんな女房が珍しく着物を縫ってやると言い出した。

そんなことできるのかなぁと、じっと見ていた。

するとね、女房は大きな風呂敷を持ってきて広げた。手には鍋の蓋と包丁を持っている。

なにをするのかなぁとさらに覗き込んでいると。

風呂敷の真中当たりに鍋の蓋を置いて、蓋の周りを包丁で切り始めた。

まあ、もったいないと思ったけれど、こんな作り方もひょっとしてあるのかなぁ・・と見ていた。

とうとう風呂敷の中央に大きな穴があいた。

「さぁ。できたから着て御覧なさい。」だって。

「どうやってきるのかなぁ」ていうと

「まぁ。この人は大人の癖に着物の着方を知らないのかい。こうやって着るんだよ。」って。

亭主に風呂敷をかぶせて、真中の穴から頭をださせたのだ。

まるで、てるてる坊主のお化けですよ。これじゃ。

これには驚いた亭主。もうあきれてね、苦笑いしていると。

「まぁ。この人は子供みたいな人だよ。新しい着物を着て喜んでいるんだから。」

だってさ。



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