「胴乱幸助」という人物

上方に在住の人物です。商売は「割り木屋」です。今でいう燃料取り扱い店でしょうか。毎日使うものですから
そんなに値段は高くないけど、ある程度の日当はえられるので、幸助さんは、それなりの身代を築き上げた。
男は生活が安定して商売も目鼻が付くとなると遊びに傾くという人もいるが、逆に人の為になろうという気になる
人もいる。ボランティア精神にいきづくというものでしょう。幸助さんも喧嘩を仲裁するということに関心があった。
町内を歩いて喧嘩を見つけると仲裁に入って手打ちをさせる。このことに無常の喜びを感じるという人でした。
自分の名を売りたいという男として誠によくわかる人物です。「どうらんのこうすけ」と呼びます。
「胴乱」とは今でいうウエストポーチでしょう。勿論、木製ですよ。かごみたいなものを腰につけて歩いていた。
ということでしょうか。
喧嘩の手打ちをするには酒席を設けなくてはなりません。喧嘩した同士を同席させて酒を飲ませて、諌めて、元に
戻す。自分の格で相手をなだめる。威圧することができる・そのパワーを身に付けること。これを望んでいた。
「男を売りたい」ということでしょうね。
こんな幸助さんを当てにして金がないので一杯飲ませてもらおうと考えた輩がいた。昼間から道でぼーっとしている
ような連中ですから。喧嘩の芝居をして幸助さんに止めてもらい、仲裁をしてもらって座敷で一杯戴くという計画を
立てた。幸助さんが近づいてくるのを見計らって喧嘩もどきをはじめた。それ始まったということで幸助さんが
仲裁に入った。
「喧嘩はならんぞ。喧嘩は。やめい。わしの顔をたててやめてもらおうか。」
「こりゃ。割り木屋のおやっさん。」
「ほう。お前たちわしの顔しってるのか。」
「胴乱幸助といって、この辺じゃ有名ですがな。」
「そうか。わしの顔もだいぶ売れてきたようじゃ。よし!ここはわしが仲を取り持って手打ちといってもらう。」
「(待ってました。)どこの店に行きましょ。」
「なんや。お前らからいうことと違うで。」
でな調子でお店の二階で手打ちということになり。後は好きなだけ飲み食いしろといって帰ってしまう。
つけは幸助さんのところにいくということに。
現代でも、こんな人がいたらいいでしょうね。一種のボランティアみたいなものですから。世の中丸く納まるような
気がします。
上方落語には個性の強い人物がでてきますが、幸助さんもその一人ですね。