落語ネタの不思議なお話「鍬潟」

上方落語ですな。落語には荒唐無稽なものもありましてね、「頭山」などはその代表的なものでしょう。
最近、映画の題材になっておりまして、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
「鍬潟」という話も同様でして、極端に小さな男が出てきます。
なにしろ煙盆に手が届かないような身長とかいいますからね。
どうもこれはオーバーですが。そのくらい小柄な男がいたという設定ですな。
この男、身長に対してコンプレックスがありますから、なんとかして大きくなりたいと日頃から思っています。
どうしたものかと相談しておりますと、相撲取りになると体が大きくなるという話を聞き込みます。
江戸相撲には身長が七尺以上ですから、2メートルを越えるという横綱で「雷電」という人がおりましてね、
その反対に身長が四尺余りですから130センチくらいでしょうか、「鍬潟」という力士もいたということ。
実在したかどうかはわかりませんけれど。
ある時この二人を取り組ませてはどうかという話がおきます。体格が余りにも違いますからね、所詮は勝負に
ならないようなものですが、面白いからやらせようということになります。
横綱の方は当然ながら気乗りはしませんよ。はなから立会いにはならないと思うのは当然でしょうな。
それでも断りきれずに引き受けます。
一方、「鍬潟」の方はというと闘志満々ですよ。なにしろここで勝ったら有名になることは間違いないですから。
しかしまともにいったのでは勝ち目がありません。そこで計略を練ります。
どうしたかというと、まずは体に油を塗ってね、それから仕切り直しを百回くらいしたという。狙いは雷電の足腰を
疲れさせることですな。そうしてようやく立ち上がります。まともにぶつかったら弾き飛ばされますからね、
なんと土俵際に後退して俵に足をかけます。
雷電のほうはなんとかして捕まえようとします。が、油で滑ってうまくいかない。
そのうちに、小さな鍬潟ですから雷電の股座をくぐって後ろに回ってね、お尻をついて押し出します。
まんまと横綱に勝ってしまった鍬潟で、やんやの喝采を受けます。
面白くないのは雷電ですよ。卑怯な手を使った鍬潟に文句をつけようと自宅に押しかけます。
行ってみるとね、鍬潟には子供が七人もいるのですね。相撲取りは家族をもつと力が落ちると言われていた
時代でね、こんな大家族を支えるために策を弄してまで戦った鍬潟に対して、かえって畏敬の念を抱いた
雷電は鍬潟を兄弟子分として扱ったという話でした。
さてかの小さな男です。この話を聞いてね。真似をしましたよ。早速、相撲部屋に行って入門しますよ。
この辺が凄いですねぇ。入門してしまうのですからな。
先輩の力士に稽古をつけてもらうことになりますよ。いろいろせせこましい手を使ってね。なんとか先輩を
負かしてしまいます。意気揚揚として家に帰る男。飯を食べてね寝てしまいます。
翌朝、目がさめると布団から足が出ている。
「相撲の稽古をしたおかげで身長が伸びたね。」と思っていると、女将さん。
「何言ってんだよ。座布団に寝かしたんだよ。」
だって。