「落語ネタの不思議なお話……・・元犬」

犬が人間になるという、まさに奇想天外な噺です。長屋のごみためで生まれたノラ犬が神様に願を
かけたら人間になってしまったというストーリー。
人間になっても犬は犬ですから、習性や気性は犬のままである。チンチンをしているような格好で
歩いたり、四つんばいで歩いたりする。電信柱があると、つい片足上げておしっことあいなる。
猫を見ると追いかけまわるは、何でも匂いを嗅ぐ癖が抜けないなどなど。
さすがに尻尾がないので、うれしそうに尻尾をふるまねはできない。
話すつもりでワンワンなどといってしまう始末。
この噺は前座噺でして、真打がやることは絶対にといってない。馬鹿らしくてできないでしょうね。
でも犬が人間になったらこうするだろうなってなことを自分流に考えて噺を変えていくには良い題材
ですよ。この噺を型どおりに演る前座さんは面白くないです。
前座さんの腕の見せ所という噺でしょうか。
解りやすいので落語の初心者の方々にはいいでしょうね。絶対に笑える噺ですよ、これは。
そんなに古い時代の噺ではないと思います。誰が考えたのでしょうね。
落語には奇想天外な噺もありまして、犬がでてくるというと、「犬の目」なんてのがありましてね、
これは現代の臓器移植みたいなもので、目が悪い人が、こともあろうに犬の目を入れてしまうという
ストーリーでしてね。犬の目を通して見るから犬の習性になるというので、「元犬」と同じようなもの。
目で思い出しましたが、ケチな人がいてね。両目を使っても片目を使っても、見えるものは同じという
わけで、もったいないと片目を使わずに過ごしていた。年とともに使っている目も悪くなってきた。
さあこのときとばかりに、片方の目を開けた。良く見えるだろうと思っていたが、見る人見る物、何も
知らなかったというわけ。わかったようなわからないような展開となる。
すでに取り上げた「頭山」とか、これから取り上げる予定の「首提灯」などもおかしな噺ですよ。
歌舞伎にもね、「鎌ひげ」なんていうのがあって、鎌で首をかかれたのに、死なないという筋でして
歌舞伎というのは、デフォルメしてありますので、この手のものがけっこうあるようで……。
「元犬」という滑稽噺でした。