落語ネタの不思議なお話「猫の皿と真二つ」

「真二つ」という落語は「男はつらいよ」で御馴染の山田洋次監督が書いたものでして五代目 柳家小さん師匠の
ネタでございます。
二つのネタのモチーフは簡単に言うとこうなります。
「骨董屋なり古道具屋なりが現れます。旅先の田舎で無造作に置かれているまたは使われているものを
見つけます。商売上、それが価値の高いものと見抜きます。田舎者のこと物の価値がわからないのだろうと
安く買い叩いて儲けようとするのです。ここから欲と欲のぶつかり合いが始まります。」
掘り出し物ということですね。火焔太鼓などはまさに掘り出し物だったわけです。
噺は商人と田舎物の駆け引きになります。
腹の探り合いというわけですね。
「猫の皿」のほうは茶屋の主人があいてなのですが。商人よりもこっちの方が一枚も二枚も上でしてね。
皿の価値を知った上で商売人を釣っているようなところが見受けられます。
ですがね、高価な高麗茶碗を猫の食事の皿に日常的に使っているとは考えられませんでしょ。
おそらくはその筋の人間を引っ掛けようとしているのではないかと邪推しております。
茶屋の主人は結構儲けているような様子ですからね。
「真二つ」は皿ではなくて長刀です。名の人が鍛えた名刀なのでしょう。銘を「魚切丸」としてあります。
触っただけで切れてしまうという優れものの刀です。
古道具屋は農家の軒先で茶をもらってね昼食をとっているときに見つけるのですね。
干した大根を切るために使っているというのです。
赤さびてしまっていてとても名刀には見えないのですが。銘を見てわかったのですね。
ここからお百姓との駆け引きが始まるのです。この噺のピークですね。
「猫の皿」と違うのはお百姓にこの刀の価値がわかっていないという点です。
山田監督らしい人間観が実によく現れてきます。
それは実直な人間(お百姓)のもつしたたかさです。
欲と欲がからんだ駆け引きの面白さは秀逸です。
このような感情は落語を聴いている客にもあるわけです。
談志師匠曰く・・・・・“業の肯定”・・・・・・・です。
さて女性の欲はもっと深いですね。お百姓の女房は古毒具屋がお金までだして買おうとするには魂胆があると
かんぐります。10文か20文でいいという亭主に3分の金を取るよう尻を叩くのですね。
3分とは一両の3/4ですね。只同然の刀だと思っているのに3分ですよ。
さぁこれから亭主と古道具屋との価格交渉が始まります。
亭主は指を三本立てます。3分のつもりですね。古道具屋は30両と勘違いします。負けろということになる。
亭主は女房の顔を覗います。首を横に振る女房。女房は最低でも2分で売れと亭主に言ってあります。
古道具屋は20両のつもりで指を二本立てます。
亭主は2分だと思い増したので女房の許しを得て商談成立です。
「2分で買ってもらえるとは有難てぇ。」
古道具屋は自分がかってに解釈をしていたことに気付きます。
江戸に持っていけば三十両はかたいと思っていますから、嬉しくて仕方がありません
。
さてこの先の結末はどうなりますことやら、噺を聴いていただいてのお楽しみと致します。
一攫千金を狙うのも程ほどにということでしょうか。
−完−