「落語ネタの不思議なお話……お血脈」

信州長野の善光寺には、入場料を払って階段を降りまして中は真の闇でして壁沿いに

進むと、触れば極楽浄土にいけるという物があります。「お血脈の印」というのも、

これをおしいただくと極楽浄土にいけるというものです。

ですから世の中の人々は皆、おしいただきまして、極楽に行ってしまうというわけで、

地獄が暇になってしまう。困ったのは閻魔様でして、こう地獄が暇になっては鬼共が

だらけてしまう。なんとかして「お血脈の印」を盗んでしまおうと考えた。地獄にいる人材

の中で、最強の盗人は誰かと思案をしたあげく、「石川五右衛門」が人選された。

お声がかかって現われでたるが、歌舞伎でよくみる南禅寺の山門の場の姿。

実にデフォルメされていて、ど派手な格好のまま。

「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」などと大言壮語した人物。

閻魔大王の命を受けて善光寺へとやって来る。

「お血脈の印」などを見つけるのは五右衛門にとっては、たやすいこと。直ぐに見つけ

だして、気が緩んだか、れいの歌舞伎口調で…・・

「ありがたや!かっちけなや。」と、おしいただいたものだから、

地獄に戻れずに、極楽に行ってしまった。

ところでこの後、閻魔大王はどうしたのであろうか。地獄にはまだ人材はいますよ。

「ねずみ小僧の次郎吉」です。この人物は義賊ですから、「お血脈の印」を持ち帰らずに

「お血脈の印」を押した札を持って来たが、庶民の家に撒いてしまってオジャン。

「三億円の犯人」は盗んだまではいいのだが、金に替えてしまう。

「説教強盗」は閻魔様が逆に説教されて盗み出す事に応じない。

「雲霧仁左衛門」は自分でやればいいのに、実行計画を立てて手下に準備させるという

いつものやり方でいこうとしている途中で長谷川平蔵に殺られてしまった。

結局、閻魔様は打つ手がなくなった。地獄が暇になるのと反対に極楽は大混雑。

お釈迦様は果たして困ってしまうなんてことになって……・しまうはずがないね、こりゃ。