「お崎さん」という人物

「厩火事」に登場する髪結いさんである。亭主は年下のでいわゆる「髪結いの亭主」気取りである。
働きもせず昼間から刺身で酒を飲むような男。でもお崎さんはぞっこんである。
このお崎さんは気の良い女性でしてね。旦那に貢いでいるのを誇りにしている。
世話焼きタイプの女性です。席亭はこの女性のキャラが好きでしてね。三浦屋の高尾など美女も
登場する落語の世界でも好感度NO1でしょう。
お崎さんも夫婦喧嘩をする時もある。亭主に対する心配なことは自分を捨てて若い女性にはしって
しまうこと。喧嘩をするとその心配が頭をよぎる。亭主の本心が知りたい。どうしたら解るのか思案
して仲人のところに相談に行く。
「お前さんが誤って亭主の大事にしている物を壊せ。その時に怪我をしたんじゃないかと、お前さんの
体を気遣ったら亭主はお前さんに惚れている証拠だ。」
お崎さん、不安ながらもやってみることにした。
亭主が大事にしている皿を台所に持ち出して、はめ板につまずいたような格好でころんだ拍子に皿を
割ってしまう。驚いた亭主は
「おい。お崎、大丈夫か、怪我はねえか。」
と、お崎さんの体を気遣ってくれた。
亭主の本心は、お崎さんに倒れられたら遊んでして酒が飲めないということなのに。
このお崎さん、実は「芝浜」の勝っつぁんの女房としても登場している。(そう考えている)
こっちのお崎さんも世話女房でしてね。酒飲みの亭主にあいそをつかしもせずにいる。
亭主が浜で大金を拾ってきた時も、これで毎日遊んで暮らせると舞い上がる亭主に対して冷静に
というより、困り果てて大家さんのところに相談に行き、拾ってきたということを夢の中の出来事として
しまう。亭主と一緒に増長しないというところが庶民的な世話女房たる所以だ。
お崎さんのキャラは江戸の庶民の長屋の女房の典型なのかもしれない。