「猿後家」の女主人という人物

 

大店で未亡人、後家となった女主人。お金に困るようなことはなく、衣食住は十分すぎるほどに足りている。

さぞかし毎日が何の不満も無く過ごせているのだろうと思うのですが、人生、やはりバランスがとれているものなの

でしょうか。憤懣やるかたなきことがありました。女性にとっては大事なものであろう要望が猿に似ているのです。

世間では女主人が猿に似ているのではなく、猿が女主人ににているのだとまで噂されるほどでした。

女主人とて利口なじんぶtですから、そのことは十分わかっている。けれど認めたくはありませんよ、当然のこと。

「さる」という言葉を嫌うようになりました。店の者が「さる」などという言葉を使おうものなら即刻暇がでるという程の

ものでして、「「えてして・・・・・・」なんて言ってもだめでした。

店の人達は大変な気の使いようです。出入りの商人も同じでして、出入り禁止ならないように

庭に「さるのこしかけ」を植えてしまったばかりに、気の毒に植木屋さん。出入り禁止になったのでした。

ではこの女主人。どうやって機嫌よくさせるかというと、女性ですね。美人だと褒めると、うれしくなってね、小遣いは

はずむし、ご馳走はしてくれる。お金に困らないから生活の面倒なんかみてくれるという程でした。

この弱点をついて、うまく立ち回る輩はどこにでもいるものです。

ある男は女主人のことを小野小町か楊貴妃かなどとおだてあげた。それだけで、百両ものお金を手にした。

また、子供と通りを歩いた男。子供が店の前で、あの絵の女の人。お店のおばさんに似ているね。と言って

女主人の前に浮世絵を置いた。それだけで家一軒をもらったという。

しかしながら、おだて続けるのも難しい。長い間には「さる」という言葉をつい言ってしまうものでしょう。

結局はボロガ出てしまいますね。

 



ご感想は、深沢fukasawa@kakaa.or.jp までメールお待ちしています