「棟梁」という人物

大工職の総まとめ。材料から工法、見積もりから建築の算段を全て取り仕切る役職でしてね。
建築士と大工さん、工務店などを兼ねた存在でしてね、仕事ができる親分的な人間。
この棟梁職にある人物が色々と落語にはでてくる。
棟梁は多くの職人が下にいてね。仕切っているのだけれど、中には与太さんもいて、住んでいる長屋
の家賃を滞納しているために、大家から道具箱をかたに取られてしまう。道具箱が無いので仕事が
できないでいる。仕事をしてないから収入が無い、だから家賃は尚更払えないでいる。
棟梁は心配をしていた。棟梁に大きな仕事が入って、仕事場に職人達の道具箱を前もって運び込む
ことになるのだが、与太さんにも仕事をさせようと、与太さんのところにやってきた。
しかし道具箱の無い与太さん。棟梁は理由を聞いた。家賃の滞納だというので、懐にあった金を、
とりあえず大家のところにもっていかせた。大家に差し出すと金が足らないという。わずかな金額なの
だが、この大家一文たりとも足らなければ道具箱はかえせないと言ってきかない。なかなかの因業な
大家であった。この大家と掛け合って道具箱をとり返そうとする棟梁。話がこじれて、とうとう奉行所
でのお裁きということにまでなって、大岡様の名裁きで棟梁の勝ちとなる。
こんな棟梁も若い頃は道楽をやっていて、案の定の女遊び三昧の日々。あきれた女房は子供を
連れて家を出ていった。
棟梁はこれ幸いにと女郎を身請けして一緒に暮らすことにした。
しかし、やはり野におけ蓮華草。朝寝はするし食事のしたくなどもできない。
家の中は滅茶苦茶になってしまう。
ここに至って棟梁も目がさめた。後悔をして、女郎を追い出してしまう。
それからは男やもめの生活。仕事にうちこむようになって職人としても立派になり棟梁といわれるまで
になったという。勿論、女房子供とも寄りを戻した。
棟梁というのは得意先として大店を持っているとよい。何かにつけて半纏などを貰ったりするし仕事を
貰ったりもするのでいいのだ。大店に何かあると真っ先に駆けつけたりする。
若旦那が吉原に入り浸っている時なども、連れ戻すように頼まれたりもした。しかし棟梁は、
連れ戻すどころか自分も入り浸ってしまうなどという間抜けな一面ももっているのだ。