「鰻の幇間」を取り上げます。

この噺は色々な噺家さんがやっております。少しデータをみると、このような状況でしょうか。
六代目 三遊亭円生
八代目 桂 文楽
五代目 古今亭志ん生
八代目 三笑亭可楽
三代目 春風亭柳好
てな、ところが有名ですね。勿論他の落語家さんも演じておりますよ。柳家権太楼師匠などもね。
定番はなんといっても八代目 桂 文楽師匠のものでしょう。
でも、上にあげた噺家さん、それぞれ一味も二味もやり方が違っているのです。当然ですけど。
野幇間が何とか稼ごうとおもって客を釣りに行く下りですが、向こうからくる浴衣姿の男を取り巻くところから入る
やり方と、粋筋の姉さんのところを羊羹をもって回るところから入るやり方があります。
円生師匠や小三治師匠などが羊羹をもって回るやり方です。本来はこちらのほうが本筋なのでしょうが、文楽師匠が
省かれたのでしょうか、向こうからくる浴衣姿の男を取り巻くところから入る落語家さんが多いようです。
浴衣姿の男と野幇間が初対面だったのかどうかは見解の別れるところでして、おそらくは、どこかの席で顔を
見かけた程度ではないでしょうか
ただ、浴衣姿の男が野幇間に取り巻かれて、鰻屋での一件を直に画策したとうのは、不思議ですね。
確信犯というより再犯でしょうね。過去にも野幇間を引っ掛けたことがあるというような手はずの良さですから。
どうにかして身元を探ろうという野幇間と何とか引っ掛けてやろうという浴衣姿の男との駆け引きが、この噺の
難しいところでしょう。
さて、どうして浴衣姿の男はあまり客の入りが良くない、美味しくない鰻屋を選んだのでしょうか。
手土産に鰻を持ち帰ろうとたくらんだのなら、良い店を選べばいいと思うのですが。三流の店に連れて行くのですね。
おそらくは一見の店だったろうと思います。一回こっきりの騙しですから、こういう店のほうがいいのでしょう。
それにしても相当にひどい店だったようで、二階の客間などは畳はぼろぼろだったようですね。
鰻を注文すると直に出てくる。普通は注文してからさばき始めるので時間がかかるのだそうですが、今なら冷凍物を
チンして直に出すてなところでしょうか。
舌の上でとろける様な鰻がでてくるはずもなく、酒もまずい。いいところが一つも無い店なのでしょうね。
こんな鰻屋ですが、鰻の味は素材で決まりますので、浴衣姿の男は、おそらくは特上の鰻を土産にしたのでは
ないかとおもいます。野幇間には並以下のものをだしておいてね。鰻屋の味はたれで決まるのだそうですから。
自分は注文したものを食べもせず、野幇間もよいしょが商売、本音はいえませんよ。
浴衣姿の男がていよく逃げてね。手銭で払うことになった野幇間の、その後の豹変ぶりが、この噺のコアでしょう。
鰻や酒のまずさ。盃の出所。掛け軸のまずさなどさんざん悪態をつく。
このくだりが見せ所ですよ。文楽流、志ん生流、可楽流、小三治流、柳好流と色々ありますよ。
でも談志師匠のものを聞いたことが無いのは残念ですが。
(談志師匠は、やっていますよね。???????)
掛け軸の図柄が変だとか、盃に書いてある絵が、狐と狸じゃないかとか、日の丸と連隊旗のぶっちがえだとか
お銚子の素材が気に入らないとかね。
そういえば今でも、ビールを頼むと、アサヒビールなんて印刷されているコップをだしてくる店がありますよ。
同じですね、これも。酒屋からもらったものでしょう。
落語奇談シリーズの中の「上総屋銀座店」」に来て戴ければよかったのにね。
しかし、この幇間さん、踏んだりけったりですよ。手銭でやるは、下駄は盗られるやらでね。
この失敗を教訓に野幇間をやめて、ちゃんとした幇間にならなければいけないと思わなくてはいけません。
この噺には続きがありまして、「木乃伊取り」で途中に棟梁を取り巻く幇間がでてきます。これが、なんと
彼なんですね。噂では「王子の幇間」にも登場しているとか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘ですよ!