鬼と戦った男
夏場所千秋楽 13勝1敗 貴乃花 12勝2敗 武蔵丸の横綱同士の
優勝をかけた一戦。貴乃花は右膝脱臼の手負い。痛々しさがわかる。
執念の土俵であった。いよいよ立会いの一瞬。武蔵丸は体をかわして
貴乃花は膝の負傷でこらえることができず。土俵に倒れた。
この時点で武蔵丸は勝負にこだわっている。
このクラスになれば結果だけではない。如何にして勝負をしたかであろう。
国技といわれる相撲。外国出身の力士も多くなった。
日本人は武士の時代から、敵と戦うときは勝敗も重要だけれど、そのプロセスを
重視した。軍師という者がいた。戦略家である。中世中国も同様だった。
しかし欧米は違う。結果だけが全てである。それが武蔵丸の相撲にも言えた。
貴乃花は武蔵丸が逃げることなど全く念頭に無かったのであろう。
貴乃花は左膝に擦り傷ができ、左ひじにも擦り傷を負った。
全力でぶつかりに行ってかわされたということである。
横綱のプライドから言えば、ぶざまな格好になったことは許せない。
堂々と渡り合ってのことならまだしも、かわされてのことでは納得できない。
ここが優勝決定戦で鬼に化すエネルギーに変わったとみた。
武蔵丸は逃げた。このことが優勝決定戦の勝敗を決めていたのではなかろうか。
横綱同士のそれも優勝をかけた一戦で逃げてしまうのはいただけない。
オリンピック柔道の山下−ラシュワン戦を思い出します。足を負傷している山下に
ラシュワンは一歩も引くことなく正面から戦った。但し負傷している足は攻めなかった。
優勝決定戦で貴乃花の勝利に対する執念はすさまじかった。
鬼の形相で武蔵丸に立ち向かっていく。
そして負傷している右足が利き足になる上手投げで武蔵丸を倒した。
仏を守る十二神将という仏像があるが、
あの形相を現実に目の前で見たようでした。
表彰式で小泉首相は感動を露にしていた。
一度逃げた男には勝ち目は無かったのでしょう。
おそらく、この一戦は相撲史に残ることでしょう。
相撲ファンの目にも強く焼き付いていくことでしょう。
武蔵丸は正に鬼と戦ったのである。