
「サトラレ」
この映画を見るたびに、いつも思う。
心の中で思っていることと、人に伝わる思い。
いつもくいちがってしまうのはなぜだろうって。
この映画に出会った時、
ちょうどその悩みがピークに達していて、
自分ではもうどうしようもない状態になっていた。
「サトラレ」。
心の中で考えていることが、
そのまま周りの人に伝わってしまう。
そんな人になりたいと思った。
映画の中に描かれているように、
それによっていろいろツラいことがあるんだろうけれど、
そのツラさよりも、
自分の気持ちが相手に伝わらないツラさの方が、
はるかに上回っていた、そんな時期だった。
フツウの人間は、相手に自分の気持ちを伝える時、
言葉を使う。
ボクもそう。
でも、気持ちを言葉に変換する時、
嘘になったり、少なくなったり、多くなりすぎたり。
相手への思いが強ければ強いほど、
本当の気持ちとの距離が遠くなってしまう。
自分の気持ちを素直に言葉にすればいい、
そう思っているのに、
心の器からあふれ出しそうなほどの気持ちを、
全部言葉にするのは難しくて。
そんな時、この映画に出会って、
涙がなくなるんじゃないかと思うほど泣いた。
安藤政信の演技がすごいと思う。
「聖者の行進」を見た時から目をつけていたんだけど、
この映画の中では彼の表情を見ているだけで泣けてしまう。
こんなに涙を誘う役者も少ない気がする。
「ばあちゃん、ごめんよ」とくり返すシーンでは、
今まで自分がしてきたことで後悔していること全部を、
本当に大切なものを大切にしていなかった過ちを、
胸の中からえぐり取られて、
ほら、よく見ろよ!
と、目の前にたたきつけられているようで、
涙が止まらない。
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