〜役者への道〜
  
  
ボクがお芝居を始めたのは、確か2000年の初めくらい。
もちろん初めて舞台に立ったのはもっと前。
あれは
保育園の時だった。
「都会のネズミといなかのネズミ」
っていうお芝居をやって、
いなかのネズミを好演(?)したのが
始まりだった。

小さい頃のボクは、とっても
恥ずかしがり屋さんで、
人前で話したりするのがとっても苦手だった。
歌ったりしようもんなら、
顔じゅう真っ赤になって声も出ないほどだった。
中学校の時、所属しているテニス部の顧問の先生が
音楽の先生で、
雨が降るとみんなを教室に集めて
ひとりずつ歌を歌わせるなんてことをしていた。
ボクは指名されるのがイヤでイヤで
毎回先生と目が合わないように
ずっと下を向いてた。
今でこそ
カラオケ大好き人間だけど、
あの頃は
「お前って、なんでそんなにオンチなの?
気の毒になるよ」

なんて言われるくらい
『へったくそ』だった。

人前に出るのが大好きになったのは、
高校に入った頃から。
遠足のバスの中で
明菜ちゃんの歌をフリ付で
歌ったりする子に成長した。
目をみはる進歩である。
その勢いは
大学を経て社会人になっても衰えず、
夏のイベントのカラオケ大会では
常連になってしまっていた。
ある夏のイベントの時、
バンドを呼んで演奏してもらうコーナーがあったため、
音響や照明にすごい金額を使った時があった。
スポットライトがあたり、足下にはモニター用のスピーカー
もう気分は
明菜ちゃんである。
『DESIRE』を歌ったが
あんなに気持ちよく歌えたことはなかった。

そう、
お芝居の話だった...。

お芝居を始めるきっかけになったのは、
友だちがお芝居を始めたこと。
「がんばとゆかいな仲間たち」「みきみき」がその人である。
「わたしお芝居始めたの。見に来てね」
と何気なく言われた時は、
「ふ〜ん」って感じだったが、
実際に見に行ってみると、
ものすごい世界だった。
2時間近くもの間、誰も台本を見たりしないで
しゃべりながら動いているのだ。
話はチンプンカンプンだったが、
身近な人がそんなことをあっさりやってしまうことに
新鮮な感動をおぼえた。
フツウの人なら、
「すごいね〜。よかったよ〜」で済むのだろうが、
何しろイベントや宴会では決まって
主役級の座
ついていたがんばくんである。
それで済むはずがない。
(みきみきにできてボクにできないはずないじゃん!)
と密かに思い、しばらく後には
劇団のドアをたたいていた。

それで、時は流れてあの初舞台である。
『天空商店街』という劇団の『月に吠えろと狼は言った』
というお芝居に出させてもらった。
ところが、この稽古の時点でもう
挫折しそうになった。
お芝居というからには、どんな役がくるかわからない。
あろうことか、ボクの役どころは、
『男の中の男、サムライ風』

ふにゃふにゃしている
いつものボクとは
180度違う人間にならなくてはいけない。
それがどうしてもできなくて、
「ごめんなさい。できません。次回までには何とかします!」
とあやまる日々が続いた。
それでも、
事故をも恐れぬ運転中の台本読みと発声練習
ついでに
男っぽい後輩の行動も細部にわたってチェックして
なんとか
『男の中の男、サムライ風』になった(と思う)。
実際、ふだんの声まで低くなってしまった。
で、
本番当日
新たなる問題が起こった。
緊張しないのである。
がんばって自分を奮い立たせようとするが
いつもと一緒(涙)。
新人なので出番が少なく、途中でちょこっと出て
その後ず〜っと待ち時間。
待ってる間にも眠くなってしまう。
次に出ていく時には、
「見つけたぞぉぉぉぉ!!!」なんて
すごいテンションで出て行かないといけないのに。
どうしてもテンションが上がらない。
直前になっても
ポヨヨ〜ンとしたままなので、
「オレは怒ってる、オレは怒ってる...」
と無理矢理テンションを上げる始末。
で、その出番の最中、
またもや
問題を起こしてしまった。
ダーっと出ていって、ワーっと騒いで、バタンと殺されてしまう
というシーンの後、
生き返るまでの間ず〜っと舞台の真ん中で倒れてるんだけど、
そこでなんと!
寝てしまったのだ。あぁ...
みきみきは
「コイツホントに寝てるわ」と気づいていたようだが、
寝てしまっているのは仕方がない。後の祭りである。
寝ただけならまだ許されるかも知れないが(そうか?)、
寝ぼけまなこのボクは、生き返った後のシーンで
台詞をすっ飛ばしてしまったのであった。あぁぁ...

二度とビデオも見たくない初舞台の後、
合計
6回舞台に立った。
緊張しないというクセは
メリットに変えたが、
テンションが上がらないというクセは返上して、
本番だけは強い
『テンション役者』になってしまった。
実はこれも困ったもので、
稽古の時はさっぱり調子が出ない
とにかく観客がいる本番が楽しくてしょうがないのである。
6回の舞台の中で、
12もの役もできた。
なぜか、ひとつの芝居の中でいくつも役をやらせてもらえるのである。
他の人たちは同じ衣装で通せるのに、
ボクだけ衣装を
とっかえひっかえしているのである。
やってみると楽しいが、実際は
割とタイヘンである。

そんながんばくんも、
今は所属する劇団もなく、
宙ぶらりん状態
いつになったら、もう一度舞台に立てるんだろうか。

ちょっとさみしい。