いきなりですが、クイズです。次の単語の読み方について4人が議論しています。果たして誰の言っていることが正しいでしょうか?
 

A 韓国語初心者の
NM氏
「簡単簡単、チョ・フンヒョンエ・ソリョ・ヘマ、『゙薫鉉の速力行馬』でしょ?ハングル覚えたら簡単に色々読めるようになって楽しくて楽しくて」
B ハングル囲碁用語講座を最近始めたばかりの
NM氏
「甘い甘い、それじゃそのまま読んだだけじゃないか!韓国語にはフランス語のように子音と母音がくっついて発音される「リエゾン」の法則があるのを知らんのか。そもそもがチョ・フンヒョンじゃなくてチョ・フニョンと発音するのだ。ついでにエも前のヒョンの「ン」にくっついて、チョ・フニョネ・ソリョ・ヘマに決まっておる」
C 先日帰日した際に光永先生にこの単語の発音を教えて頂き、少しだけ賢くなった
NM氏
「グフ、二人とも分かってませんね。フランス語と韓国語をまぜこぜにする考えがまずダメキチ。だのが出てくるときは注意するとしたものです。大体がソクリョクなんぞというと言いにくくて舌が捩れてしまいそうじゃありませんこと。こういう場合は発音が自然と変化して「ソンニョク」になる、というわけでチョ・フニョネ・ソニョク・ヘマが正しいのです、グフ」
D 秀保さんの教えを受け更に韓国語の奥深さに感じ入る
NM氏
「そんなグフグフ言っているようでは上達はおぼつかんな。の前後にがある場合には注意を払わねばならぬ。つまりソニョとヘマがぶつかると『激音化』という現象が起こり、『ソニョケマ』となるのだ。だから正解は『チョ・フニョネ・ソニョケマ』だ、分かったか」



……どう考えても正解はDですね。というわけで、これは
「チョ・フニョネ・ソニョケマ」
と読みます(ちなみに知らない方のために補足しておくと、『ソニョケマ』は要するに『足早な打ち回し』とでも言った意味で、゙薫鉉九段の代名詞。また以前韓国の囲碁雑誌に同九段による同名のコラムが連載されており、現在単行本化もされています)。

このように「綴りと発音が一致しない」という現象は外国語を学ぶ際に必ず直面しなければいけない大問題ですが、韓国語においてもそれは学習者を悩ませます。これまでも
『チュ・リュー』ではなく『チュ・ニュー (中国流)』
『スチェ・リュー』ではなく『スチェ・ニュー (秀策流)』
『ソリ・リュー』ではなく『ソリ・ニュー (小林流)』
『チュ・モリ』ではなく『チュ・モリ (シチョウアタリ)』

のような言葉が出てきました。その度に罠にハマり、秀保さんに修正していただいては「なんで文字通りの読み方じゃないんだぁ!」と一人叫んできたものですが、これぞ生き物たる言語の面白さでもありましょうか。ちなみに、下にもタケフ :『ッサ』ではなく『ッサ』 という単語が出てきます。要注意です。



悲しいビットマップイメージによるハングル囲碁用語講座』、第12回『定石と石の形 その1〜妖刀定石より』


《今回の単語》
1 コンノブチ ツケコシ
2 若しくは
ッポドゥ
ヌル
ノビ
3 チバドゥ ブツカリ
4 ットゥィ トビ
5 パッキ 受け
6 ッサ タケフ
7 オシ
8 ック ヒキ
9 ットゥ 突き抜く
10 ナガダ 出る
11 マグ オサエ
12 キダ ハう
13 ッコブリ マゲ




○●
石の形に関する言葉は大変多いのですが、石の形といえばなんといっても定石です。というわけで、ここでは定石に現れる形を見つつ形の名前を覚えていきましょう。途中謎の超実践的会話例文が混じっていますのでお見逃しなく。

・・・「白がカカッたとき、黒の二間高バサミは攻撃的な一手です。」
・・・「妖刀定石ですね。」

"  ,    ." 
"." 

「ペギ・コチョッスッテ・フゲ・トゥカンノプンヒョウン・コギョジョギン・ハンスイニダ」
「ヨドジョソギネヨ」

注:
→…の時

・・・「大ゲイマにカケると、どうなりますか?」
・・・「よくわかりません。」


"   ?"
" ."


「ヌンモジャロ・ッシウミョン・オットケ・トゥエッカヨ?」 
「チャ・モルゲッスニダ」


注:
→…すると、…すれば
→「どのように、どう」
「テダ なる、できあがる」という動詞からきています。

・・・
「『ツケコシ』を韓国語で何といいますか?」
・・・「コンノプチといいます。」


"「ツケコシ」   ?"
"""  ."


「ツケコシヌン・ハングゴロ・ムォラゴ・ヘヨ?」
「コンノ・プチ・ラゴ・ヘヨ」


注:
→「何」。?”「ムォ?」というと「何?」という意味です。
→前回も「・・・だと思います」という例文にちらりと出てきましたが、「・・・だと」という意味でしたね。


というわけで、韓国語では「ツケコシ」のことを『コンノ・プチ』と言うのですが、は以前習ったとおり「ツケ」の意、
一方頭に付いている「コンノ」は『コンノダ 渡る』という動詞から来た言葉。直訳すれば『ワタリツケ』というわけです。これ以外のツケは以下のようになります。

上ツケ
「ウィ・プチ
下ツケ
 「ミッ・プチ
コスミツケ
若しくは 
「マヌモ・プチ / モ・プチ
ハサミツケ
 「ッキョ・プチ
横ヅケ
 「ヨ・プチ
(天狗の)鼻ヅケ
 「コ・プチ
(イタチの)腹ヅケ
 「ペ・プチ
以上の言葉は、日本語とまったく同じ意味です。
例えば、上に挙げたはずばり「鼻」の意。
ただしハサミツケののみは「挟まる」という動詞から来ているようです。
 

「ハネたら、どうすればよいですか?」
「ノビるのが普通です。『ハネにはノビよ』っていうじゃないですか。」

"   ?"
"(  .
"
  ( )" ."

「チョチミョン・オットケ・ヘヤ・ハッカヨ?」
「ッポヌン (ヌヌン) ・ゴシ・ポトイエヨ、『チョチミョン・ッポトラ (チョチミョン・ヌロラ)・ラゴ・ハジャナヨ」


注:
さて、なぜ「チョチミョン・ッポトラ」と「チョチミョン・ヌロラ」が併記されているかといいますと、韓国語の『ノビ』には二種類あるからなのです。
すなわち
『ッポタ』という動詞から派生した『ッポドゥ』と
『ヌダ』という動詞から来た『ヌル』の二つ。

「ノビ」という言葉としては基本的に違いはなく、どちらも同じように使われるとのことですが…例えば、黒7はヌルでもッポドゥでもよいということです…、注意が必要なのはの方は「ナラビ」という言葉をも指す、ということです。
会話ばかりでは覚えるのが大変ですから(ネタが尽きた?)、すこし単語に集中です。
白8、ブツカリ「チバドゥ」は「チバッタ 突き上げる」という意味の動詞から来ています。日本人にとっては「つっぱった」みたいで覚えやすいかもしれませんね。

黒9、一間トビ。 「ハンカン・ットゥィ
動詞の「トぶ」は「ットゥィダ」といいます。
黒9は「受け」ということもできますね。というわけでついでに「パッキ 受け」という言葉も覚えておきましょう。
これは「パッタ 受ける、受け取る」という動詞からきています。


さて、ここまでのところ、動詞を名詞化する方法としてもっぱら語幹の最後にをつける・・・というものを見てきたのですが、もう一つ、この「パッキ」のごとくをつける方法があります。こちらはどちらかというと「…すること」というようなニュアンスとのこと。
ハネに、黒11でタケフ「ッサ (「雙(双)立」でしょうか、またまた発音に注意)」の形。

白12、オシ「ミギ」。 「押す」は「ミダ」といいます。


・・・「ハネてオス変化を見てみよう。」

"   ."
「チョチゴ・ミヌン・ピョナル・ポジャ」


おや?という動詞の語幹からが落ちてなっていますね。
先ほども某所でという動詞がなしで活用されていたのにお気づきだったでしょうか。
詳しくは説明しませんが、の入る動詞はいわゆる「変格動詞」というやつで、このような現象が起こる場合があるのです。
この同じ仲間の囲碁用語動詞に「ックダ ヒく」があります。その名詞形は「ックギ ヒキ」です。
というわけでノビ・オシ・ヒキには要注意。

黒13、突き抜き。「ットゥキ」動詞は「ットゥタ」です。
また、「デる」という動詞は「ナガダ」といいます。
ということは中田が(試合に)出るとナカタガナガダ・・・失礼しました。

白14とカケツぐのも一法・・・カケツギは以前やったように(ホグ、虎口)ですが、
「カケツぐ」と動詞で使う場合は  「ホグ・チダ」といいます。


もう一つこのを使う単語が、アタリ、すなわち「タンス 単手」です。
というわけで「アテる」は 「タンス・チダ」
といいます。
それはさておき、カケツギも悪くはないけれど、気合としてはサガリでしょう。次図へ。

・・・サガれば、反撃は当然です。

"
  ."

「ネリョソミョン・パンギョグン・タヨニニダ」

注:
→反撃
→当然


白はアテから強引にオサエ「マグ」。
動詞「オサエる」はもうお分かりですね。「マタ」です。

さあ、以下は復習です。
黒23ノゾキ
白24ツギ
黒25キリ
白26一間トビ  
黒27コスミツケ  (もしくは
白28もう一度ツギ、

気分はNHK杯の記録読み上げのようですが、そうこうしているうちに妖刀定石の完成、この後黒は
シチョウアタリ作戦 「チュモリ・チャチョン」
になります。

隅は、黒がハッても(ハう→「キダ」)白30のマゲ(ッコブリ、「マゲる」は)で攻め合いは白勝ちです。


「・・・妖刀定石を打つのはしんどいですねぇ。。。」
"   ...."

「ヨドジョソグ・トゥヌン・ゴシ・ヒドゥロヨ・・・」

ここまでくると、石の形として見ていないのは

立つ 「ソダ」
ワリコミ 「ッキウ
くらいのものでしょうか。これらはまたどこかでとりあげることにしましょう。
気づいてみたら例によって恐ろしい量になってきましたので、とりあえず今回はここまでにして、次回に続きを譲ります。

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