気づいてみれば、「ハングル囲碁用語講座」も一応最終回になってしまいました。
「ハングルがPC上で表示されない方のために…」ということでビットマップイメージで文字を作成してきたわけですが、この第16回までに果たして総計幾つくらいの文字を作ってきたでしょうか?

@大してない。個もないんじゃないか。
Aいやなんぼなんでももうちょっと働らかなければなまじ「尻暗い観音」で検索にはひっかからないだろう。ずばり個。
Bまあ碁の講座だから個が妥当なのでは。

面倒なので正確には数えていないのですが、正解は大体個のようです。多いような、少ないような…毎回毎回沢山文字をこさえているつもりなのに回を経ても必ず新しい組み合わせが現れ、これは単なる勘なので間違っている可能性大ですが、手ごたえとしてはハングルの組み合わせ可能総数の内半分どころか四分の一も作っていないのではないか?という感じです。言葉の道は囲碁に似て、長く遠い…ということにしておきましょう。


悲しいビットマップイメージによるハングル囲碁用語講座』、第16回『ヨセ、そして終局編』


《今回の単語》
1   クン・ックンネギ 大ヨセ
2   チャン・ックンネギ 小ヨセ
3   ピマ・ックンネギ 大ザル
4 ワタる
5   イドゥグ・ポダ 得をする
6   ソネル・ポダ 損をする
7   チピ・ヌ 地が増える
8   チピ・チュ 地が減る
9 テガ 大きな地
10 ・ガ 一方地
11 ミセ・ハダ 細かい
12 コミ
13   ベル・メウダ ダメを詰める
14 ノリ 狙い
15 カイ・ス 手入れ




○●
今回は、最終回ということでヨセの色々、そして終局 「チョ」 までについて触れる(ついでに今まで見てこなかった単語を大量に紹介する)ことにします。

前回、ヨセに入るにあたり韓国式数詞に接しましたが、肝心の「地」の数え方には触れませんでした。さて、果たして「漢式」なのか、「韓式」なのか?大変気になるところですが、棋書を紐解くに、
半目勝 
はともかく

1目半勝 1
2目半勝 2
ポン抜き三十目 30

といった具合にローマ数字で表記されていることが大半で、これでは発音が『韓式』か『漢式』かどうもはっきりしません。

某囲碁をまったく知らない韓国人の友人に聞いてみたところ、「どちらでもよいのでは?」との返事、うーむそうなのか?と思いきや、どうやら囲碁人の間では『韓式』の方が広まっているようです。
すなわち、

「1目半」は 「ハンジッパン」
「2目半」は 「トゥジッパン」
「30目」は 「ソルンジ

が正しい模様。
なぜ囲碁人と非囲碁人(?)の間にこのようなズレが生じるのかは謎です。


それはともかく、これを踏まえて!ヨセの単語に挑戦です。

○●
まず、
  「クン・ックンネギ 大ヨセ」
  「チャン・ックンネギ 小ヨセ」
あたりは欠かせません。
これは以前布石編でちょっと出てきましたが、「手どまり」という特別な表現は韓国語にはなく、単に

「マジマックンネギ 最後のヨセ」
    「チェフエ・ナムン・クン・ゴッ 最後に残った大ヨセ」

といった言い回しとなります。


○●
ヨセの具体的な手段はどうなるでしょうか。
  ?」 「ピマ・ックンネギヌン・ミョッチピエヨ? 『ビマ』ヨセは何目ですか?」
さて、「ビマ(飛馬)・クンネギ」とは何のヨセでしょうか?

実はこれ、大ザルのことなのです。日本が猿の軽快なジャンプなら(?)韓国は馬の疾駆、なかなか味があります。
単純に、
 「ヌンモクジャ・ミックロチ 大ゲイマスベリ」
という言葉も使われるようです。

  .」 「ソンス・アホジピニダ。 先手9目です。」
    .」
「クロ・マヌン・スヌン・ヨックンネギ・アホチビネヨ。 では、押さえる手は逆ヨセ9目ですね。」



「先手」が「ソンス」なら、後手は「フス」…というのはしばらく前に出てきました。「好手」「ホス」と間違いやすいので注意です。
「逆ヨセ」のはそれこそ「逆」の韓国風音読みですから簡単です。

 「ヤ・ソンス 両先手」、
また
    「イ・ソンスクンネギヌン・フゲ・クウォリ この先手ヨセは黒の権利」
など覚えておけば怖いものなし?


○●
  ?」 「ノヌン・スヌン・ミョッチピエヨ? ワタる手は何目ですか?」
  ...」 「ポト・ヨドッチピラゴ・マラヌンデ… 普通八目といいますが…」

「ワタる」はですが、「コンノダ」という言葉もあり、以下のような トビコミ


  「コンノ・ットゥイ ワタリトビ」というそうです。 また以前、
 「コンノ・プッチ ツケコシ」
という言葉が出てきたことを思い出す方もいるでしょう。

この他、ヨセの手としては
ハネツギ
「チョチョ・イウ
あたりがメジャーでしょうか、いずれにしても、もう見たものばかりです。


○●
得した損した、増えた減った、惚れた張ったはヨセの常(何か違う?)、これまた見逃すわけにはいきません。
「得をする」「損をする」はそれぞれ

    「スム・カッカウン・イドゥグ・ポダ 20目・近い・利得を・見る→20目近い得をする」
   「ヤッカネ・ソネル・ポダ 若干の・損害を・見る→やや損をする」

というわけで、共に「ポダ 見る」という動詞を使うのが特徴です。

      .」
「イ・キョファン・ッテムネ・フジピ・トゥジ・ヌゴ、ペジピ・セチ・チュロッソヨ  この交換のために、黒地が二目増え、白地が三目減りました。」
「増える」「ヌダ」も、「減る」「チュダ」もがつく動詞で変格活用、注意が必要です。


○●
韓国語においては、石を馬になぞらえるようですが(「困馬または未生馬=弱石」「大馬=大石」など)、それと対を成すのが地を「家」に例える表現、これはが「家」という意味であることからも納得できます。

「目あり目なし」のことを「ユガムガ 有家無家」、また「地を数えること」を 「ケガ 計家」ということは以前学びましたが、他にも以下のような表現があります。

    「イェスン・チプ・ノヌン・テガ 60目を超える大地」

 「ノダ 過ぎる、越す」
囲碁用語としては「ワタる」という意味にもなるのは先ほども見たとおり。

「大家」とは、要するにエクスポスの…ではなく、大きな地のことです(ちなみに、「テガ」は日本語で発音するところの「タイカ」、つまり巨匠の意味にもなりますが、「オオヤ」の意味はない模様)。

また
「イ・ガ 一方家」
もうお分かりですね。勿論、「一方地」のことです。


○●
さて、次に形勢「ヒョセ」に関する言葉を見てみることにしましょう。

まずは

形勢判断
 「ヒョセ・パンダン」

をしてみるに、おやまあ困った、どちらがいいものやら、なんともどうにも先が見えない。
お互いに弱い石もなく、どう転んでも、

先の長い碁
「キン・パドゥ

 「キダ 長い」

間違いなく

数え碁
 「ケガ・パドゥ 計家〜」

にはなりそうな雰囲気…なんぞという場合は、必然的に

細かい勝負
  「ミセハン・スブ」

 「ミセハダ 微細だ、細かい」

更には半目勝負
 「パンチ・スブ」

ということになりますが、よくよく目算してみるにあらまあびっくり、実は

大差
「テチャ」


形勢不利
「セ・ブリ 勢不利」

黒は
コミを出すのが難しい形勢
   「トム・ネギガ・オリョウン・ヒョセ…=コミ」

どころかはっきりいって

盤面勝負
 「パンミョン・スブ」
  「パンミョヌロ・ビスッタン・スブ 盤面でいい勝負」
 「ビスッタダ 似ている」

仕方なく
「あーあ、最近古碁を並べすぎていてコミがあるのを忘れてたよ」
とうそぶいてみつつも、そう簡単には諦めないで、ひたすら

逆転
 「ヨジョン」

を目指し、終いにはタケフを切りに、生きている石を殺しに、手のないところを手にしにいってしまうのは、ただただ笊碁打ちの運命の星を背負ってしまったがため。すべてヨセが打ち終わって残るは

半コウ
 「パンペ」

のみ、ところが

コウ争い
 「ペ・ッサウ
を争っている間に

コウ材
 「ペッカ
のふりでさりげなく

ダメをツメる
  「コベ(空排)ル・メウダ」

のが十八番の

狙い
「ノリ

 「ノリダ にらむ、狙う」

、すなわち相手が

手入れ

「カイス 加一手」
し忘れたのにつけこんで手を付ければ、まあ大変予想だにせぬ

花見コウ
  「ッコンノリ・ペ」

が突如発生、しかも
「こんなの

天下コウ
 「チョンジ・デペ (天地大コウ)」
じゃろう、ええい抜いてしまえ」
という訳でガッポリ稼げばあれよあれよという間に一転


優勢
  「ウセ」
少なくとも

盤十程度残る形勢
   
「パンミョヌロ・ヨジプ・チョド・ナヌン・ヒョセ」

 「チョド 程度」
 「ナダ 残る」

「そんなところに手をつけるかあ?」という相手の睨むような視線にも
「あの幻庵因碩だって一目悪い碁で無理に手にしにいったじゃないか。まあこちらとしては

投げ場を求める
  「トンジ・コス・チャッタ」

 「チャッタ 探す、見出す」

気分だったんだけどね、まあ間違えちゃしょうがないね、でも気にしない気にしない、とりあえず勝負は運の芸だから、ワハハハハ」
と言い訳をしてさらに顰蹙を買うのもまた笊碁打ちの宿命でした…とこのように書いていると
「これまで挿入することができなかった単語を無理やり詰め込んでるんじゃないか?」
というツッコミがきそうですが、そのとおりです。
というわけで、折角コウの色々が登場したことですし、ここまでバラバラに現れてきたコウ用語の色々を一つにまとめておきましょう。日本で見られない表現が幾つかあるのがなかなか面白いところです。

○●
本コウ  
「ポンペ」
「タンペ 単覇」といえば、これまた単純なコウ、日本語でいえば単に「コウ」か「本コウ」か、といったところでしょうか。
「(攻め合いなどでダメをつめ合った挙句)まず黒が取り番になるコウ」は
 「フゲ・ソンペ (=黒の先覇)」というように表現されます。
ヨセコウ
「ヌロジン・ペ」
「ヌロジダ」は「長くなる、長引く」の意。
半コウ
「パンペ」
二段コウ
「イダン・ペ」
両コウ  「ヤペ」もしくは
 「ッサペ (双覇)」
万年コウ
「マンニョン・ペ」
花見コウ
「ッコノリ・ペ」
 は「花見」、というわけでずばり「花見」コウの意です。
天下コウ
「チョンジデペ 天地大覇」
「スブペ 勝負コウ」というと勝負に関わる大きなコウのことです。また
「マンペ・ブチョ 万覇不聴」という言葉がありますが、これはがんばった挙句テンパれないの意ではなく、天下コウでいかなるコウ材にも聴かない…ということを指します。
三コウ
「サペ」
循環コウ
「スナン・ペ」
コウ立て
「ペッカ
 という表記も見られるようです。
コウ争い
「ペッサウ
コウを取る番   
「ペル・ッタ・チャレ」


○●
最後に、結果の色々に触れておきましょう。
「何目半勝」、また「不計勝、中押勝」は以前出てきましたが、その他にも色々な結果の形態があるのは勿論のこと。

「ピ
といえば「セキ」のことでしたが、これは他に「持碁」の意味があります。引き分けることを

 「ピギダ」

と言うそうですから、ここから来ているのでしょう。
この他に、

 「ファグ 和局」

という中国的表現も用いられるようです。


三コウ 「サペ」、長生 「チャ」、循環コウ 「スナンペ」

などになればもちろん

無勝負 「ムスブ」

となります。

以下はどちらかというとハプニングの類、さらに使用頻度が減りますが、まあ行きがけの駄賃みたいなものです。

○●
時計は現代碁に必須、

 「シガン・ペ」

「時間コウ」…ではなく、「時間切れ負け」がたまに現れるのもやむをえないところかもしれません。

○●
また、先日、゙薫鉉が

着手禁止点  「チャス・クジジョ」 

に打ってしまった…というのは記憶に新しいところですが、この場合は…

「パンジペ 反則敗」

です。

○●
一方、対局場に現れなかった場合は…
 「キグォン・ペ 棄権敗」

となりましょう…がもはや囲碁用語ではないような気もしますので、この位で名残を惜しみつつ?当講座の幕を降ろす事にしましょう。

「アンニョヒ・ケシシオ さようなら!」


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