某韓国人の友人が、「日本語を勉強していて、ラジオ講座の教材を持っている」というので見せてもらいました。タイトルをみると…
   
「クッモニ・トッカ・イボノ」とあります。…「トッカ(「トク+ハク」で真中の「ク」と「ハ」がくっ付いてこのように発音される由)」が「独学」、「イボノ(イボン+オ、同様)」が「日本語」であるということは推測できたのですが、「クッモニ」が何とも不可解です。「〜〜〜〜・独学日本語」。この前に付きそうな言葉は何だろう?「あっというまに上達」?「コツコツ」?「頑張れ」?「痩せるぞ」(んな訳はない)?

「コレ、どういう意味?」
「Good morning だよ!」

どうやら、韓国では日本以上に英語が日常にあふれているようです。以前、農心杯で中国の胡耀宇七段が加藤正夫本因坊を破ったとき、
    
「テマ・キロ エ テマル チャタ」
なるニュースが流れましたが、この「テマ・キロ」とは「大馬KILLER」に他ならないのでした。というわけでこの文章は「大石キラーの大石を取る→殺し屋の大石を取る」という意味になります。

悲しいビットマップイメージによるハングル囲碁用語講座』
第7回『碁を打つからには石を取ろう!その5:死活総ざらい+てにをは入門』の巻です。


《今回の単語》
1 生き
2 ミョス 妙手
3 ヨンギョラダ つながる
4 チャチュ ダメヅマリ
5 クゥィ・ゴ 隅の曲がり四目


○●
今回は、死活に関する単語を見返しつつ韓国語の文章に触れてみたいと思います。まずは、簡単なものから見てみましょう。


(A)2()  . 「ペギガ・メジョミニダ」⇒⇒「白2が筋です」


文章を終わらせる「イニダ」は「…です」というような意味、(A)のように「○○ガ××ダ」という音の文章を聞くと、一瞬日本語を聞いているような錯覚に陥りますが、実は似ているのは音的要素だけではありません。韓国語は構造的に日本語に大変近い言語で、日本語で言うところの「て・に・を・は」が存在し、上に挙げた(A)は実際「が」の使用例であり、要するに「○○が××だ」という文章なのです。さて、次の文章はどうでしょうか。

(B)1()  . 「フギリ・クソイニダ」⇒⇒「黒1が急所です」


おや?こちらも日本語訳では「が」が使われていますが、それにあたるところの文字が、今度はではなくになっていますが??…実はこれ、発音上の問題による韓国語独特の使い分けで、意味上はどちらも「が」なのです。要するに…

「子音で終わる言葉の次は「イ」、母音で終わる言葉の場合は「ガ」を使う」

という法則があるのです。(A)では「が」の直前が「イ」、すなわちという子音で終わっているのでが使われ、(B)では、すなわちという母音で終わっているのでが使われる、というわけです。

○●
このような現象は韓国語の「てにをは」に頻出するもので、例えば上で

 
「テマル チャタ」「大石取る」

という文章が出てきましたが、この「を」にあたる単語も、

子音の後では「ウ」⇒⇒例:  「ドル・チャタ 石を取る」

母音の後では 「ル

と変化することになります。詳しい説明は省きますが、以下に基本的な「てにをは」を挙げておきましょう。
母音で終わる語の後 子音で終わる語の後
「ペ・」⇒⇒「コウが」
「ピ」⇒⇒「セキが」
「ホグ・ヌン」⇒⇒「カケツギは」
「イウムン」⇒⇒「ツギは」
「クウィ・ル」⇒⇒「隅を」
「ピョンヌ」⇒⇒「辺を」

(道具・手段)
(方向)
 「チョチョス・ チャタ」⇒⇒「オイオトシで取る」
(3) 「サムロ クンタ」⇒⇒「3(の所)へ(に)切る」
((1)「イロ」⇒⇒「1で(へ、に)」
…例外的に、で終わる言葉の後はとなります)
(場所)
(場所)
から
 「チュ チョジョネソ」⇒⇒「中央(の)接戦で」
   
「サビョネソ チュエ イルヌン テガ」⇒⇒「上辺から中央に至る大きな地」
 
「キョエ チンチュラダ」⇒⇒「決勝に進出する」
(1) 「フギレ・チジュ」⇒⇒「黒1のオキ」
「チョフニョン・ド」⇒⇒「゙薫鉉も」
*「てにをは」としては唯一子音の後に子音から始まる、母音の後に母音から始まるが来ます。
 「チャギワ・パドゥ」⇒⇒「将棋と囲碁」
 「パドゥックワ・チャギ」⇒⇒「囲碁と将棋」

○●
習ったことを使い、早速次の文章解読にチャレンジです。


(1)      . 「フギレ・ネリョソミ・サメ・ポイントゥ」


上の「てにをは」簡易表を利用すると、「黒1サガリ○○××」までは解明するでしょう。さあ、○○と××は何か?

××すなわちの方は例によって英語、「ポイントゥ」…そうです、「ポイント」です。「黒1のサガリが○○のポイント。」
……○○、つまり「サ」の方は全く新しい単語。
「そういえば、以前『ム』という音をつけると動詞を名詞化することができる云々という話が出てきたぞ。きっとこの単語もなる動詞の名詞形に違いない」
と思い当たった方は大変勘がよい。おっしゃるとおり、これは

 「サダ 生きる」

という動詞をの力で

 「サ 生き」

としたものです。というわけで、正解は「黒1のサガリが生きのポイント」でした。
さて、「生き」…といえば前回ちょいと
「ワンセ 完全に生きること」
なる単語が出てきましたが、これに「する」という動詞にあたる「ハダ」を加え
 「ワンセ・ハダ」
とすると「(弱い石に一手入れるなどして)完全に生きる」という動詞になります。

ちなみに「死ぬ」-「死に」はそれぞれ

 「チュタ」

 「チュグ

でしたね。

○●
少し難しいですが、次の文章はどうでしょうか?
    .  
(2)  (3)      .
「イ・スガ・ミョスイニダ。 
ペギエヌン・フサムロ・ヨンギョラ ス イッスニダ」

○●⇒⇒「この」
○●「エ」⇒⇒「に」「ヌン」⇒⇒「は」というわけでで「には」という意味になる。
○●    直訳すれば「…する手がある」転じて「…することができる」の意。
「イッスニダ あります」を「オニダ ありません」に代えて
   
とすると「…できません」の意になる。

○●⇒⇒「手」の韓国風音読みです。そういえば前回「スサジョン…手相戦:攻め合い」という単語が出てきましたね。すると、が「妙手」であることは簡単に想像できるでしょう。従って初めの文章は「この手が妙手です」となります。

○● 二番目の文章はよりややこしいですが、
「ヨンギョラダ」
という動詞の意味がわかれば問題ありません。「ハダ」は先ほどチラリと触れたように「…する」という動詞。ヨンギョラダ、ヨンギョルする、レンギョルする、連ギョツする、連結する・・・というわけで(???)は「連結」の韓国風音読みでした。つまり「連結する=つながる」という意味です。従って、正解は「この手が妙手です。白2には黒3で、つながることができます。」でした。


○●
最後に、もっと知りたい!という方のために、ここまで取り扱わなかった死活単語です。

○●⇒⇒「チャチュ ダメヅマリ」
オキ「チジュ 置中」と似ていますが、こちらダメヅマリは「チャチュ」、「自充」という漢字です。
      A      .
「ペグン・チャチュ・ッテムネ・Aロ・ドゥ・ス・オニダ」
⇒⇒「白は、ダメヅマリのためにAに打つことができません。」

○●
⇒⇒「ビ・ムノジ セキくずれ」
「ムノジタ 崩れる、倒れる」という動詞からきています。いずれこの単語にどこかで再び出会うことになるでしょう。

○●
⇒⇒「クゥィ・ゴサ 隅の曲がり四目」
前回「四目の形はという、ついでに曲がり四目は『曲四宮』という」と習いましたが、隅の曲がり四目は特別に「クゥィ(隅)曲四 クゥィ・ゴサ」という名前を与えられています。

○●
⇒⇒「テッパ 一合マス」
⇒⇒「ピッコ 櫛形」
あたりを覚えればもう完璧。「テッパ」は「升」の意、また、「ピッコ」は「櫛」+「形」とのことですから日本と同じです。

大変長かった死活の回もようやく終わりです…が、ここまで習った単語の幾つかは後に中盤単語の回で見直すことになるでしょう。次回からは、布石編に入ります。


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