| DSCRと還元利回り 投稿者:現役鑑定士 投稿日:12月 4日(木)09時29分25秒
みなさん、こんにちは。現役鑑定士です。
タロウさんから借入金償還余裕率の活用による還元利回りの質問がありましたので、
ここで回答いたしましょう。タロウさんはすでにご存じかもしれませんが、他のみな
さんのために、そもそも、なぜこの式で還元利回りが求まるのか、から当式を変形し
ていくことで説明します。
借入金還元利回り×借入金割合×借入金償還余裕率
=借入金年間返済額/借入金× 借入金/不動産価格 × 純収益/借入金年間返済額
上の式で、借入金年間返済額、借入金が分数の分母・分子に出てくるため、それぞれ
が消去され、単純に、純収益/不動産価格 になります。これはまさに還元利回りです
よね。確かに、タロウさんのおっしゃるとおり、借入金償還余裕率が高まれば、その分、
還元利回りも高まります。安定性が高まるのに、なぜ還元利回りが下がるのでしょう。
ここで混乱してはいけないことがあります。この方式により還元利回りを査定するのは、
不動産投資家というより、投資家に融資する金融機関サイドなのです。(当式の借入金
還元利回りというのは端的にいえば貸出金利、正確には当該金利を基本利率とする年賦
償還率のことです)
この文脈ででてくる安定性とは、不動産投資家の不動産経営に関する安定性ではなく、
金融機関サイドの安定性なのです。
全体を理解するために誤解をおそれず申し上げれば、金融機関サイドの安定性は還元利
回りの上昇に繋がります。(その分価格が低下し、貸出金額も抑えられます。)
還元利回り水準を低下させる安定性とは、家賃水準の安定、空室率の低下、当該不動産
の市場競争力等の純粋な賃貸市場の動向に求めるべきであり、いわゆる金融問題とは切り
離して考えるべきでしょう。
鑑定実務においては、この式で求まった還元利回り水準は、市場で認められている一般
的な水準と乖離する傾向があるので参考程度に試算するにとどまっています。
DSCRと還元利回りA 投稿者:現役鑑定士 投稿日:12月 4日(木)09時47分16秒
下記の説明の11行目に、「安定性が高まるのに、なぜ還元利回りが下がるので
しょう。」とありますが、お気づきの通り、「なぜ還元利回りが上がるのでしょう」
が正しい表現ですね。
最近では、収益還元法の精緻化に伴い還元利回り、割引率等についての細かい議論
が多くなっています。03年基準でも収益関係の改定にかんする箇所のボリュームが
大きかったですよね。バブル崩壊後、外資が日本の不動産市場に進出してきたことと
無関係ではなさそうです。
ただし、収益方式による価格で取引される土壌が日本の不動産市場にどの程度整っ
ているのか、吟味する必要があります。特に、諸外国に比較し極めてゆるやかな土地
利用規制と借家人に有利な借家法制はDCF法適用による価格の信頼性を落としてい
ます。
興味のある方は勉強してみてください。では、またお会いしましょう。 |