コラム 「言いたい放題」 NO.304

もう一枚の卒業証書

2005.3.8       INDEX


 
 ★いい実践だなあ★


 「いい実践だなあ」と感嘆するレポートがある。
 わたしが感嘆するのは、「もし、自分が子どもだったら、きっとうれしいだろうな」と思う教師の働きかけである。
 その感嘆した実践を紹介したい。

 小学校6年生の佐藤正寿先生の実践である。
 佐藤正寿先生は、卒業式のあと、担任からの卒業証書を子どもたち一人一人に贈っている。「いざ巣立ちの時」へ題するメッセージである。
 一人ひとりへの言葉の作成は、たいへんだろうと思うが、佐藤先生は「パソコンであれば、簡単に作成することができる。デジカメ写真を挿入するとさらに思い出深いものになる」と述べている。
 その一例として佐藤明美さんへ贈ったメッセージが紹介されていた。

   ……………………………………………………………………………
 ☆佐藤明美さんへの卒業証書☆

 あなたはこの六年一組にとって天使のような存在でした。困った人がいたらすぐに「大丈夫?」と声をかけ、いつも友達のことを思っていました。そのやさしさは宝物です。いつまでも持ち続けてください。

     平成16年3月19日  水沢市立水沢小学校担任  佐藤 正寿
   ……………………………………………………………………………

 「この、もう一枚の卒業証書は学級で一人ひとりが輝く最後の場である。友だちの温かい拍手とともに忘れられない瞬間になる」そのためには、「きまりきった文面ではなく、一人ひとりにしか贈ることのできないメッセージ」を心がけたという。 
 凡庸な教師ではできない、子どもをよく知る教師にのみ可能な実践である。このような卒業証書をもらった子どもはほんとうに幸せだろうと思う。
 いよいよ学年末、試みたい実践のひとつである。


 ★出発式(卒業式)に贈ることば★


 次の実践にも感嘆した。
 高知に小西豊さんというユニークな先生がいる。通称、コニヤンという。不登校生徒の教室の先生である。
 小西先生は、出発式(研究所の卒業式)の日に、担当の子どもたちに言葉を贈っている。以下は、Yくんへ贈った言葉である。


 Yくん へ


 昨年の四月頃のこと覚えているかい。家庭訪問していた頃のこと。玄関先で君はいつも私を笑顔で迎えてくれた。そして学習ノートも始めるからと。それから3回4回と家庭訪問は続いた。連休明け頃から研究所にほぼ毎日来始めた。びっくりしたよ。それからはほんとうに驚くほどの毎日。
 キャンプの前には寝袋を買ったりしてたよね。二学期三学期はもうなじんでいたよね。梶が森の登山、スキーとなんとも楽しそうだった。研究所まつりでのS先生とMくんとのパントマイムには驚きだった。そして自分の生き方を意見発表したりと…。
 その成長ぶりには私の方が驚くほどだった。君の存在は、ほんとうにみんなをなごませてくれたように思う。ほんとうにやさしいもんなあ。これからも君のよさを生かしていろいろとチャレンジしてほしいと思っているよ。
 自分の夢をぜひ実現させてね。一年間ありがとうね。

 
 心温まる実践だ。このことについて、小西先生は次のように述べている。

 私は昨年の四月より再び研究所で仕事するようになって、中学三年生の4名の担当となった。それまでに研究所で数多くの卒業生を担当した経験はあっても久々でやはり緊張した一年だったように思う。なにかと行き届かなかったこともあったろうと思う。
 でも、そこは子どもたちに助けられてやってこれたのではないかなあと思っている。私はみんなとつきあっていていつも学んだことは、「人間としての誠実さ」であったように思う。そのことを共に汗を流しながらお互いに磨きあえるからこそ、今の仕事を再び希望したように思ったりする。これからいろんな人との出会いもあると思うけどね、ここで人間として磨いたその誠実さをみんなの胸に刻みながら誇りをもって生きてほしいといつも願っている。
 いつも最後に贈る言葉。ジェームズ・ディーン主演の名作映画「エデンの東」でのセリフ。
「人間は他の動物と違って星の数ほどある生き方の中から自分で選ぶことができるんだ」と。
 自分の人生は自分で選ぶことができるのだということ。
 これからも「今日も笑顔で元気です!」をモットーにぜひとも生きていってください。 グッドラック!! ああ有情。


 卒業式や終業式など、子どもとの別れにさいして、一人一人の子どもに、励ましのことばを贈ってみたいものだ。贈られた子どもの喜びはいかばかりだろうか。
 子どもの心に感動を与える実践に心がけたいものである。

このページの最初に戻る