ゴム銃による実猟の手引き  ハエ猟へ  ゴキブリ猟へ

ウシアブ猟実写(写真提供:東京都狛江市 赤坂 譲氏)


ウシアブは当会でA群に分類される害虫で、その名の通りウシやウマなど家畜や人間の血を吸う。体長25〜30ミリ
の大形のアブ。16番装弾で仕留めるには正確な射技を要する。キャンプ場でタープ(日よけ)に襲来したウシアブ。


足下を掬うように命中した瞬間。典型的な「さらい撃ち」によりアブはゴムと共に跳ね上がる。


とまっていた所が傾斜していたため手前に打ち上げられたアブは落下後とどめを刺された。
射手:赤坂 凌氏  使用銃:MASS PRO AUTO 2001  使用弾:共和オーバンド16番

本会推奨対象種(鳥獣類は狩猟法を参照)

A群
ダニ類、ナンキンムシ、ノミ、シラミ、ブヨ、ウシアブ、ヤマビル、シロアリ、蚊類、ハエ類、ゴキブリ類など
●A群は人畜に直接の害を及ぼしたり、衛生面に脅威を与えるものなので、害虫として積極的に駆除することに躊躇はない。

B群
ハムシ、ニジュウヤホシテントウ、ハバチ類、ゾウムシ類、ガ・チョウの幼虫類、陸棲貝類など
●B群は農作物や栽培植物などに害を及ぼすもので、害虫という概念ではA群に通じるものがあるが、チョウの成虫のように一般的に害虫の概念から外れるもの、また種類によっては実害の無いものも含むので注意が必要。

C群
ハチ類、ゴミムシ類、シデムシ類、ハネカクシ類、メマトイ、ドクガ類、ムカデ、マムシ、ヤマカガシ、ハブ、ゴンズイ、サメ類、エイ類、オコゼ類、カサゴ類、クラゲなど
●C群は通常は直接の害を与えないが人畜との接触の状況により害を及ぼすもので積極的な狩猟の対象とは考え難い。ことに社会性を持たない大多数のハチ類は攻撃性がほとんどなく、逆に害虫の天敵である場合も多いので留意。

D群
ハンミョウ、タマムシ、イナゴ、セミ類、カブトムシ、クワガタムシ、イモリ、サンショウウオ、トカゲ、ヒバカリ、サワガニ、イソガニ、モクズガニ、各種魚貝類など
●D群は食用、飼育、観賞に供することが可能な分類であるが、飼育、観賞用にゴム銃で捕獲することは得策では無い。またイナゴやセミを食用に捕獲する場合にも損壊が著しいと食味にも影響する。

E群
アオマツムシ、ブルーギル、グッピー、カダヤシ、ブラックバス、ライギョ、アカミミガメ、キバラガメなど
●E群は外来種で、我が国の在来種に及ぼす影響、生態系の保護の観点からは積極的な駆除が望まれる。

以上は、便宜上の分類であって互いに他の要素を持ち合わせていたり、観点によって異なった見解もありうるが、それとは別に非狩猟者の認識を意識する必要を強調しておきたい。近年のエコロジーブームで生命を奪う行為に否定的な傾向が強く、殊に生物の生態に疎い者からの批判が多い傾向があるので、狩猟者は注意が必要である。誠に残念ではあるが、専らA群を対象とするのが無難と言えるかも知れない。なお、上記分類に含まれる内、水中に生息する生物、大形の両生類、爬虫類、などは現在の大半のゴム銃の性能では確実な捕獲が困難で、場合によっては反撃にあう可能性もあるので慎重な取組が肝要である。
以下の実猟に関する記述は、A群の中でも最も愛好者の多いハエ猟、ゴキブリ猟を中心に進める。

 

ハエ猟


ハエ猟の楽しみ
ハエ猟は、ほとんど四季を通じて楽しめる万人向きのゴム銃猟である。インドアでの駆除に留まらず、散歩がてらに屋外で渉猟するのも楽しい物である。獲物の処理さえきちんとすれば周囲からも歓迎される。獲物が小さいだけに射技が要求され、捕獲できた時の喜びも大きいものである。


ハエ猟専用銃を所持している向きは少ない。公式競技用銃やコックローチタイプを流用してもかまわない。猟野の状況やハエの種別によっては10番装弾でも充分なケースが多いので、携帯性のよい小型銃や銃身長可変型(アジャスタブルバレル)の兼用銃が便利。光学照準器、レーザー照準器は適さない。

装弾
16番装弾または、それ以下の番手で十分。16番用の銃器に18番を装填しても殺傷力に不足は無い。

渉猟場所
いたるところが猟場と言える。確実に数を上げたい場合には、鮮魚店の周囲や飲食店のゴミ置き場、牧場の付近などハエの好む場所に出向いてもよいが、その場合、土地所有者・店鋪関係者などの了解を得ること。ときには、ミツバチやハナアブと競って花のミツに集まることもある。特に初冬のヤツデの開花時にはキンバエの豊猟に恵まれることもある。

ストーキング
獲物がいきなり射程距離内に飛び込んでくることは稀である。従って狩猟者は獲物に忍び寄らなければならない。いわゆるストーキング技術がこの猟の正否をきめると言っても過言では無い。可能な限り獲物の後方または則方から接近することが望ましい。いずれの方向から接近しても相手は複眼で、常にこちらは視野に入っているものと考えるべきであるが、それでも真後ろや則方からの方が正面や上方(背面)からの接近より成功率が高い。接近は静かに、且つゆっくりと行い、常に獲物の様子に気を配っていることが肝要。ハエ特有の手を擦りあわせるポーズをしている時などは、油断があるとみていい。逆にそわそわと体の向きを変えたり、頭部を持ち上げるような姿勢の時は警戒している場合がおおい。いずれにしても狩猟者は、最大限に腕を伸ばし、身体の気配を殺し、銃先端から獲物までの距離を縮める努力をしなければならない。

射程
ハエ猟の最大射程は、16番のゴムの威力を基にすれば2メートル程度と考えられる。しかしながら、獲物が小さいこととゴムの弾道の不正確さを考慮すると、実猟では1メートル以内が現実的と言える。ストーキングの上手な射手では、10cmまで銃身の先端を接近させることもある。

射撃
小型の獲物を狙う場合には、獲物の部位まで考慮するのは困難である。頭部のみを打飛ばすように狙っても、ゴムの性質上、的確に頭部のみに命中させることはできないと考えてよい。従って、獲物の全身を的と考える他は無い。ただし、この際にもいくつかの配慮の余地がある。
・獲物が留まっているもの自体が獲物の残骸、体汁などで汚れて困る物ではないか
・獲物の背後に獲物の残骸が飛散して困るもの(食品、食器、衣服など)がないこと
・命中後のゴムまたは、失中弾が人畜をはじめ、悪影響を及ぼす方向に飛ばないか
留まっているところが、汚損しないためには英断を持って発砲を中止するか、あるいは「さらい撃ち」や「かすめ撃ち」などの技術でカバーする。

さらい撃ち

獲物の留まっている物体の表面と平行な方向から、獲物の直前の床面を狙って撃つ方法。ゴムと共に獲物が攫われるように消し飛ぶのでこの名称がある。この方法では、留まっているものの表面に影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要。日頃から射撃場のフライシュートなどで練習するとよい。

かすめ撃ち

獲物の留まっている物体の表面と平行な方向から狙うのはさらい撃ちと同様。ただし、かすめ撃ちでは、手前の床面のバウンドを利用せず、獲物のみを掠めるように射獲する。非常に練度を要する高等技術である。

獲物とゴムの回収
獲物とゴムは可能な限り回収すること。屋外で他人の迷惑にならない環境では獲物の放置が可能な場合も考えられるが、回収を習慣付けておきたい。ハエは不衛生な環境で生活することが多く、体内にも雑菌などが生息している可能性が大である。またニクバエの類では腹部の破裂に伴い微小な幼虫(ウジ)が飛散することがあるので十分注意したい。回収に当たっては素手で処理せず、ティッシュペーパーやビニル袋などの準備をしておくことが望ましい。命中弾のゴムも汚染されていることがしばしばなので、専用の回収器具やそれに変わる物を用意をしておきたい。回収した命中弾は、未使用や失中弾と分けて携行し渉猟終了後洗浄、消毒など適宜の処置をする。ちなみに生ゴムの純度の高いものは、放置された場合の分解が早く環境への影響も少ないとされている。

 

ゴキブリ猟

ゴキブリ猟の醍醐味
ゴム銃猟の中でも害虫駆除の意義が歴然とし、また大物猟の満足感を得られるのがゴキブリ猟である。ゴキブリは、神出鬼没な上、機敏で矢強い、ゴム銃ハンターの好敵手といえる。それだけに仕留めたときの満足度が高く、周囲からの賞賛の声も大きいものである。夜間の猟が多いことからフラッシュライト装着銃が便利。レーザーポインタやフラッシュライトを照準に使用するのも効果的。


16番以上のゴムを使用する中型、または大型の銃器が望ましい。至近弾では16番未満でも致命傷を与えることが可能であるが、手負いのゴキブリは始末が悪いのでストッピングパワーのある大型銃が手堅い。射撃銃を流用する場合は、銃身の長い、マッチボックス銃がよい。例外としてチャバネゴキブリ専門の猟を行う場合は、ハエ猟同様の軽量銃器が応用できる。

装弾
16番以上の強力なものを使用。装弾の番手だけ上げても、銃器が伴っていなければ無意味。例えば16番銃に18番装弾を使用したのでは、かえって威力が減じて逆効果。構造上安全な銃器では複数装填やマグナム弾の使用も効果的。

マグナム弾

装弾の一部に1〜3箇所程度、針金や糸ヒューズ、エナメル線などを巻き付けたもの。市販品はないので自作することになるが、ゴムのみの装弾にくらべ、ゴム切れや暴発、受傷事故がおこり易いので十二分な注意が必要。

渉猟場所
家庭の台所、ゴミ置き場、飲食店の厨房付近やゴミ置き場など。飲食店などの場合、土地所有者・店鋪関係者などの了解を得ること。

出会い
日常的には、ゴキブリは人間を避けているため出合いは少ない。不意に現われるために人々の不興を買うとも言える。従ってゴキブリ猟師は日頃から傍らに銃を置き、常に新鮮な装弾を身近に準備している。積極的な出合いを求めるならば消灯後1〜2時間位経た厨房を急襲する。照明点灯前に必ず装填し、直ちに発砲できる準備をして臨むこと。フラッシュライト装着銃でも、懐中電灯や部屋の照明でも点灯と同時にゴキブリの逃走が開始される。勝負は10〜30秒以内と心得たい。

射程
有効射程は1メートル以内と考え、可能な限り接近を試みる。

射撃

ゴキブリの場合は前半身を狙いたい。頭部は胸部の下に畳むように折り曲げているので確認できないことが多いが、見えていれば迷わず頭部を狙う。床面では背面から直接狙うが、シンク周りやテーブル上では、食器や食物を汚損する恐れがあるので、ハエ猟で述べたさらい撃ち、かすめ撃ちを励行されたい。初弾で仕留められない場合もままあるので、直ちに2の矢を装填できる準備と技量を備えたい。ハエ猟の静標的に比べて、ゴキブリ猟は動標的の狩猟と言ってもいい程、獲物の動きが激しい。慣れないうちは、初弾の命中を喫して一瞬の停止の機会を逃さず発砲する。ハエ猟以上に獲物の習性を熟知する必要がある。

諸注意!
上記以外の猟も注意点等には大きな違いは無い。ただし、留まっている獲物を狙う時にもそうであるが、殊に飛翔中の獲物を狙う高度なイエバエ猟やヒラタアブ猟(非推奨)、トンボ猟(非推奨)などでは矢先に充分な注意をはらうこと。
無益な殺生、あるいは一般にそう捉えられがちな猟は慎み、非狩猟者からゴム銃猟に対する正しい理解を得られる様心掛けられたい。
危険な銃器、装弾の使用、本来の用途以外の用法で事故を起こすことがある。常に猟具の整備点検、補修、装弾の交換などに配慮されたい。
ゴム銃狩猟者は自らの満足に留まらず社会に貢献する気概をもって猟に臨むべきである。
狩猟事故は思いもよらない切っ掛けで起ることが多く、猟暦の永い者でも油断は禁物である。

狩猟事故例参照
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