沢庵をきざめば空に桃色の春うっすらとのぞいていたり
中国の壺をたたけば花の下小さな竜が燈りをともす
新しい手話おぼえたらまっすぐに人魚の泳ぐラウンジバーに
よかったね 八万年の彼方からお前の眼に落ちた星たち
月の石耳に当てればさらさらと銀河の沢のせせらぎの音
空を飛ぶ竜の背中にねそべれば月のバターはとろけるばかり
バスタブを出れば私と溶けあえるものなど何も何処にもないと
バビロンへ何マイルだろう 傾いたサーチライトの道標から
真ん中の卵の黄身を思いつつ白いシーツにくるまれ眠る
直列の惑星ほどける春の朝オムレツ一つ空【くう】に生まれる
かまどから出したばかりのライ麦のパンの熱もて告げるべきこと
逢いに行く 直行便のチケットのするどい角を指ではじいて |