圏外からのひとこと出張所(ライブドア編)


2005年10月25日

ルールの上の競争とルールを巡る闘争 -- (本家記事へ)

あるものごとについて対立している時に、両者が特定のルール上で「競争」している場合と、ルール自体を巡ってより激しく「闘争」している場合がある。

スポーツは典型的な「競争」であり、競技者は、スポーツのルールやそれを具体的に裁定する審判に権限があることに合意している。企業同士が市場の中で競争することや、政策を巡って政党や候補者が票を奪いあう選挙戦も「競争」である。

しかし、のまネコ問題における2ちゃんねるとAVEXの対立や、TBSと楽天の経営統合問題は、対立する両者が合意するルールが存在しない所で起きている「闘争」である。これらがどのようなルール、裁定者によって裁かれるべきかという所に、対立の本質がある。

朝日新聞、靖国問題で社内乱闘…40代社員が暴行 -- ZAKZAKというこの事件も、「闘争」的な要素が大きいと思う。

40代社員は激怒し、30代社員に体当たりや胸ぐらをつかむなどして暴行を加えた。さらに、30代社員が携帯電話で110番通報しようとしたところ、40代社員が携帯を奪い取り、真っ二つに破壊したという。一連の暴行で30代社員は腰に10日間のけがを負った。

また、数字を前にして話をしているうちに、激昂して手が出るっていうこの事件は、つい先日、私が書いた次の政界再編は「親2ちゃん党」と「反2ちゃん党」に?で以下のような表現で問題にしていたことにピッタリの事例でもある。

政治的な対立というのは、議論してるうちに血管がブチ切れそうになるような、熱いものにならないとうまくない。

権力と世界観に両方関わる問題で譲歩することや敗北することは、死ぬことに近い屈辱だ。

実際に手が出てしまうのは、いくら朝日新聞とは言え例外的な馬鹿だろうが、こういう問題について手が出そうになるくらい激昂する人は、実はたくさんいると思う。

世論調査や匿名掲示板というコンピュータシステムに現れる「意思」をどう汲み取るかは、世界観の問題であり権力の問題である。だから、ここで絶対に譲れない人たちが一定数いて、ここに物凄いコンフリクションが起こることは間違いない。

mumurブログさんの「保守主義者・愛国者」VS「反反日・反左翼」という分析のポイントとなる部分をfinalventさんがうまく切り出しているが、「保守主義者・愛国者」は「反日」の人と同じ土俵の上で「競争」しているが、「反反日」の人は、彼らが磐石のものと信じているルール自体を笑うという「闘争」をしている。彼らはそれを「闘争」として認識できておらず、反撃が旧来の「競争」の枠組みに収まっているので、何かやるほど多くのネタを提供してしまうのである。

「闘争」をする上では、自分と違う価値観の存在を容認できる方が有利である。相手の存在を認識し、その価値観と自分の価値観の違いをよく理解していれば、その違いを戦略的に利用できる。ある時は、相手のロジックに乗ってそれを逆手にとって自分の主張をし、ある時は、相手が無意識に立っている地盤を崩す攻撃する。変幻自在に相手の世界観を崩壊させていく。

「競争」をする時には、ルールを意識するより無意識的に反応できるように体で覚えてしまった方が有利だ。しかし、それは「闘争」に習熟した相手には通じない。通じないというより、むしろ不利になる。

「闘争」は見方を変えれば、より上位のルールの中での「競争」となる。ひろゆきもホリエモンも世論を独自の方法で動員するが、人を殴ったりはしないし最終的な裁判所の命令には従う。間違った法律は合法的に変えようとするし、仮に暴力的な脅しがあれば法的な手段で対抗するだろう。法治主義と民主制度と市場システムの根幹は残したまま、その中で戦っている。

やがて、そういう彼らの戦い方には合意しつつ、別のルールを打ち立てようとして彼らと対立する「競争」相手が出てくるだろう。

「競争」のように「闘争」をできる社会を、これから我々は作っていくべきだと思うし、世の中はそのような方向に進んでいると思う。ただ、その過程には、たくさんの「闘争」が必要である。対立を見る場合には、両者の合意していることと合意していないことに、常に注意を払う必要がある。そして、自分が合意できることと合意できないことに常に意識的であるべきだと思う。

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書いている人: essa



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