<<1999年8月 の日記>>

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 . . . .

1999/8/8

夢にユースケ・サンタマリアが出てきた。 私は芸能人が夢に出てくることはほとんどない。 珍しいことなので、何か意味があるかもしれない。 ちょっと気になった。

自分では、これはユング心理学でいうシャドウではないか、と解釈した。 自分の影の一面、生きられてない隠された一面の代理人のようなものだ。 なぜかと言うと、私が持つ彼のイメージは「芸能界一底の浅い人」。 今の芸能界はボケ、ヨゴレの類は多くても、底の浅い人は意外に少ない。 むしろ深い奴や経営感覚に優れた芸人が多い。 こういうのが多いとツッコミはやりずらい。 ボケが深すぎたり、逆に妙に類型的だったりする。 それに対して、ユースケ・サンタマリアの言うことは、文字どおり「馬鹿」。 だごそのためにかえって、ツッコミの創造性が発揮される。 これはこれで貴重な人かもしれないし、本人も薄々とはこれを意識しているような気がする。 そして、この開き直ったような「底の浅さ」が、自分の「生きられていない半面」であるのではないだろうか?と考えたのだ。

しかし、うちの奥さんは彼に対して全く違う見方をしていて驚いた。 詳しいニュアンスは理解できなかったが、彼のことを非常に深い人でしかも今、悩んでいると言うのだ。 びっくりしたが、それを言われて「眠れる森」を思い出した。 あれの脚本の人も同じようなものを見ていたのかもしれない。 ユースケ・サンタマリアは、親友を裏切って自殺するという非常に屈折した役を演じていた。 「何でこいつがこんな役を?」と思ってみていたら、意外にアタリでうまく演じていたのにビックリした。

話は変わって、ソニーのAIBO。 来年から大量生産するそうだが、読売新聞に小田原市の教育委員会が2台買って、これを小学校に貸し出すという話が出ていた。 それはいいことだと思うけど、1台は不登校の子供に使わせるという。 AIBOで「少しでも心の世界を広げてあげたい」と言う目的だそうだ。 不登校=情緒的な障害という見方自体が問題だが、それにしてもAIBOで?と思っていたら、それに続くソニーの広報部のコメントが立派なものだった。

「AIBOはあくまでもプログラムどおりに動く機械。 命の教育材料としては、本物の生き物に勝るものはないので、先生方には、機械は生き物の代わりにならないことを念頭に置いて、使い方を工夫していただきたい」

AIBOは、ただの手続き的なプログラムでなく、感情なんたらのシミュレーションという意欲的なロジックを入れてあり、それが売り物のひとつ。 いくら正論とは言え、そういうセールスポイントを自己否定するようなコメント。 しかも、今回の販売の趣旨は、「ユーザに使い方を見つけてもらう」と部分があるので、そういう意味では、子供に使わせるということ事体は悪いことではないし、ソニーとしても大歓迎だろう。 そこに情操教育という要素を持ち込むことがおかしいのだが、これを短いコメントで誤解されないように言うのは難しい。 こういうふうに背景を考えると「機械は生き物の代わりになりません」とズバっと言うことは、なかなか勇気がいることだ。

さすがソニー、広報部ひとつとってもどこかとは大違い。

1999/8/9

Japan Mail Mediaは基本的には経済のメールマガジンである。 学者からみたら通俗的なのかもしれないが、頭の痛くなるような難しい話が毎週ぎっしりつまっている。 しかし、*村上龍*が編集長だけあって、たまにこんな面白い文章が出てくる。 痴漢が多いのは日本だけ、欧米ではそういう奴はレイプに走るという話をして

そりゃ言うまでもなくレイプは絶対的な悪です。 でも痴漢は「覚悟」がないのよね。 痴漢は「ぬるい」でしょ?

この「ぬるい」日本人を痛烈に批判しています。 視点も表現も鋭いと思いますが、これを書いている人の素性を知るともっと驚きます。

で、話は変わってまた新聞ネタ。 来年から、遺伝子組換技術を使った食品は原料にそれを明示しなくてはいけなくなったそうだ。 そんなこと書かされたら売れっこないので、それを使ってない原料を求めて東奔西走とか、それを試験するサービスがおおはやりというニュースがあった。

このドタバタぶりを見ていると、我がコンピュータ業界を思い出してしまう。 本質論や腰をすえた基礎研究がほったらかしで、目先の技術で右往左往している。 このままいくと、バイオテクノロジーの業界にもWindows95みたいなごちゃごちゃの変な技術が生まれてくるのではないか。

Windows95を私は技術的に評価する。 仮想的にDOSやBIOSを扱う所には独自の凄い技術が入っていると思う。 だけどそれと同じくらい、政治や打算や陰謀から生まれた妥協やナンセンス、コントロール不足による混乱もぎっしりつまっている。 誰ひとりとして理解できない、化け物のような変態OSである。 あれよりマシなOSを作れるヤツはいくらでもいるし、実際にたくさんある。 マイクロソフトだってNTというずっとマシなOSを作っている。 だけど、あれより売れるOSを作れたヤツはいない。 マイクロソフトもNTを98の後継OSにしようという計画は失敗しかけている。

でも、パソコンではこの制御できない変態がOSが悪さをしても、青画面に毒づいて再起動すればよい。 バイオテクノロジーの世界で、こういう制御できない変なウイルス(だけど当座の問題だけはよく解決する)かなんか出て来て、それが売れまくったらどうなるだろう。 バイオのことは何も知らないけど、こういう世界で「青画面」出したらとんでもないことにならないのだろうか? 技術の進歩が早いこと、そういう技術がいちいち金になること、いろいろな会社がうごめいて一攫千金を狙っている様子など見ていると、パソコンとすごく似た状況になってきているような気がする。


[UP]