<<2000年10月 の日記>>

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2000/10/14

江戸時代の日本人は、薩摩とか長洲とか藩というレベルでアイデンティティを持っていた。 99.9%の人間が「自分は日本人」だということを一生のうち一度も考えたことはないだろう。 「水戸藩の人間として恥ずかしくなく」とか「御家人の家に生まれて」とかいう思考しかなかった。

それが、昭和のはじめには「日本人」というナショナリズムが暴走してああいうことになったわけだが、 どうしてあっというまに切りかえられたかと言えば、世界観の中に欧米という「外部」が出現したからだ。 薩摩や長洲のレベルから日本というレベルに切りかえたのだから、 同じ理屈で「地球人」というアイデンティティを持とうとしてもうまくいかない。 そこに外部がないからだ。 宇宙人とつきあいだせば、地球人というアイデンティティを実感できるだろうし、 他の銀河系の連中が行き来するようになれば、「銀河系人」という連帯感も持てるかもしれない。

逆に、毎日毎日会社の中に埋没しているような人は、 日本人としての自分よりはるかに多く「○○の社員」と自分のことを規定しているだろう。 ただ、それはライバルや取引先と接する職種に限られていて、 大企業の内勤でその中で閉じた仕事をしている人は、 「○○工場の連中は」とか「○○部がいつも問題をおこす」という感じで、 部門のレベルでものを考える。

共通点を言うと、その人が「世界全体」と感じるもののひとつ下のサブシステムが、 アイデンティティを持ちやすいということなんだよね。 そして、その世界に対してアイデンティティを持とうとすると、 それを本音として実感として持つためには、どうしても「外部」が必要になる。 世界全体のレベルをひとつ広げればそこにアイデンティティを持つことができるようになる。

これは、人間が酸素を必要としたり水がなければ生きていけないのと同じような意味で、 ある種の本能として刻みこまれてると思った方がいいかもしれない。 坂本竜馬が当時「日本」という発想を実感していたのはすごいことだが、 それは単に彼の視野がひとつ上まで広がっていたと考えるべきであって、 坂本竜馬でさえ「世界全体のひとつ下のサブシステムにアイデンティティを持っていた」ことは同じなのだ。

ちなみにこれは、人間が自分の心全体を意識できず、その一部を「自我」としてくくりださないとやってけないことに対応している。 だから、「外部」抜きで地球人というアイデンティティを持つことは、 こころの全体に自我を拡張するような、すさまじい変革なんだよね。 地球環境の悪化とかネットとか、そういう地球レベルの発想を要求されることが随分多くなってるけど、 相当覚悟をきめて「こころ」を鍛えておかないとこりゃヤバいぞ。


2000/10/27

非拘束名簿式とドットネットは、 「落ち目のビッグネームがアンチを取り込もうとして放った起死回生の一打」という所が似ている。 しかし、アンチの気持ちをどこまで理解してるかを考えてみると、 全く対照的だと思う。

自民 VS 社会・共産の時代には、選挙は基本的に組織表対組織表の戦いだったわけで、 自民党にはこの発想がしみついているんだろう。 だから、無党派なんて連中が増植してくると不気味でしょうがないんじゃないかな。 本当ならそういうわけのわからん連中を徹底的に研究しなきゃいかんのだが、 人間どうしても自分の概念にないものからは目をそむけがちだ。 それで、非常に表面だけとらえて「タレントそろえて人気投票にもちこめばなんとかなる」という底の浅い戦略しか思いつかんのだろう。

タレントの名前だけ見て、それが自民の票になるのもかまわず投票するようなバカはたくさんいるかもしれん。 しかしそこまでバカだと投票に来ないんじゃないかい? 義理もないのにわざわざ選挙に行く人は、多少はモノ考えるわけで、 この制度は無党派の死に票を集約して寝た子を起すだけだろう。

無理をゴリ押しだけの権力があるなら、ちゃんと自分の有利になることをしなきゃいかんと思うが、 そこはさすがにマイクロソフトは抜けめがない。 例えば、アンチMSの有力な勢力として、学者関係があった。 ちゃんと理論的にコンピュータを研究してると、 UNIXだって20年前の腐ったOSに見えてくるから、windowsなんて存在しないも同然だった。 しかし、ドットネットの一部は有力な研究者が支持してるんだよね。 そのカラクリは、アンチ*Java*の仮想マシン。 Javaがメジャーになりすぎて、プログラミング言語を研究してる人はここ数年は面白くない思いをしていた。 マイクロソフトはそこに目をつけて「Java以外なんでものせます」という仮想マシンを提案している。 Eiffelのメイヤー先生がこれに見事にひっかかってるんだが、 言語やってる人は気になるわな。 学者筋がMS側に回るなんて、去年までなら考えられなかった動きをちゃんと起こしている。

ドットネット全体も、アンチ*linux*をまとめようとしてるのかもね。 もうちょっとしたら、linuxの天下になって他のOSやってる人は腐ってくる。 その時に、「linux以外なんにでものります」というミドルウエアを出そうってのがドットネットというわけだ。 つまり、windowsはその頃にはone of themになってると読んでるのかもしれない。

成功するかどうかはわからないが、敵方をよく見て戦略たててる感じはするね。 やっぱりゲイツは凄いし、凄い奴が天下取るようにできてるアメリカって国もなんだかんだ言ってよくできた国なんだなあと感心しました。


2000/10/28



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