それぞれの小説・それぞれのエピソード

 

1作の小説を書く時、さまざまな苦労や裏話があるものです。

ここでは、そんな作者のエピソードを書こうと思う。

おおむね新しいものから順に、気軽に書いていきます。

 

「潮風通信」

(小学館文庫 ・ 98年9月6日)

以前から、こういう、写真集でありエッセイ集である本を出したくて、それが、やっと実現したのが

この1冊です。とはいうものの、写真選びが、大変でした。すごく大きな仕事机が必要なので、

親友で飲み友達のイラストレーター、鈴木英人画伯の広い仕事場の一部を借りて、作業しました。

広い仕事場の、かたすみでは、僕が写真のポジを並べて・・・あっちの方では、英人画伯が

トレースをしていて・・・なんか、夏休みの宿題を、友達の家でやっていたガキの頃の気分に

なってしまいました。そう・・・確かにこの夏は、この作品集のおかげで忘れられないものになった。

(しかし、この2名のガキどもは、夕方になると、宿題をほっぽり出して、ビールをもとめ、

街に飛び出していくのだった・・・ハハハ)

 

「ブラディ・マリーは飲まないで」

(角川文庫 ・ 98年7月25日)

はじめ、井村の恋人・由樹は典型的なブランド女で、まあ、ストーリーの中では、悪役になる

はずでした。でも、それじゃ、ストーリーが安っぽくなりすぎ・・・という気持ちが強くなり、

結果的に、ああいう物語になりました。この小説を書いている間に、僕の中で、何かが

変わりはじめたようです。軽快な青春小説のなかにも、人生の真実みたいなものの断片を

ちりばめたい・・・と、そんな風に心を決めたわけです。ターンニング・ポイントかな・・・。

恋人たちにとって、別れることが、おたがいの人生にとって、前向きな1歩になることも

ありうる、という、ホロ苦い事実を、書いてみました。ホロ苦くても、爽やかなエンディングに

なっていれば幸せです・・・よくできたフローズン・ダイキリのように・・・。

 

「ロバートを忘れない」

(光文社文庫・98年3月20日)

湘南探偵物語の、というより、万里村桂シリーズの7作目。この本の発売が

3月。ということは、原稿を書いていたのは、12月から2月はじめの真冬という

ことになるわけです。寒い冬が嫌いな僕にとって、夏を舞台にしたストーリーを

書くのが、一種の寒さしのぎになりますね。だから、冬に書いた小説は、

普通より、夏の情景描写がていねいになりがちです。その辺も意識して

読んでみるのも、おもしろいかも・・・。

このストーリーのラスト近く、(P289あたり)、桂とロバートとのラヴ・シーン、

女性歌手の歌う「ウィア・オール・アローン」が流れる、とありますが、これは、

ここだけの話、タ・クーリッジという人のバージョンです。

ハワイでFMで聴いて、すごく、印象に残ったバージョンです。すごく古い

バージョンなんだけど、ハワイのFM局、KRTRでは、さかんにかけてたなあ・・・。

たぶん、そのDJが、気に入っちゃったんだね。1日に10回はかかってた!!!

これって、日本じゃない事だよね・・・。やっぱ、ハワイはいい!!!

みんな自由で、流行に関係なく本当に自分がやりたい事をやってるもん・・・・。

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