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― 耐震診断・耐震補強例 ―

 S邸 耐震改修補強工事 

最終更新 2007.1.31


(1)S邸耐震補強 -簡易耐震診断-

Sさんのお宅は築30年の2階建て在来工法住宅で10年前に地元の工務店で増築を行っています。

リフォームに先立ち耐震診断のご依頼を受け、建物の状況等の確認のため現地にて調査を行った結果、幾つかの耐震上の問題点を確認・推測できました。

築30年を経過してい、建物の構造体の老朽化が推測される。
 → 構造金物の劣化、木材の劣化等

30年前の基準で施工された基礎や筋交い
 → 無筋のコンクリート基礎、くぎ止めの筋交い

 → 増築により2階外壁下部の1階柱や耐力壁が撤去されてい、建物の耐力壁の配置に大きな偏り(偏心)を生じている上、2階の重量を受ける柱も不足している。

また、幾つかの耐震上、有利に働く事項も確認できました。

 → 地盤の地耐力の状況は良好で、基礎に重大な変形、破損、亀裂等は確認できなかった。

 → 屋根の仕上げは「カラーベスト」で重量の軽い物である。

上記の結果を踏まえ簡易耐震診断評価を行った結果評点は

【0.4点】「倒壊または大破壊の恐れ有り」】と言う結果となり、2階建て部分に絞った検討では増築により耐力壁が撤去された影響を受け評点はさらに下がり【0.2点】とさらにさがりました。

建物を総合的に評価すると増築により耐力壁が撤去された部分が建物の弱点となりこの部分が地震時に大きく歪み急激に建物の破壊が進む可能性が高い事がわかります。この部分の1階には夫婦の寝室があり、地震時に倒壊する建物から避難する十分な時間が確保出来ないことが考えられ、リフォーム時に耐震補強工事を同時に実施することを提案しました。

簡易耐震診断の評点

1.5点以上→「安全」

1.0点〜1.5点→「一応安全」

(基準法規定の最低基準程度)

0.7点〜1.0点→「やや危険」

0.7点以下→「倒壊または大破壊の恐れ有り」

(2) S邸耐震補強 -補強計画-

当初のリフォーム計画は建物1階東南の角の内装仕上げのリフレッシュと2階の畳床をフローリングに張り替えを予定してい予算的にもその程度の費用しか準備が無いため、補強の優先度の高い内容と今回のリフォームに関係する部分に絞り工事を2期に分けて行う様計画することとしました。

また、特殊な補強工法を使用するとメーカー技術料が高く工事費用が上がる為、一般在来工法用の構造補強金物を使用することにしました。

工事内容

1)

増築時に撤去された柱の再設置と耐力壁の設置

2)

1階南東の部屋の内装改装に伴い、新たに筋交いを設置し構造金物で固定する。

3)

1階南東の部屋の内装改装下地を構造用合板とし筋交いに加え耐力を強化する。

1期工事では、評価点0.9まで補強が可能で地震時に建物から避難する時間を十分確保する事を目標としました、2期工事では外壁のリフォームを行う時に外壁の一部を解体し、外壁側から補強する事になります。建物を引き続き長期間使用される場合はぜひ実施することをお勧めしました。

また、その他のリフォームを実施する際もそのリフォームと同時に耐震補強が可能か検討をお勧めしました。

(3) S邸耐震補強 -補強工事(東南の洋室)-

南東かどの部屋の壁と天井の仕上げと下地を撤去。古い筋交いの手前に新しく筋交い(45mm×90mm)を設置。【写真左】

奥の古材が元々の筋交い(20mm×90mm)【写真右】

元々の筋交いは材の厚みが薄すぎ、筋交いを押し潰す力が掛かると曲がって折れるため役目を果たしていない。

左は新しく設置した筋交い。筋交いプレートで梁と柱にビスで固定。

右の古い筋交いは釘1本で固定されており、筋交いに引っ張り力が働くと容易に抜けてしまいやはり役目を果たさない。

筋交いを設置した柱を基礎とホールダウン金物で固定します。また、梁とも固定します。

ホールダウン金物の写真

筋交いプレートの写真

柱脚・柱頭の固定金物。様々な金物を使用して耐力壁を固定する。

筋交いの施工後、構造用合板をN50釘・150mmピッチで取りつけ耐力壁を強化する。

写真では解りにくいですが構造用合板は2階の梁まで達しています。

聞き取り調査でこの住宅の住人にシックハウスの既往歴が無いためF☆☆☆☆の構造用合板を使用しました。

最後にクロスを貼ってこの部屋の工事は終了です。

(4) S邸耐震補強 -補強工事(耐力壁と柱の追加)-

増築により柱や耐力壁が撤去された個所に柱と耐力壁を新たに設置します。

設置位置は昔の基礎が残っていた、昔の外壁ライン上に設置することにより新たに基礎と土台を設置すること無く補強工事が行え、コストダウンにつながりました。

基礎と柱を固定するホールダウン用のボルトを「ケミカルアンカー」【写真右】で基礎に固定します。

今回の耐震補強は結果として当初のリフォーム費用+30万円程度で補強することが出来ました。

最近「金物だけ付けませんか」という耐震補強の悪徳業者の話を良く聞きますが、金物は筋交いなどの耐力壁とセットで使用しなければその能力を引き出すことは出来ません。このお宅の様に筋交いがほとんど用を足していない場合、金物だけ付けても、「全く意味が無い」に限りなく近い効果しか期待できないと言えます。

また、このお宅でも、業者が増築部分の床下の写真を撮り「床束がずれている」と指摘し補強を薦めていました。当方で確認すると、確かに一部の床束がずれており、さらに束石はコンクリートブロックと言う仕様で、あまり誉められた造りでは有りませんでしたが、重要な柱を増築時に抜いてしまう工務店ですから無理もありません。ただ、床束は名前の通り床を支えているのであって、直接建物の地震に対する強度に関係するものではありません。この事で耐震補強を薦めるには根拠が乏しいと言えるでしょう。

(ただし、増築部分の施工程度の悪さがわかっていましたので、下野小屋組み内から、金物等の施工を確認した所、平屋としては問題無いレベルであることが確認出来ました。)

また、この建物の耐震上の弱点はあくまでも2階の載っている部分です。そのことを指摘せずに耐震補強を薦めるのは根拠が乏しいと言えます。こう言うケースの場合には適切な耐震補強は難しいでしょう。

増築時に柱を抜かれた梁は中央部で約6cm下がっていました。

この梁の上部の外壁と屋根の取り合い部分より雨漏りが発生していましたが、この梁が下がったことにより発生していたと考えられます。

後は新設した耐力壁にボードを取りつけ、クロスを貼って仕上げとなります。


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