伏見人形

 京都府京都市、伏見稲荷大社付近で江戸中期より作られている土人形.日本の土人形中最古の歴史を持ち、全国の土人形産地のほとんどが、直接または間接的になんらかの影響を受けており、日本の土人形のルーツとされています.特に江戸期から明治中期の古伏見人形は、しっかりとした鋭い型に丹、緑青、紫土、黄土の4色を中心に美しい彩色がされていて、優品ぞろいです.
寶船乗り童子

  丹と緑青、黄土、紫土の古伏見四元色で彩色された明治初期の伏見人形です.近くは稲畑,遠くは酒田で抜かれていますが,やはり本家の伏見の作品にはかないません.この人形は,庄内で採集されたそうですが,北前船に揺られて運ばれたのでしょう.

熊金

 多くの産地で抜き型が作られた,有名な伏見の熊金です.さすがに本家だけあって型くずれもなく,迫力満点の作品です.後世の作品は金太郎が赤塗りでとなっていますが,この金太郎は,まだ古伏見四元色を中心に鉱物顔料が使用されており,明治中期の古伏見に分類されます.富士忠の型です.

鯛抱き童子

 子供が恵比寿帽をかぶっているので,いわゆる,鯛抱き恵比寿の子供見立てと思います.

宝袋持ち童子

 この人形の魅力は,何と言っても.たっぷりと墨を含ませた筆で一気に描かれた面書きにあります.こののびやかさ,おおらかさこそ,古伏見人形の魅力です.

熊乗り金時

 赤物と呼ばれている小品です.高さ7cm程度ですが型はしっかりとしていて、かっちりと焼きしめられており,赤物の中でも比較的古い作品です.背面に欽古堂亀祐の刻印があります.

原型 徳吸ちょろ

  原型とは土人形の元になる雄型のことで,きめの細かい良質の土で硬く焼きしめられています.この原型より雌型をとり.その型を使ってたくさんの人形を作ります.伏見人形の原型は,歴史の重みを感じさせるだけでなく,美的価値もなかなかのものです.
 この人形は,戦前までみられた京都独特の風物詩ちょろけんのうち,徳吸と呼ばれるひょっとこです.伏見人形の代表的作品として知られていますが,この型は,郷土人形図譜第2巻伏見人形No18に掲載されている以外あまり見た事がありません.ただでさえ怪奇的な人形ですが,彩色されてないぶん怪奇性が増しています.