長浜人形

 日本海に面し江戸時代北前船の寄港地として栄えた島根県浜田市で、江戸後期より永見家で作られている土人形、明治後期に廃絶しました.その後何回か復活されましたが、いづれも永見家の作品にはおよびません.目がつり上がり気品のある顔立ちで、美しいフォルムを持つ人形です.佐渡や東北の日本海沿岸からも見いだされることより、北前船により、広く販路を持っていたことがうかがえます.永見家の古長浜の作品を並べてみました.
扇持ち

 つり上がった切れ長の目、きりりと引き締まった口元、山陰の美人とよばれるにふさわしい面書きです.ひるがえった袖の動きもやわらかく長浜女物の優品です.明治中期の作品.

花魁

 

 動きは少ないですが、端正な作りで、少々勝ち気な顔をした花魁です.この人形が、北前船にゆられて、はるか佐渡島まで送られ、型抜きされ、佐渡八幡人形の花魁となったのは有名です.

朝比奈の門破り

 ある図録に上記の題名がついていましたが、歌舞伎にうとい私には詳しいことはわかりません.土人形としては非常に動的な人形です.背中に持っているのは矢防ぎでしょうか.古長浜の傑作の1つです.

天神

 長浜人形の天神といえば,頭が大きくいかつい顔をした神像のような黒衣の天神が有名ですが,この天神は内裏のようにとても小さな頭で気品がある顔立ちをしており,衣は紫土が使用されています.雛壇の上段に飾られていたためか,かなり顔がうつむいています.色使いより,江戸期の永見家初期の作品ではないかと思っています.