寺沢人形

米沢で作られていた相良人形とは全く異系統の土人形です.童子物が多く,しばしば相良人形と混同されて紹介されています.黒みを帯びた赤色の使用,粉っぽい緑青,梅花紋の多様,前髪の前方と後方部分が分離されていること等,明らかに相良人形とは異なる特徴を有してます.相良家人形3代厚正の妹の嫁ぎ先,寺沢家で作成された可能性が推定されています.寺沢人形の型は大きく伏見型、堤型、御所人形手、独自型の4種類に分けられます。

俵持ち童子

 寺沢人形の型は伏見系の抜き型,堤系の抜き型,御所人形系抜き型,寺沢独自型に分類されています.この人形は伏見抜き型に分類される人形と考えられますが,御所人形風の上品な顔に仕上げられています江戸末期の作品です.

獅子舞

 この人形も伏見抜き型に分類される人形と考えられます.赤を中心に清楚にまとめられています.上半身の赤は寺沢独特の少し黒みがかった赤ですが、下半身の赤や獅子頭の赤は丹と思われる鉱物顔料が使用されているようです.小品に見所が多い寺沢の中で、高さ18cmと存在感があります。江戸末期.

童子 御所人形手

 郷土人形は、上流社会で流行していた上手物の衣装雛や節句人形などを、土型により安価かつ大量に作成することにより庶民のひな祭りの中心を担うようになりました。当然、上手物の代表である庶民にとっては高根の花であった御所人形も模倣の対象となってもよさそうですけど、御所人形にアイデアを得て作られた人形は散見されるものの、ずばり御所人形そのものを模倣したのは、ここ寺沢のみではないでしょうか。型だけでなく、上質な胡粉による磨き出し、布仕立ての胸掛けなど、完全に御所人形を模倣しています。御所人形手は寺沢の中でも最も優れているうえに、意外と残されている人形は少なく貴重な人形となっています。
 掲載の人形は、御所人形そっくりに作られているものの、前髪の前方と後方部分が分離されており、水引も描かれておらず、寺沢の特徴がよく出ています。お決まり通り胸掛けは布製です。御所人形でよく見かける型であり、手に穴があるので、おそらく手に軍配や春駒等を持っていたものと思います。持ち物が残されてないため外題に困りましたので、御所人形手 童子 としておきます。
 高さは16cmのですが、大きさを感じさせる人形です。