米子人形

 西岩倉町の出雲屋新右衛門,四日市町の佐野豊次郎(鯉仙堂),朝日町の見好林吉などの作者の記録があり,数件の作者があったものと思われます.武井武雄の日本の郷土玩具(昭和5年)に,すでに廃絶の記事があるので,昭和初期には廃絶していたことになります.山陰の人形に共通した,生土の泥人形ですが,磨き出された顔や,丁寧な彩色で,この地方の人形の中で,最も気品があるような気がします. 
象唐子

 象と唐子の人形は日本各地で見られます.白象のことが多いので,普賢菩薩の見立てものなのかもしれません.実際,三次人形には明らかな,子供普賢菩薩の伝世品があります.
 写真では分かりにくいかもしれませんが,象の部分には全体に雲母が塗られていて,美しい仕上がりです.底はふさがれていますが,内側に少しくぼんでいます.米子近辺から出る大型の人形にときどき見る底の作りで,一つの窯元の特徴かもしれません.
 高さ37cmあり,象の部分は,実際にはかなり凹凸があり,量感があります.

おぼこ

 決して上手ではありませんが,鶴や松,花など非常に描き込みが細やかで,それでいてうるさくもなく,調和がとれた彩色です.もちろん生土で,顔は磨き出され,米子の特徴がよく出ています.顔にはほんのりと紅がさされています.糸状の髪の毛が残っていれば,また雰囲気が変わったのでしょうが,boyishなおぼこです.高さも40cmと大きく,全国のおぼこの中でも出色のできです.明治後期の作品でしょう.