この詩は最初、縦書きのウイグル式のモンゴル文字で書かれたものですが、ロシア式文字の出版物でモンゴルの読者に愛されてきたものです。ロシア文字が読めない方も、各文字を眺めてみると、行数や音節数、文の頭や末尾の文字になにかしら規則性や繰り返しのようなものが感じられるのではないかと思います。この詩が韻文としての規則に従っていることがお分かりになると思います。その形式や音楽性の部分を翻訳することはできません。拙訳はおよその意味と詩の雰囲気をお知りいただくための方便です。敢えて、みなさんが「モンゴル的」だと感じるものを選ばなかったのは、モンゴル的という言葉に幻惑されていただきたくないからです。

      恋

        D・ナツァクドルジ

               (訳 芝山 豊)

山と清水があい和せば、小鳥の囀りも歌となり   

まこと心がひとつなら  まこと言葉も響きあう

恋というもの  純金よりも価値あるもの    

手にいれるのは たいやすいことじゃありゃしない

まことの心は  この世の中にゃ稀なもの

一つになった 二つの心は 黄金の塊

隙間ない固い絆にゃ、針の先さえ、通りゃせぬ

それでも恋は壊れ物

ほんの少しでも、傷つけりゃ  

くずれさるのは わけもない

 

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