| ラケットのバランスって何? |
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自分の手に馴染むラケットを手に入れたいと誰もが考えています。ラケットショップには何十種類ものラケットが美しく掛けられていていったいどれを選んでいいのか上級者でも悩んでしまいます。 1.重さを測る 2.重心の位置を調べる 3.振ってみる これらはラケットショップでよく見かける動作で、ラケットのバランスを構成する3要素を調べているのです。なかでもラケットは振り回すための道具なので実際に振ってバランスを調べることが最も重要な要素です。 重さの表示は2U、3Uなどと表示されており、秤で測ることも出来ます。また重心もモノサシがあればその場で調べることができます。しかし振って調べるほうにはトップヘビーとかトップライトといった人間の感覚にたよる曖昧なモノサシしかありません。ある人にはトップヘビーと感じるのに、他の人にはトップライトと感じるということもあります。 ラケットは長時間使うものです。1時間以上の試合というのも結構あります。自分に合ったバランスのラケットを使わないと時間経過とともに振りが鈍ったり肘が上がらなくなってきたりします。 上の1〜3の方法でラケットのバランスを調べるにはつぎのようにおこないます。 1.重さを測る ラケットの重さ(正確には質量)を測るのは簡単です。ラケットを秤に載せればいいだけです。市販の競技用ラケットには重さ表示があり、ほとんどのラケットは81〜93gの範囲に収まります。
現実のラケットはこれにガット(ストリングス)を張り、さらにグリップテープを巻いたりするため重くなります。タオルグリップだと汗を吸ってさらに重くなったりします。ガットの重さは約4g、グリップテープの重さは約5gですから、一般的な3Uラケットだとラケット(88g)+ガット(4g)+グリップテープ1枚(5g)で約97gになります。 2.重心の位置を調べる これはラケットのシャフトを支えて左右釣り合ったところです。簡単に測ることが出来ます。現在市販されている競技用ラケットの多くがグリップエンドから27cm〜30cmのところに重心があり、これを重心距離といいます。下の図のaの長さです。 ![]() 重心距離はガットを張る前と張った後、グリップテープを巻く前と巻いた後では当然異なります。YONEXのAR−60を例にとって調べてみると 買った状態・・・28.7cm(A) ガットを張った状態・・・29.7cm(B=A+ガット) ウエットグリップ1枚巻いた状態・・・28.4cm(C=B+グリップテープ) ウエットグリップ2枚巻いた状態・・・27.3cm(C+グリップテープ) これは他のラケットでも大差なく、ガットを張ると約1.0cm重心がトップへ移動し、グリップテープを1枚巻くと約1.3cm、2枚巻くと2.4cm重心がグリップ側に移動します。 3.慣性モーメント ここで 重さ(M)×重心距離(a)が グリップエンドを握ってラケットを水平にしたときのモーメントになります。重心距離が長くなれば同じ重さのラケットでも支えるのに大きな力が必要になります。 しかしこのモーメントの値は鉛直方向にはたらく静的モーメントで、ラケットを振ったときのモーメントを示しているのではないということに注意しなければなりません。ラケットを振ったときの振りやすさは「慣性モーメント」を求めなければなりません。慣性モーメントは次の式で求めることができます。 重さ(M)×重心距離(a)×衝撃中心距離(b) ここでYOENXのカタログにある「スウィング指数」の定義をみると 重量×バランス×グリップから打点までの距離 となっています。バランスと重心距離、グリップから打点までの距離と衝撃中心距離は同じものですから「スウィング指数」とはまさに慣性モーメントであることがわかります。この数値が大きければ大きいほど振りが重くトップヘビー、小さいほど少ない力で振ることができるのでトップライトといえます。 慣性モーメントはグリップを握る位置を少し変えるだけで変化しますから、ゲームの後半疲れてきたら握る位置を少しだけ上にずらすとスウィングしやすくなるはずです。しかし自分の手に馴染んだラケットのグリップの位置はやはり1cm変えるだけでも勇気がいります。 4.衝撃中心(=スウィートスポット) スウィートスポットとは何か?という別の文章で詳しく書いていますが、シャトルがラケットに当たったとき手に来る衝撃が最も小さくなる点のことと定義しておきます。スウィートスポットに当たった打球は打った者にとって最も気持ちよく感じるのと、実際にシャトルに与えるエネルギーが最大になります。日本語では衝撃中心といい、衝撃中心距離は図での(b)で示されます。 5.グリップテープの影響 調べたラケットのガットを張った状態の重さ(質量)と重心距離を表にしておきます。0はグリップテープなし 1はグリップテープ1枚です。
慣性モーメントの単位はcm^2・g です。YONEXのスウィング指数=慣性モーメント/1000の値をそのまま記しています。重心距離が1mm変化すると0.5、重さが1g変わると1.5程度の差がでます。 上の結果から、ラケットにグリップテープを巻くとその分重くなりますが、そのぶん重心も移動して重心距離が短くなるので普通にグリップテープを巻いても慣性モーメントはほとんど変化しないことがわかります。この結果をもとに周囲にあるラケットの慣性モーメントを調べてみることにしました。グリップテープを巻いたものもそうでないものもあるので、スウィング指数でプラスマイナス1くらいの誤差はあります。またラケットの個体差による重さの違いで 3くらいは変化しますがおおよその傾向をつかむことはできます。ただしエンドブタ(グリップエンドの部分だけ特に多く巻く)のような極端な巻き方をすれば本来よりトップライトになると考えられます。 注:エンドブタについての詳細はこちらを参照してください。→エンドブタ ウッドラケット(1960〜1970年代)
アルミフレーム・スチール/カーボンシャフトラケット(1975年〜1985年頃)
フルカーボンラケット(1985年〜)
現役のラケットだと〜141トップライト 142〜146ミッドバランス、147〜トップヘビーに分類されるようです。 ここまで調べると、同じ慣性モーメントでも使いやすいラケットとそうでないラケットがあることに気がつきます。この原因はラケットのフレックス(フレームやシャフトのしなり)とガットのテンションです。ガットの素材とテンションは変更できますがフレックスは変更できません。ラケットカタログのフレックスの目安が頼りですが、これとてメーカーによって表示が同じとはかぎらないので今後調査の予定です。 2001.12.03 2002.11.03 データ追加 2003.04.03 データ追加 2003.11.03 データ追加 |