初心者〜中級者のラケットを選び

 ラケットには多くの種類がありますが、いったい何を選べばいいのでしょう。自分に合った1本を選ぶためのアドバイスです。
 初心者の域を脱して自分のプレースタイルも固まってきた人が悩むのがラケット選びです。自分のプレースタイル(ダブルスかシングルスか、パワーヒッターかコントロールプレイヤーかなど)は決まってきたのに、ショップにはあまりにもたくさんの種類のラケットとガットがあります。形と色と値札があなたをラビリンスに落としていることでしょう。そこで、次のポイントを参考にラケット選びをしてみましょう。手になじんでしっくりくるラケットを持てば、それこそ一生使える友になるでしょう。
 ラケット各部の名称
 

ウェイト

 初めて競技用のバドミントンラケットを手に持つと「軽い」と感じる人が多いようです。初心者講習などを経験している人でも、ラケットなどはどれでもそう変わらないだろうと思っていると、上級者の持っているラケットがずいぶん軽く感じたりするものです。バドミントンの腕前が上達するにつれ、使いやすいラケットが欲しくなります。最初に感じるのが「ウェイト=重量」の違いです。多くのラケットはガットを張らない状態で82〜95gの重さがあります。最近は軽いものも増えましたが、90g前後で気に入ったものを選ぶのがよいでしょう。
 パワーのある人やシングルスで速いスマッシュを打ちたい人は92g前後、パワーのない人や守備型の人は振り回しやすい86〜88g程度がお勧めです。ラケットショップには秤(はかり)が置いてありますから、計ってから買いましょう。秤も置いてないような店の店員さんはラケットに詳しくない人ですから、そんな店で買うのは勧められません。(古い廃版ラケットを高い値で買わされるだけです)
 ウェイトの目安は、ラケットのキャップ部に張ってあるシールで分かります。
表示95〜99g90〜94g85〜89g80〜84g75〜79g
YONEX U 2U 3U 4U 
GOSEN  2U 3U 4U 
BRIDGESTONE  U X Z 
MIZUNO  2U 3U 4U 5U
 かつてラケット重量が100gを越えていた頃、L(LIGHT)とかSL(SUPER LIGHT)という表示がありました。Uは ULTRA LIGHTという意味です。

 ラケットは重量とインパクト(ラケットとシャトルが当たる瞬間)の速度が同じなら、トップヘビー(重心がフレームに近い)なものほど、シャトルにに多くのエネルギーを与えることができるので、速いスマッシュを打つことができます。
 しかしトップヘビーのラケットは回転させるのにより多くのエネルギーを必要とするので、瞬間的な反応を求められるシーンでは振り遅れがちになります。これは全体の重量についても同じ事で、重いラケットは当たれば飛びますが、しっかりとスウィートスポットに当てるにはそれなりの筋力が必要なのです。トップライト設計のラケットは、トップヘビーと逆で取り回しは楽ですが速いスマッシュを打つのには向いていません。
 相手がロブを上げたときなど、自分が余裕を持ってスマッシュを打つときには、トップヘビーのラケットは威力を発揮しますが、読みが外れて相手にネットスマッシュされたシャトルを、とっさに当てるというという時にはトップライトのラケットが向いています。このことから トップヘビーはクリアやヘアピンを多用するシングルスタイプ、トップライトはドライブを多用するダブルスタイプと言えます。
 初心者ならトップライト気味からミッドバランスのラケットをお勧めします。「ラケットのバランスって何?」のところを参照してください。

フレックス

 フレックスはシャフトやフレームの硬さのことです。インパクトの瞬間にシャフトがどの程度しなるか、またどの程度の速度で復元するかを決める示数です。硬いものほどしなりませんから、当たってもシャトルは飛びにくいのです。
 シャフトやフレームはシャトルを打つ瞬間バネのような働きをします。強い力で打つとラケットは多くしなりますが、しなりの程度がある一定範囲になるときプレイヤーにとって「美味しい」打球が打てるのです。力のある人が軟らかいラケットを使えば美味しい範囲を超えてしなり過ぎますし、力のない人が硬いラケットを使えば美味しい部分に達することができません。
 硬いものは、しならない分だけコントロールが効きます。いわゆる「スマッシュが沈む」という表現は硬いラケットに使われます。逆に軟らかいラケットはタイミングさえつかめば非力な人でもハイクリアを遠くまで飛ばすことができるので使いやすいということになります。初心者向けや女性向けのエントリーモデルに軟らかいラケットが多いのはそのせいです。
 GOSENのガブンシャフトはフレックスをシャフトの各部で変化させ、しなりと復元性を追求したもののようですが、効果の程はわかりません。また各社ともフレームやシャフトの開発にしのぎを削っていて、スチール、アルミに始まってカーボン(炭素繊維)、ケブラー(アラミド繊維)、ボロン(ホウ素)、チタンなど多くの素材が使われています。次はベクトラン(ポリアリレート繊維)でしょうか。

グリップ

 ラケットに直接手に触れる部分で、ハンドルともいいます。
バドミントンではグリップをイースタンからウエスタンに持ち変えたり、フォアハンドからバックハンドに持ち変えるとき、親指と人差し指を使って微妙にラケットを軸方向に回転させています。
 グリップの太さは自分の手に合わせて調整できます。グリップが細いとラケットを回転させるとき指を少し動かすだけで大きな回転が得られます。しかし、同じ重さで細いものを回転させるには力が必要です。力のない初心者で細いグリップを好む人は、一度握ったらそのままで、グリップの回転をあまりおこなっていないのではないかと推察されます。
 太いグリップは回転に時間がかかりますが少ない力で行うことができます。また微妙なラケットコントロールも可能なので、中上級者になるとグリップテープを巻いて太くしているのもこのためです。グリップテープを巻くことによってラケット全体のバランスも変化させることができるので、プレースタイルに合わせて積極的に利用することもできます。

ガットのテンション

 テンションとはガット(ストリング)張りの強さのことです。
一般的なラケットのテンションとは15〜20ポンド(1ポンド=0.454kg)ですから1本のガットに10kg弱の力をかけて引っ張ることになります。テンションによってラケットの特性は大きく変化します。
 ガットを高いテンションで張ると、打球音が高くなり「カーン」という金属音に似た音が出ます。この音が気持ちいいので、あえてメーカーが推奨しているテンションより高めに張るプレーヤーが多いのです。一度体験するとなかなか元には戻れません。
 しかし、メーカー推奨以上に強く張るので、ラケットが壊れたりガットが切れたりしたときの保証はありません。すべて自己責任でおこなってください。ガットを張っている途中でラケットが壊れるということもありますが文句は言えません。上級者で30ポンド以上のかたもおられますが、25ポンド以上ならショップに断られることも多いようです。また多くのガットは40ポンド以上で張ることはできません。(切れます)
 張り上がったラケットにはスウィートスポットという部分があります。ここにシャトルが当たるとグリップでの振動がうち消されて気持ちよく振り抜くことができます。ガットを強く張るとコントロール性能は上がりますが、シャトルは飛ばなくなりますしスウィートスポットも狭くなります。力のない人が高いテンションでガットを張るのは勧められません。スウィートスポットはバドミントンやテニスラケットだけでなく野球のバットの「真芯」としても知られています。ガットのテンションを高くするとスウィートスポットが狭くなりますが、当たったときは非常に気持ちの良い打球感が得られます。確実に当てることのできる上級者だけの世界です。

用語説明

構造

アイソメトリック(ISOMETRIC)
ハイパーストリングシステム(HYPER STRING SYSTEM)
ラケットの中には、YONEXのアイソメトリック形状のようにフレームが卵形でないものがあります。説明によると、YONEXのアイソメトリック形状とMIZUNOのハイパーストリングシステムはスウィートスポット(エリア)を拡大するそうです。
上級者は、かえってスウィートスポットが寝ぼけた感じになるので嫌う人も多いのです。例えて言えばカメラのピントのようなもので、プロの使う高級カメラはピントがくっきりしていますが、素人には多少甘くてもどこでもある程度ピントの合うポケットカメラの方が使い勝手が良いようなものです。

エアロフレーム(AERO FRAME)
YONEXのエアロータスシリーズ以降 厚ラケブームがやてきました。空気抵抗を減らす目的でフレームの進行方向断面積を小さくするため、分厚いラケットになりました。しかしガットを高いテンションで張ると薄い方向に力が加わるため、どうしても強く張れません。売れ筋モデルでしたが、最近ではコントロールプレイヤー向きのラケットが残っているようです。

マッスルパワーフレーム(MUSCLE POWER FRAME)
YONEXのラケットに採用されているフレーム形状で、ガットのテンションを安定化させ高テンションでの張り上げを可能にしているようです。ガットを張る方向には確かに強いのですが、それ以外の方向からの力には弱いので、ゲーム中に接触したりバックの中で余分な力がかかると壊れやすいようです。

ガブンシャフト(GAVUN SHAFT)
ハニカム・ケブラー(HONEYCOMB・KEVLER)
アクティブキック(ACTIV KICK)
アルティマムチタン(ULTIMUM TITAN)
ハイキックシステム(High-Kick System)
ジョイントやシャフトの一部に硬さの異なる素材を使用して、振り抜きと戻りを良くしようと考えられた構造です。本当に効果があるかどうかよりプレイヤーに支持されるかどうかが不明です。

フープ弾性
ブリジストンのラケットに採用されている構造で、他社でも採用されていると思われます。フェイスにシャトルが当たったときガットは伸びますが、その力でフレームも内側に圧縮されます。つまり輪の部分が縮むわけです。このときの反発でフレームは元に戻ろうとする復元力がはたらき、結果としてガットを引っ張ることになります。この引っ張る力でガットを平面にすることにより、ガットだけの復元力以上に反発力を強める効果をねらったものです。

素材

チタン(TITAN)
チタンメッシュを採用しているといっても、フレーム全部がチタンでできているわけではありません。チタンの部分はフレーム周辺の数センチメートルで、それも繊維状にして編み込んでいるだけです。効果はねじれ防止と振動吸収で確かに感じることができます。ただしスウィートスポットで打てればもともと振動などありません。
ガット(ストリング)の素材にチタンを使用している場合(あくまでパウダー状にコーティングしているだけです)は耐久性が上がるようです。

ボロン(BORON)
YONEXのラケットに使用されていた素材です。原子番号5番のボロン(ホウ素)は軽くて強い素材なのでカーボンにコンポジットさてれいましたが、売り出したラケット(BORON200シリーズ)がいまいちだったので現在は使われていません。

カーボン(CARBON GRAPHITE)
正確にはカーボングラファイトといいます。ゴルフのブラックシャフトから始まって釣り竿からラケットまで一気に広まりました。カーボングラファイトは炭素を2次元方向に網のように結びつけたもので、実際には網が何枚も重なった構造です。成形しやすく強いのでバドミントンラケットの基本構造に使われています。将来的にはカーボンナノチューブに変わるかもしれません。

ケブラー(KEVLER)
パラ系アラミド繊維という素材の商品名で、アメリカのデュポン社の登録商標ですが、ほとんど一般名詞化するほど普及しています。(日本では帝人がテクノーラという名称で開発してます)カーボンよりも破断しにくいが軟らかい素材です。以前はYAMAHAのEOS75のシャフトに使われていましたが、BRIDGESTONE製のシャフトに使用されている以外は最近見かけません。

アーメット(AERMET)
アメリカのカーペンター社が開発した特殊合金。炭素、クロム、ニッケル、モリブデン、コバルトを配合した高強度の超合金で、耐力・引っ張り強度が、6AL−4Vチタンの2倍以上あります。バドミントンではガットの配合素材程度ですが、ゴルフクラブのヘッドなどに使われています。

2001.3.19
-2001.11.30
-2003.6.5
-2004.6.21
-2009.5.10