審判の位置はこれでいいの?

 ヨネックスジャパンオープンや全日本総合選手権などの試合を見ていて感じることがあります。それは線審の位置についてです。

競技規則に次のような記述があります。

公認審判員規程(2002年度版)
第2条
 審判員と判定
 第6項  主審はコートならびにその周辺の直接関係するものを管理する。主審のその権限は、主審がマッチ(試合)開始前コートに入るところから、マッチ(試合)終了後コートを離れるまで存在する。

第6条
 線審への助言
 第2項  線審は担当ラインについて全責任をもつ。シャトルがコート外に落ちたときは、どんなに遠くても、直ちにプレーヤーと観客によく聞こえるようにはっきりした大きな声で「アウト」とコールし、同時に、主審がよくわかるように両腕を水平に広げて合図する。シャトルがコート内に落ちたときは、線審は無言で、右手でそのラインを指す。原則として線審の位置はコートの境界線から2.5メートルから3.5メートルのところで、どんな位置のときも、外部からのいかなる影響(例えばカメラマン)も受けないところが望ましい。また、線審は1本のラインを判定することが望ましい。


 これらの規定の主旨は「主審や線審は、競技の妨げとなる可能性のあるものを排除しなければならない」ということだと解釈できます。

 しかるに、写真のようにヨネックスジャパンオープンや全日本総合、日本リーグなどの試合では、線審とコートの間に企業の看板があります。
 線審は窮屈そうに腰掛けています。ラインをよく見ようと前進すると三角の看板が立ってよけいに見にくくなってしまっています。
 おおよそプロスポーツに限らず多くのスポーツにおいて、審判と選手の間に看板のあるものが存在するでしょうか? テニスコートや野球場の企業広告看板が審判と選手の間にあるはずもありませんし、サッカーにおいても広告看板はピッチの外にあります。もちろん選手自身が広告である場合(企業広告の入ったユニフォームなど着用)は除きます。

 このことについて2001年11月に日本バドミントン協会に質問をしましたところ、次の主旨の回答を得ました。回答者は財団法人日本バドミントン協会理事(広報部副部長)石田 純氏です。(氏は2003年6月現在は同職にはおられません。なお回答は日本バドミントン協会の主催するWEBサイト上のBBSに掲載されましたが、現在は掲載されていません。また過去ログ等を検索することはできません。)

「日本バドミントン協会としては」「バドミントンのレベルの高い試合をより多くの観客に見て楽しんで頂くこと」「TV放送があることによって、より多くの方がバドミントン競技を知ってもらうことが目的」

とありました。しかしよく考えてみると少し変です。試合は誰のためのものでしょうか? 試合は選手のものなのです。選手自身が自分のプレーに対して真剣に取り組みその結果を審判が公正にジャッジするのが目的であるはずです。入場収入や広告収入が目的のプロならともかくアマチュアの大会で、観客のためやTV放送のためが目的と言い切るのは本末転倒ではないでしょうか。選手が「広告が邪魔でプレーができない」と言えば広告は撤去されるのでしょうか。これは実際の選手がどう感じているかではなく可能性の話であったとしても「可能性が存在する限り事前に排除する」のが原則のはずです。ルールにもそのように記載されています。

公認審判員規程
第1条 総  則
 第5項  ゲームはプレーヤーのためのものであることを旨とする。

 TV放送があるから、スポンサー企業の宣伝をすることによって少しでも広告料収入を増やすことができる、あるいは普段世話になっているスポンサーに対して多少なりとも恩返しができるというような意図が見え隠れします。実際に試合の会場へ行きゲームを観戦するとわかりますが、観客席の最前列付近からは広告が邪魔でバックバウンダリーライン際のイン・アウトが見えません。これでは観客へのサービスという面でも不十分だと言わざるをえません。

 バドミントンというスポーツが日本に根付くためには「必要悪」なのかもしれませんが、体育館が狭ければより広い体育館で、また高い入場収入を取っても観戦に行きますから、TV放送に妥協せず企業に阿らない毅然とした態度をとって欲しいとは思います。

 一方で、中高生にシャツを入れる指導(あくまで「指導」でルールではありません)をしたり、検定合格品でないウェアを鵜の目鷹の目で探しては棄権させるといった行き過ぎとも思えるくらいアマチュアイズムを前面に出している公式大会があります。そのこと自体悪いことではありませんが日本の頂点に立つ試合では、日本リーグで検定合格でないシャツを着ているチームも特例として認められていたり鳴り物の応援が認められていたり、シャツ出しを認めない時代にジャパンオープンではシャツまる出しの海外選手が優勝したりと、それなりに矛盾を感じているのがこの文章を書くきっかけになっています。

 2001年の出来事を今頃になって書くのはなぜかと問われそうですが、この問題を提起してから特に何かが変わったわけでもなく、またその後の日本バドミントン協会内部の不祥事があったせいもあり、ずっと気になっていた内容です。そして日本バドミントン協会のBBSから過去ログが消去されてしまい、質問および回答が閲覧できなくなったことが主たる要因です。(掲示板が一旦閉鎖され、その後会員制サイトとして復活した原因については日本バドミントン協会の不祥事に対する嫌がらせ記事あるいは荒らし行為がおこなわれたせいだとされています)
 ここで石田氏の固有名詞を挙げたことについて、氏は財団法人日本バドミントン協会理事(広報部副部長)としての回答であることを明言しておられますので公人と解釈しています。また写真の使用に関しても著作権および肖像権はこれを遵守しています。入場料を払って入場した大会において自分で撮った写真を掲載しています。公式試合の審判は公人と解します。また写真に登場する審判個人や大会を実質上運営している主幹団体を非難しているのではないことは文章を読んで読んで頂ければわかってもらえると思います。

2003.7.1