Dr.SのGT予想2000・第9回

  日本ダービー(東京優駿)

 東京競馬場芝2400m・Bコース使用
 牡馬57`・牝馬55`
  傾向と対策(データは基本的に平成以降)

 日本競馬界最高峰のレース。一度勝てばその関係者は一生その名誉にあずかる。馬も「ダービー馬」という名誉(というより箔)がつく。ちなみに日本のダービーは今年で67回。アメリカは126回。イギリスは226回。本場はすごいねぇ。
 コースは府中の2400mコース。スタートしてからしばらく直線が続き、緩く息の入らないコーナーを4つ回って最後に坂のついた500mもある長い長い直線。ごまかしは一切きかない。勝ち馬に求められるのはスタンド前の発走でもいれ込まない精神力、スタミナ、瞬発力、根性…と競走馬に必要な全ての要素。

 脚質は差し優勢。ただ直線一気の追いこみ一手(4角10番手以下)の馬は勝つまでは至らないことが多い。勝ったのはタヤスツヨシとアドマイヤべガだけ。2着までなら届かなくもない。やはり自分から動ける好位かその後ろあたりにつけられる器用さも勝つなら必要。逃げは基本的に不利だが皐月賞を逃げ切り勝ちするようなら狙ってみよう(ミホノブルボン・サニーブライアン)。
 ステップは皐月賞が圧倒的に優勢。それ以外なら青葉賞、プリンシパルステークス(旧NHK杯)のトライアル。H8年はそれ以外のステップをふんだ馬がワン・ツーしたがこれは例外中の例外。京都新聞杯(京都四歳特別)からきたのはシルクジャスティスだけ。基本的に軽視していい。

 騎手は現在武豊騎手が二連覇中。その他でもリーディング上位の中堅・ベテランの活躍が目立つが地味なベテランもときどき活躍する(大西・安田)。

 さて、ダービーを分析する最大のポイントは皐月賞との関連であろう。実は皐月賞もダービーに劣らずスタミナを要されるレースで、このレースをスタミナにものを言わせて勝った馬がそのままダービーでも好走することが多い。
 具体的にはペースとの関係で見て行くことにしよう。皐月賞がハイもしくは平均ペースだった場合、先行して粘った馬は素直に信用しよう(サニーブライアン・ミホノブルボン)。反対にペースが速かったかそこそこだったのに差し損ねた馬が「直線長い府中に変わって…」などの理由で人気になるようなら危険(ライアン・ブライトのメジロ親子)。
 皐月賞がスローペースだった場合は危険。そこで先行して勝った馬はダービーで消えることが実に多い(セイウンスカイ)。逆に差し損ねた馬を狙おう(ウイニングチケット・スペシャルウィーク)。ついでにスローでも差しきってしまうような馬に注意(タヤスツヨシ)。

  有力馬チェック!!
 エアシャカール…父SS、騎手武豊、皐月賞を差し切り勝ちと絵に描いたようなダービーの本命馬。欠点は…ええっと、ありません。逆らうだけ損か?!
 ダイタクリーヴァ…こちらは一転距離不安がクローズアップされた。確かに父フジキセキは中距離での実績が心許ないし母父ユタカオーの馬がチャンピオンディスタンスで活躍しなんて聞いたことがない。ひっかる馬ではないだけにそう不安はないと思うが・・・
 アグネスフライト…父SS、母桜花賞馬アグネスフローラ、母母オークス馬アグネスレディーと日本競馬界屈指の良血。ただ1回も輸送競馬を経験していないのはマイナス。初輸送で活躍したのはフサイチコンコルドとシルクジャスティスという例外的な馬だけに・・・馬体重の増減が大きいように体調面の不安もある。
 カーネギーダイアン…三歳時から注目されていた素質馬。ヒダカサイレンスと違って復活できたのが偉いところ。唯一の2400m勝ち馬。臨戦過程から言っても不安はない。
 トーホウシデン…こちらもトライアルで出走権を獲得、伏兵としてダービーに臨む。ただ経験不足は如何ともしがたい。

 Check In Blood(血統による解説)

 ◎(これはいい!!)…カーネギーダイアン
            父カーネギー母Teibun Angel母父Mr.prospector(Mr. Prospector系)
 父はこのコーナーで散々早熟だの言ってきたが、どうやら本来のSadler's Wells系らしいズブさが強く出た産駒がこの馬に出たよう。母父のミスプロもここにはいると距離というより少しピリピリとした繊細さと騎手の意のままに動く素直さを伝えるよう(フサイチエアデールが典型例)。この双方がいい方に出れば肉薄できるかも。

 ○(けっこういける!)…エアシャカール
             父サンデーサイレンス母I Dreamed a Dream母父Well Decorated(Bold Ruler系)
 父は説明不要のスーパーサイヤー。内にササるところもこの父の特徴。この馬もきっちりそこを含めて遺伝している。
 母系は皐月賞のとき底力の面で不安、と書いたがよく見るとHerbagerやらRibotやらスタミナ、底力に定評のある血脈がズラリ。ダービーはおろかスローで流れる最近の菊花賞でも不安のない強力な血統。騎手の教育もぬかりなし。

 △(ちょっと不安)…ジョウテンブレーヴ
           父ダンシングブレーヴ母タクノギャル母父ロイヤルスキー(Bold Ruler系)
 父ダンシングブレーヴは意外にも府中コースが大苦手。このコースで重賞勝ちしたのは本馬とキングヘイローだけ。
 母系もマイラーばかりの血統だけに強調できない。

 ×(コリャダメだ)…オースミコンドル
           父コマンダーインチーフ母アラホウトク母父トウショウボーイ(テスコボーイ系)
 父コマンダーは未だに古馬GT勝ちなし。母もマイラーだけに底力、スタミナの面で不安ありあり。
 勝ち切れないモタモタぶりも気になる。


 枠順と見解

  左から馬名、騎手、脚質、個人的コメントの順(今回は同斤のため割愛)

   有力注意軽視
  リワードフォコン  後藤 差し 気性に不安。
 ◎エアシャカール   武豊 追込 不安なし。直前軽めの調整で太くなければ。
  オースミコンドル  武幸 差し 速い脚がない。道悪にでもなれば食い込むか。
 ×アグネスフライト  河内 差し 初輸送をどうこなすか。馬体重の大幅な増減なければ…
 ○カーネギーダイアン 藤田 差し 復活した素質馬。対抗一番手か。
  タニノソルクバーノ 岡部 逃げ 先週に続き岡部がペースを握るか。
  マイネルブラウ   横山典先行 距離?
  クリノキングオー  幸  追込 調子戻らず。
  マイネルブライアン 北村宏先行 騎手経験不足、馬スピード不足。勝ち目なし。
 △ダイタクリーヴァ  高橋亮先行 距離に不安あり。騎手がどうさばく。
 ×マルカミラー    福永 差し 最大の穴馬。斬れる脚ある。
  トーホウシデン   田中勝先行 騎手乗り代わりはマイナス。経験不足も気になる。
 ▲アタラクシア    四位 差し ゴチャつかない外枠はプラス。ゆっくり行ければ。
  パープルエビス   石橋 逃げ ジェイドの産駒がクラシック勝ったら日本生産界は終わり。
  ジーティーボス   吉永 先行 府中への適性ある。が、勝ち味の遅さは如何ともし難い。
  プラントタイヨオー 小野 差し 出てくるだけ無駄。
 △ジョウテンブレーヴ 蛯名 差し マイラーか、ステイヤーか。今回が試金石。
  マイネルコンドル  伊藤直先行 こっちは困った外枠。強引に内に斬れ込む訳にもいかず… 

 結果と感想

  結果
 1着アグネスフライト  河内 2分26秒2
 2着エアシャカール   武豊   ハナ
 3着アタラクシア    四位  31/2
 4着トーホウシデン   田中勝 11/2
 5着リワードフォコン  後藤   クビ

  その他の主な馬の着順
 ジョウテンブレーヴ 6着
 カーネギーダイアン 7着
 ダイタクリーヴァ 12着

  感想「競馬のロマンがありました。いいレースでした。感動しました。」

 今回ほど競馬の、血統のロマンというものを感じさせてくれるレースは最近なかった。日本競馬史上初の親仔三代にわたるクラシック制覇を、その全てに手綱を取ってきた河内騎手が悲願のダービー制覇で達成。今年で45才デビュー27年目、17回目の挑戦で競馬界最高の栄誉を手にした。しかも2着は弟弟子の武豊。一番喜んでいるのはおそらく故・武田作十郎師(両騎手の師匠)だろう。
 勝ち馬は終始エアをマーク、相手の追い出しを待って万全のタイミングでスパート。ラスト1ハロンは完全に2頭の一騎討ち。最後は僅か7センチ差の勝負だった。小柄なこの馬にとって、晴れて馬場が良化したのも大きかった。

 エアシャカールも2着に敗れたとはいえ、馬体も、精神面も、レースも完璧だった。ただ、それをも凌駕した馬がいただけ。
 レース全体を見てみるとテンのペースが三頭の牽制し合いで結構速いラップを刻んだのにかかわらず、去年より0秒9も遅いタイム。2頭はともかく、全体のレベルは?がつく。
 とにかくいいレースでした。やっぱり「競馬はロマンだ!?」

  <一言>
 アグネスフライト…SS産駒の良さである全身をバネにして伸びてきた。小柄ながら瞬発力はピカイチだった。
 エアシャカール…こっちはSS産駒の欠点、真っ直ぐ走らないところが出た。でも豊をして矯正できないということは…?
 アタラクシア…やはりゆったりいけるレースの方が合う。これなら菊花賞も楽しみ。
 カーネギーダイアン…ミスプロの悪いところが出たか。まるでフサイチエアデールのオークスのリプレイ。
 ダイタクリーヴァ…こっちも血統の限界か。

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