【01年 平ヶ岳・恋ノ岐沢遡上】

奥只見・平ヶ岳
月日:2001年9月21日〜9月24日
参加者:(市川陸雄)、小野悦郎、府川宏、曽我裕之、佐宗謙一、早川健司

9月21日(金)豪雨

小田原==大井松田IC==(東名)==用賀IC==練馬IC==(関越道)==小出IC==銀山平==鷹ノ巣・平ヶ岳登山口(泊)

 早川発案・企画により、9月の3連休を利用して、奥只見の恋ノ岐沢を2泊3日で遡上することとなった。
 恋ノ岐沢は日本百名山の一つ・平ヶ岳より発し、銀山湖に流れ込む全長約11kmのスケールの大きな清流である。グレードは3級下。久し振りの沢登りに一同、イワナ釣りの道具や渓流靴などをあわてて買い込んでの出発となった。参加者は、直前に武田が風邪のためキャンセルし、小野、府川、曽我、佐宗、早川のお馴染みの5名である。

 横浜組と小田原組の二手に分かれてスタート。小田原組は21:00発、曽我さんの車でVIDEO観賞しつつ、ゆっくり北上。途中豪雨に遭い、翌日以降の行動が危ぶまれる。
上里SAで2組みが合流、小出ICで高速を降り、シルバーライン経由で、鷹ノ巣登山口へ。シルバーラインのダム工事用の長いトンネル、奥只見湖湖畔のくねくね道のおかげで運転手も疲労の色が濃い。登山口AM4:00着。車中にて仮眠。

←恋ノ岐沢の入り口にて(佐宗、曽我、小野、府川)


今回のリーダー早川師匠。
皆がイワナ汁を食べられるかは、彼の双肩に懸かっている?

沢登りに臨み、気合の入る?お二人(曽我、府川)
足下はお初の渓流靴と渓流用地下足袋で固める

9月22日(土)快晴

鷹ノ巣(P)==恋ノ岐沢入り口(P)--清水小屋--

 AM6:00起床。車1台を鷹ノ巣登山口へ残し、もう1台で恋ノ岐沢入り口へ。数台分の駐車スペースあり。

 簡単な朝食後、AM7:30出発。横を10人ほどの中年パーティが通り抜けて行く。全員ヘルメットにハーネス、登攀具を装着した完全装備。それに引き換え、我がOB会メンバーは、全員メットなし、小野(地下足袋+わらじ)、府川(フェルト底地下足袋)、曽我・佐宗・早川(渓流靴)と足回りもバラバラ、本当に彼らと同じ沢を行くのか、大いに疑問。おまけに小野会長の発言「えっ、こんな長い沢を登るの?聞いてねえぞ。」

 橋から途中の清水小屋までは、左岸に杣道がついている。我々はそちらを歩く。が、かなり荒廃し、歩きづらい。最初から沢を歩いたほうが、時間的にも楽だった気もする。
 40分ほどで、いよいよ入渓。前日までの雨の影響も全くなく、水は澄み切り、水量もほどほど。空も晴れ渡っている。が、外気は9月とは思えぬ肌寒さ、水の冷たさが、骨身に凍みる。

 次々と出現する小滝を、岩をへつり、時にはヤブの中を高巻いて、越えていく。
 初めての渓流靴の感触にも徐々に慣れてくる。また、足もマヒしたか?水の冷たさを感じない。
 清水沢を過ぎるとナメが多くなり、開放的な明るさ。気分爽快。


↑9月の水の冷たさが、骨の髄まで凍みる〜っ

次々と現れる滝を越えていく↑

↑わらじ姿も渋い小野会長

 途中、曽我さんが小さな廊下で落下、府川さんも高巻きからの下りで落下、各々腰まで水に浸かる。佐宗「残念、いい場面を見逃した。」と発言し、早くも2人を敵に回す。
 常にトップを歩く早川も3m程の滝の中央突破を図るも流され、ウォータースライダーをしつつ滝つぼへ。さらにヤケになったか、次の渕でも寒中水泳を楽しむ。
 小野会長は「水が冷てえ、足が冷えるー」と繰り返し、周囲から「○○に冷や水」とからかわれる。

 昼過ぎに、数パーティーと遭遇。本日だけで約10パーティ40人ほどが入渓した模様。この恋ノ岐が、いかに人気のある沢かが分かる。

 三角沢を過ぎた辺りから早川師匠は竿を繰り出し、イワナを探るも、魚信どころか、魚影も見えず。


恋ノ岐の清流を満喫

 本日の宿泊はターフの下、寝袋を広げて寝るビバーグ状態を覚悟していた。が、途中の河原に絶好のキャンプサイトを見つけ、PM2:00、予定のオホコ沢出合まで700mほどの行程を残し、幕営することにした。小滝の下の砂地に6人用テントを張るスペースがあり、また周囲には焚火の材料にも事欠かない最高の場所。
 早速、焚火を始め、濡れた体と衣服を乾かす。今日一日散々冷えたにもかかわらず、早速ビールに手を出す早川に一同感心する。

←濡れた身体に焚火の火が何よりのご馳走

 しばらくの休憩の後、夕食の副食を求め、イワナ釣りを開始する。早川はフライで、小野さんはミミズ、府川さんはブドウ虫、佐宗は川虫を現地調達しての餌釣りにて挑戦。元気な早川は、上流へポイントを探しに出掛けるが、おじさん達は近場でお茶を濁す。が、これが皮肉な結果を生むことになる。
 約1時間後、小野さんがテントからわずか1、2m上流の渕でイワナを釣り上げると、数分後には、府川さんの竿にもイワナがヒット。場所はなんとテントの目の前で、餌をミミズに変えた途端であった。
 釣果なくむなしく引き上げてきた早川の「これだけ水温が低いと、イワナも出てこないっす」との発言に、小野さん「名人は場所を選ばない。」と余裕の一言。隣の府川さんも笑いが止まらない様子であった。(ただし、小野さんの持参した大きな「タモ」は、使用機会が訪れなかったようである)
 結局、戦果はこの2匹、塩焼きや骨酒の夢は「お預け」となり、夕食はイワナのだしスープのチゲ鍋にメニュー変更となった。
 PM8:00就寝、砂地の最高のしとねで、全員むさぼるように朝まで眠る。


テント場の前で釣り糸を垂らす府川さん↑
この数秒後にイワナをヒット、「まるで釣り堀」

釣り上げたイワナを手に会心の笑みの府川、小野両氏


 2人に釣られたドジな(もとい)精悍なイワナ↑

9月23日(日)快晴

(宿泊地)--オホコ沢出合--ナメ滝--稜線--池岳(泊)

 AM6:00起床。ラジオの気象情報が「9月としては記録的な寒さ」と告げる通り、周囲には霜や氷が張っている。改めて暖かいテント内で眠れたことを感謝。
 早々に朝食を終えるも、水に入る勇気が湧かず、出発はAM8:00となる。

 AM9:30オホコ沢通過。この辺りから沢も狭くなり、水量もぐっと減る。この先には、高さ40mのナメ滝が待ち構えているとのこと。それに備えて、腹ごしらえ。11:00頃、河原にて昼食。ソバをゆで、沢の水で冷やして、すする。

 再び出発した一行を、思わぬ落とし穴が待っていた。4m程の滝、左岸の土壁を最後は上から垂れた笹に捉まりながらトラバースして越えねばならない。ここで曽我さんが途中で行き詰まり、一時は宙吊りとなるピンチ。なんとか元の地点に降りた曽我さんは府川さんとともに、高巻きルートを選び、結局、再び沢に降りるまで約1時間のヤブ漕ぎを余儀なくされる。
 一方、そこを無事通過した佐宗も、あせって石の上に飛び降りて、バランスを崩し、渕にお尻からはまる。首には先ほど出したばかりの一眼レフカメラをぶら下げたままであった(南無....)。


↑清流の脇でソバの昼食

 数十分待っても府川さん、曽我さんの姿が見えず、一時は今日中に合流できないのではないかと、心配する。(後から考えると、もし別々にビバーグとなった場合、食糧の大半は府川さんが持ち、曽我さんも個装のターフとストーブ所持。余裕の上の2人に対し、悲惨なのは沢に残った食糧の乏しい3人の方であった)
 が、PM1:50府川さん、曽我さん、無事合流する。

 まだまだ、5m〜10mクラスの滝が続く。この辺りから、2日間のフル装備での沢歩きの疲労が、両腕に、太股にと、一同の身体に響いてくる。

 いよいよ40mのナメ滝。ここは府川さんがトップを切る。颯爽と左岸を登りながら「余裕、余裕。」登り終って振り返り、「高度感にびっくり」。
 ここで軟弱な佐宗と曽我さんはザイルを要求。スタンス、ホールドとも豊富だったが、落差があるため、安全策をとる。ザイルにつながれている安心感に味をしめ、この後もしばしば多用し、早川のお世話になる。


↑上流部は沢幅も狭くなり、左右の薮も迫り、
やや暗い雰囲気

 この先の沢の様相は、いよいよ水が少なくなり、源流部の雰囲気。ゴールの稜線も目の前。
 二股から左の沢に入る。約200mほど登った所で、ついに水が涸れる。急登を登り切ると、笹ヤブ。約15分間のヤブとの格闘の後、PM4:30無事に稜線へ出る。
 佐宗、喜んで記念撮影をするも、カメラの故障のため写っていなかった。ここから見る双耳峰の燧ヶ岳が美しい。登山道を登り、池岳キャンプ地へ。予定時刻を大幅に超過し、すでに辺りは夕暮れだった。PM5:00着。

 テント設営、周囲はかなりの冷え込み。暖かいテント内で酒盛り、バカ話に花が咲く。話題の中心は小野さん、府川さんの釣り談義と昼間の曽我さんの宙吊り&ヤブ漕ぎ冒険談であった。
 PM8:30就寝。

←テントくつろぐ面々(曽我氏ビデオ画像より)

9月24日(月)快晴

池岳--平ヶ岳--池岳--台倉山--鷹ノ巣登山口(P)==尾瀬御池==桧枝岐==今市==日光光徳==清滝IC==帰宅

 AM5:00起床。朝食、テント撤収の後、空身で平ヶ岳山頂を往復。木道を歩くと30分ほどで池塘が点在する山頂(2141m)へ到着。

 本日も雲一つない素晴らしい天気、山頂からは360度のパノラマ。会津駒、燧、女峰、男体、日光白根、皇海、至仏、赤城、上州武尊、谷川、巻機、苗場、越後三山、妙高、そして遠く冠雪の富士山の姿も望める。カメラを壊した佐宗は嘆くことしきり、ビデオカメラを持つ曽我さんに撮影を託す。

←山頂へ続く木道の緩やかな登り坂

 キャンプ場に戻り、AM8:00下山開始。左手に昨日まで登って来た恋ノ岐沢を見下ろす。しばらくすると、視界が開け、目的地の鷹ノ巣の小屋、そしてそこまで延々と続く長大な尾根が見渡せる。あまりの長さに一同うんざり。
 下台倉山を過ぎた辺りで小野さんが足の痛みを訴え、遅れだす。後に亀裂骨折と判明、「恐らく沢で岩に足をぶつけた時だろう」とのこと、その後よく歩けたものだと、感心する。

 稜線では、両側から沢音が聞こえてくる(右は利根川の源流)。平ヶ岳の水の豊富さを実感する。

 先行の曽我、早川はAM11:50、小野、府川、佐宗はPM0:20に鷹ノ巣到着。全員、満身創痍となりながらであった。
 先行の2人は、恋ノ岐沢入り口まで車の回収に行ってくれる。感謝、感謝!


↑朝っぱらからビールが美味い!(山頂にて)

←平ヶ岳からの360度のパノラマを楽しむ

 PM0:50合流、国道352を東へ走り、桧枝岐に寄り道、新装の「燧の湯」の温泉と裁ちソバを楽しむ。

 その後、川治・鬼怒川温泉、今市経由で、日光光徳の市川さん宅を訪問、夕食、仮眠。
PM9:10発、小田原着AM1:10。

 私にとって、宿泊を伴う沢登りは今回が初めての経験で、沢登り自体も久し振りであった。が、只見の沢、そのスケールの大きさ・清流の美しさと沢歩きの楽しさにすっかり魅了されてしまった。また、焚火や渓流釣りも新鮮で、縦走登山とは違った山の楽しみ方を教えて頂いた。企画者の早川くんはじめメンバーに改めて感謝したい。
 ガイドブック曰く「この渓の遡上をきっかけに沢登りにのめり込んだ人も多い」とのこと。実感である。さて、次の夏はどこの沢に行きましょうか、みなさん?
             (記録:佐宗)