2. 病気の内因と外因

▼人が病気になる原因は大きく二つに分けられる.一つは内因(もって生まれた病気にかかりやすい素質: 遺伝的素因)であり,もう一つは外因(環境からの影響:大気汚染など)である.後者の中には食生活や酒,タバコ,運動,休息 などの生活習慣によるものも含まれる(図1).

▼内因に関して現在行われている医療行為は,遺伝カウンセリングや出生前診断が主である.出生前診断とは, 胎児の時点で遺伝病や奇形などを診断する方法であり,羊水検査や絨毛診断,胎児血採取や胎児の皮膚生検などによって行われる. 実際の治療という点では,1995年秋に四歳男児のADA欠損症に対して行われた遺伝子治療が日本では最初であり,まだまだ 未開拓で,これからの発展が期待される分野である.がんに対する遺伝子治療の可能性は大であり,少しずつ進んではいるが,まだ まだ成功にはほど遠い状態である.

▼外因に関しては酒やタバコを初めとして,工場の廃液や大気汚染,ゴミ焼却によって発生するダイオキシン, 環境ホルモン類,農薬,原発の放射能漏れ,エイズを初めとする種々の感染症,その他数限りない.専門家でも解決困難な多種多様の 問題がゴミの山と共に増えている.ダイオキシンなどに関してはどれくらいの濃度以下で人体に影響が出ないのか,子々孫々に影響が 現れないのか,確信をもって断言できる人はいない.ダイオキシンの摂取許容量に関する日本の先進諸外国と比較して高く,対策は 十年遅れている.近年,母乳のダイオキシン濃度が問題となっているが,日本を含めた先進国では低下傾向にあり,授乳を規制する 必要はないと言われている.ただし,ダイオキシンの発生源に関しては早急に適切な対策を推進すべきである.

▼成人性T細胞性白血病(ATL)という病気をご存知だろうか.この病気はウイルス感染で起こり,沖縄や 九州の海岸地域に多く見られる.輸血よる感染,夫婦間での感染,母乳を介しての母から子へ感染がある.従って輸血用の血液では 抗体検査が行われ,陽性のものは廃棄されるし,母親がウイルスに感染していると子供に母乳を与えてはいけない.高知県西部にも 比較的多い病気なので,母親になる予定の人はちょっとだけ勉強してみてはいかがだろうか.ウイルス感染者約千人に対して年一人 が発病すると言われている.確率が高いか低いか,発病してから考えても遅すぎる.

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最終更新日 : 2007/05/04