過ぎ去った夏の思い出

昔のことになるけれど、

店を独立してまだ何ヶ月もしない

それは暑くて苦しくて大変な夏だった。

どんな職種にも言えることだけれど、

経営者が代わると人も入れ替わる。

そんな大変なお金も人も回らない大変な日々…

そんな時に起きた夏の出来事  

その日も人がいないハードなスケジュール。
 

店に入って来た少年はふと言った。

「すいません、ちょっと電話出てもらえませんか?」

よく見ると、小学生くらいの少年、真っ黒に日焼けをしていた。

自分はそんなに深く考えないで、外の公衆電話に出た。

どうせ買い物に来たけれど何を買うのか分からず

親が「店員を出せ」と言っている位にしか思わなかった。

渡された受話器を持って「はい、お電話変わりました…」と言った。

電話の向こうでは「沖縄○○警察です。お店の方ですか?」

…!え?

何を言っているのだろう!いたずらか?と思い聞き直すと

確かに警察と言っている。

どうやら、少年は家出をしたらしい…。捜索願も出ている。

あれ、ちょっと待ってくれよぉー。

沖縄から家出か…、ここまで良く来れたじゃんか…。

とりあえず、保護をしていて下さいとのことだった。

今から、お父さんが引き取りに行くから…。

 

しばらくすると、その子の母親と言う人が来た。

一応、「警察に保護していて下さい」と言われたことを話すと

自分は「母親なのだから、大丈夫」と言う。

念の為、少年に聞くと「自分の本当の母親」と言った。

じゃあ、自分が保護をする必要は無いじゃん…。

そういうことで、二人の帰る後ろ姿を見届けながら

一体今までのことは何であったのだろうかと考えながらも

まあ、無事に終わったと思っていた。

 

忙しい仕事に追われていると、

先ほど電話をした少年のお父さんが

沖縄から「少年を引き取りに来ました」と

来店をした。え?

先ほど、お母さんという方が来まして

「少年を引き取って行ったのですが…。」

一応、少年に確認したところ、

「自分の母親」と言っていましたので…。

父親は、

「保護して下さいって言ったじゃないですかー」と怒り気味。

「あの子を母親に渡したらどうなる事か…」。

 

そうは言っても、その子の母親という人が現われて

自分の母親とその少年に言われたら

お店としては、保護なんて出来ないじゃん…。

何がどうなっているのか分からないけれど

お店としての義務は果たしたと思うし

あとは警察と当人同士で話し合って下さいということで

勤務に戻った。
 

外で母親と父親が言い争っていた…。

その中間で少年は… 
 

結局、夫婦喧嘩をして、友人宅に家出?したらしい。

そこで、どうしてもお母さんに逢いたくて、沖縄から

飛行機と電車でこんなとこまで来たらしい。

その書置きを見て、父親は家出だと捜索願を出したらしい。

偶々、少年が電話をした時に、自分は遭遇したらしい。
 

どんな事で夫婦喧嘩をしたのか知らないけれど

子供にはそんなこと関係ないかもね…。

だって、仲良くしている両親が良いからね。
 

親の都合とか見栄とか意地で子供の純な気持ちを

踏み躙って欲しくないよね。

母親に逢いたくて、延々とやって来たのだから…

子供の親を思う気持ち……

わかって欲しいですねー。  

母親に手を連れられて、ボロボロ泣いていた

少年の顔が今も懐かしく思い出されます。
 

夏は暑いかもしれないけれど、せつない季節だよね。

ペガサスは少し淋しく想う

(T_T)