5 フェミニストの汚い宣伝と工作

  「女性政策情報ネットワーク」への反論

 自分たちの意見が多数意見であるかのように見せかける工作はフェミニストの常套手段だが、この度その決定的な証拠が手に入った。

 知人が「荒川区のことが載っている」といって、あるフェミニスト団体のFAX通信を送ってくださった。

 「女性政策情報ネットワーク」という組織が発行している「JJネットニュース」の号外として、会員向けに発信されたものである。

 この「JJネットニュース」は8年前に発刊し、最近400号を超えた。最初の5年くらいは堂本暁子現千葉県知事が記者として原稿を書いていたそうである。

 その6月6日付の「号外」に「緊急のお願い」として、荒川区の懇談会の報告書の中にある「乱用の防止と是正」を入れることは「男女共同参画条例にはなじまないなどのメールを区長宛てに送ってください」とある。「みんなで一挙に送るより断続的に身近な人の協力もお願いして」送ってくださいと呼びかけている。

 党派的・組織的なフェミニストが、一般市民の顔をして、行政や懇話会の意見募集に応じたり、行政・マスコミ・スポンサー企業等への苦情をネットを使って組織的に行うのは、いまや日常茶飯事である。

 こうして「作られ、見せかけられた」「多数」意見が行政を左右することになりかねない。サイレント・マジョリティーは発言しないまま、組織的に大量に送りつけられる偏った意見に行政がなびき、それが施策を歪めていくとしたら、恐ろしいことである。

 この「ニュース」は、「乱用の防止と是正」の項目に対して特別に批判するように呼びかけている。この項目が特にフェミニストたちにとって都合が悪いようだ。フェミニストたちは乱用や逸脱をやりたいかのようである。正当な男女共同参画を進めたいだけならば、乱用防止に対して、そう目くじらたてる必要はないであろうに、不可解なことである。

 

とんでもない嘘と名誉毀損

 ところで、この「JJネットニュース」には、とんでもない嘘と名誉毀損が書かれている。

 「ご承知のように、林道義氏はフェミニズムの害毒という図書を出し、女性は政治家になるべきではないと公言している人です。」

 ここを読んで当の本人である私は唖然とした。もちろん、私は「女性は政治家になるべきではない」などというそんな非常識なことを「公言」したことはただの一度もない。本人も知らないことが「ご承知」のこととされているとは驚きである、いや恐ろしいことである。

 「女性は政治家になるべきではないと公言している人」となったら、この通信を読むフェミニストたちは「林という奴はなんと極悪なけしからん人間だろう」と思うだろう。

 その極悪人の議事の進め方がまた無茶苦茶で、「独善的かつ強引で、反対意見を恫喝」したと書いてある。こんな奴が会長としてまとめた報告案は悪いものに決まっているという印象を持たせる。読んだ人たちは、仲間からの「情報」だとなると、簡単に信ずるのだろう。

 もちろん、「独善的かつ強引で、反対意見を恫喝」したなどというのは、まったくの出鱈目、というより正反対である。審議の過程において、議長役の私が強引に多数決で押し切ったことは一度もなかったと言えるほど、徹底的に話し合いによって歩み寄るという方法を取った。

 当然とはいえ意見の違いや対立はあったが、私は少数意見をできるだけ尊重し、互いに妥協しあい、相手の提案を受け入れたり、譲歩し合って、まとめていった。報告書を丁寧に読めば、フェミニズム系の意見や提案が多く取り入れられていることが分かるはずである。末尾の「乱用の防止」規定以外は、ほとんど100パーセントに近く、全員一致で合意したのである。

 「ニュース」には「全くジェンダーフリー・男女共同参画反対派だけの意見を取り上げ、他の委員の意見を踏まえずに、自分でまとめていたそうです」と書かれているが、まったくのデタラメである。委員の中には何人ものフェミニズム系の委員もおり、もし私が勝手に自分の意見だけでまとめたならば、ただちに反対や抗議の声があがっただろう。17人もの委員がいる中で、そんな独裁的なことはおよそ不可能である。どうしてそういう荒唐無稽なデマが流され、またそれが信じられるのか、不思議というしかない。だいいち、男女共同参画反対派などというものは、一人もいなかった。いい加減な伝聞でものを言うのはやめるべきである。

 ただし、弁護士の張學錬氏だけは懇談会の議事を妨害し混乱させる行動に終始し、そうした破壊的妨害活動を私が議長として断固として排除したことはあった。彼は執拗に発言を要求しては一人で時間を独占するなどの議事妨害をし続けたが、当然議長として張氏のそうした横暴・妨害を許すべきではなく、私は断固として発言を制止する場面もあった。そうした私の議事運営は全く正当であったし、ほとんどの委員の支持を得ていた。なにしろ、張氏が辞任の理由として新聞に語った嘘の内容に対しては、委員全会一致の抗議の決議がなされたくらいである。

(詳しくは

荒川区男女共同参画社会懇談会 3 張學錬委員の辞任問題

を見ていただきたい。)

 要するに「独善的かつ強引で、反対意見を恫喝」というのは、悪質なデマと言えるのである。

 こういう出鱈目な情報が、まことしやかに伝えられ、それを基に組織的にメール・FAXが集中的に送りつけられる。怖い組織である。

 この「ニュース」には、私と高橋氏と八木氏を「ジェンダーフリーを敵視し」ているグループだとも書いてある。「敵視」とは穏やかならざる表現である。我々はいかなる意見も敵視したことはない。ただ弊害をもたらすものとして批判しているだけである。われわれを「敵視」しているのは彼女たちの方ではないのか。「敵」だとなると、どんなデマや中傷を使ってもかまわないという精神は、本当に恐ろしいし危険である。


「女性政策情報ネットワーク」への公開質問状

    平成16年6月12日

        林道義

 「JJネットニュース」2004年6月6日付の「号外」において、私が「女性は政治家になるべきではないと公言している人」と書かれていますが、どこで私が「女性は政治家になるべきではない」と「公言」したのか明らかにしていただきたい。

 また「林氏の会の進め方は独善的かつ強引で、反対意見を恫喝」とも書かれていますが、何を根拠に私の議事の進め方が「独善的かつ強引で、反対意見を恫喝」したと書いたのか明らかにしていただきたい。

 これらのデマの情報源を明らかにし、訂正をネットニュースで流し、私へ謝罪することを求める。

 この問題は私のホームページで公表しており、回答についても公表する予定である。

 

見えた ! フェミニストの汚い戦略・戦術の全貌

 荒川区男女共同参画社会基本条例をめぐる攻防の結果がほぼ定まりつつある。

 新聞の報道によれば、正式な議案が出来上がったが、苦労して作成した報告書から重要な文言が多く削除されてしまった(くわしくは後ほど本HPの中の「荒川区男女共同参画社会懇談会」の中で分析する)。私としては大いに不満であるが、なによりも重大なのは「逸脱防止」条項の中から「性差を否定する教育を行ってはならない」等の具体的内容がすべて削除されてしまったことである。

 今回の荒川区の問題では、フェミニストたちの主たる戦略目標は「乱用防止」規定の削除に定められていた。この期間、この一点に焦点を絞って彼女らの作戦が遂行された。そのためにどんな卑怯な汚い作戦も行うという、なりふりかまわぬやり方が取られた。フェミニストの裏の指導部の作戦の全体像はこうである。

 

「乱用防止」規定への反対理由がない

 フェミニストの指導部はどうやら、「乱用防止」規定をフェミニズム運動にとって最大の危機と判断したようである(もちろん間違ったフェミニズム運動にとっての「危機」であって、正しいフェミニズム運動にとってはむしろ歓迎すべきことのはずだ、なぜなら、歯止め規定があれば、世の中の人々が安心して男女共同参画を積極的に支持できるようになるから)。そこで全力を挙げて阻止することに決めたらしい。

 しかし「乱用防止」規定に反対する理由がないことに気付いた。考えられる反対理由は理論的にまったく説得力を持っていない(それはそうだろう、乱用や逸脱を防止するのはあまりにも当然な常識だから)。正面から論争する自信がない。

 ちなみに、「乱用防止」規定に対する反対理由は、私が知るかぎり、次の三つである。

1 「乱用防止」規定は、参画条例に「なじまない」。これがフェミニストの作戦司令部である「女性政策情報ネットワーク」が指示している反対理由である。「なじまない」という程度の、訳の分からない曖昧な理由しか、挙げることができないのである。

2 「こういう規定を設けると、区民(市民)が萎縮する」。これも不可解な理由である。たとえば刑法に犯罪に対する罰則の規定があったとして、それで市民活動が萎縮するという反対理由など聞いたことがない。正常な男女共同参画を目指す人たちが、乱用や逸脱を禁止されたからといって、萎縮するはずがないのである。

3 「規定が具体的であるからいけない」。これも理由になっていない。「具体的」と言うけれども、それぞれは全国で実際に起きている逸脱や間違いを原理的に表現したものである。「具体的であるからいけない」などというのも、まったく理由になっていないのである。

 

私への汚い批判の数々

 正面から論争しても不利だと思った指導部は、会長としての私が独裁的な議事運営をしたという不当な非難をして、そういう審議によって不当に決められたものだという嘘の外見を宣伝することにした。

 しかし、最初に私を非難して辞任した張氏の単独行動は、他の委員を執拗に誘ったが一人も同調しなかっただけでなく、全員による抗議の決議によって不発に終わった。しかし、張氏の辞任を大々的に報道する新聞が三つも現れ、さらに6人の委員を組織化して会長の議事運営を批難し、それをきっかけにして裏で指導する作戦本部「女性政策情報ネットワーク」が「乱用防止」規定の削除を要求するメール・FAXを送ることを呼びかけるという事態に発展した。

 しかし、その作戦は成功していない。私の議事運営に対する批難が百%事実に反していることを、私が客観的な会議録に則って詳細に反論したからである。

荒川区男女共同参画社会懇談会 3 張學錬委員の辞任問題

荒川区男女共同参画社会懇談会 4 6委員の要望書への反論

荒川区男女共同参画社会懇談会 5 フェミニストの汚い宣伝と工作──「女性政策情報ネットワーク」への反論

 

公明党による骨抜き

 こうして、反対理由も説得力がないし、私の議事運営に対する批難も嘘が暴露されて、最後に奥の手を出してきた。それが公明党を使っての「骨抜き」工作である。

 荒川区の与党は自民党と公明党という、国会と同じ構図である。公明党がノーと言えば、何も通らない。いわゆるキャスティングボートを握られている。公明党は「乱用防止」規定を削除することを要求した。区長や自民党の説得で、「逸脱防止」と名を変え、なんとか抽象的な規定だけは残り、正式の議案となった。しかしそれでもフェミニストたちやフェミニストの影響力の強い公明党は満足していないし、いろいろな画策をしてくるだろう。

 もし本会議で、野党側が「逸脱防止」規定を削除するという修正案を提出したときに、公明党の議員6名のうち、二人か三人が個人的に与党間の協定を破って野党提案に賛成投票をしたら、「逸脱防止」規定は葬り去られてしまう。公明党議員が与党間の協定を破った例は今までにもある。「逸脱防止」規定は風前の灯なのである。

 

 政界再編が緊急課題だ

 じつは公明党によって骨抜きにされないで、報告書どおりの条例が作られる可能性はあった。自民党以外の保守会派があり、それと一緒になれば、過半数が取れるのである。しかし過去のいきさつがあり、両者は協力できない状態にある。そこに公明党やフェミニストがつけいる隙ができているのである。保守派が分裂したために、フェミニストや共産党に政権を奪われたり、公明党と組まざるをえなくなって、不当な譲歩をさせられる例は、この例ばかりでなく、全国に数限りなくある。

 教育基本法の改正でも、公明党は「国を愛する」という表現がいけないと主張している。どこでもかしこでも、公明党の弊害が目立っている。そもそも保守派が分裂し、それを修復する努力をしないで、安易に社会党や公明党と連合したことが根本的に間違っていたのである。

 教育基本法の改正問題にせよ、今回の荒川区の問題にせよ、教訓は「公明党に頼らなくてもいいように、保守派が大合同をしなければならない」ということである。荒川区でも、もう一つの保守会派が、自民党に対する恨みつらみを捨てて、高い見地から協力してくれたら、公明党ぬきで報告書どおりの条例ができて、フェミニストの汚い画策を粉砕できたのである。

 今までのいきさつを越えて、争っている保守派同士の関係修復や、民主党の中の保守派との大合同をなしとげないと、日本の政治は迷走を続けるばかりであろう。政界再編は焦眉の急を要する日本の課題である。坂本竜馬よ現れよ !