フェミニズム

 

15 「託児時間長い子は攻撃的」

 

13において、国立精神神経センター精神保健研究所の菅原ますみ室長らの「研究」がきわめて非科学的で杜撰であると批判したが、関連したテーマでアメリカでなされた研究を『朝日新聞』が紹介していたので、それをここに紹介したい。(『朝日新聞』平成13年4月28日、夕刊「託児時間長い子は攻撃的」)

 

 最近、米国立衛生研究所が研究費用を拠出し、米10都市の乳幼児1364人の育っていく過程を10年間にわたって追跡調査した結果である( このような調査は、公的な保育調査としては最大規模である )。

 それによると、生後3カ月から4歳半までの時期に、保育園などに週30時間以上預けられた子どもの17パーセントは、幼稚園でほかの子どもに乱暴に振る舞ったり、先生に反抗したりする傾向が強かった。週10時間以下の子どもが幼稚園で問題行動に走るケースは6パーセント以下だった。

 対象となった子どもの託児時間は平均で週26時間。預ける先が保育園でも託児所でも、自宅ベビーシッターに見てもらった場合でも結果は同じ。子どもの性別や家系も結論に影響しなかった。

 

 乳児とくにゼロ歳から保育所に預けられていた子に攻撃性が多く見られることは、当の保育所関係者や、小中学校の先生たち、また心理臨床家たちの非常に多くが陰でささやいてきたことである。しかしフェミニストの攻撃が怖いのと、「客観的な裏付けがあるか」「統計的な根拠があるか」と言われると、それは個人のレベルでは不可能なので、公には発言できなかった。しかしこのアメリカの調査は、「公的な保育調査としては最大規模」のもので、しかも10年間にわたって追跡調査した結果であるという。

 この結果は、子どもが乳幼児期に安易に夫婦が共働きをし、子どもは他人に預けるというアメリカ-スウェーデン方式がいかに危険かを示している。アメリカでもスウェーデンでも犯罪がつねに高レベルだということと、子どもの発達の過程で攻撃性を増していることとは、決して無関係ではないであろう。

 日本でも最近は犯罪が低年齢化しており、とくに『犯罪白書』によれば「少年」の窃盗、かっぱらいが急増していることと、乳幼児期からの保育所育ちが増えていることとは、右のアメリカの調査にかんがみても、なんらかのつながりがあることは十分に想像されるところである。

 最近、石原都知事と息子の石原行革担当大臣がともに、駅前保育所の増設を提唱し、東京都が「認証保育所」をオープンしたことをしきりに宣伝している。保育所を増やすことが「善政」だという感覚はきわめて危険である。保守派の中にさえ、フェミニズムの「働け」イデオロギーに媚びて「育児の外注」を無批判に押し進める傾向が出てきたことは、自民党の中にも夫婦別姓論者が増えていることと合わせて、危機的な状況と言わなければならない。

 とくに「延長保育」や「夜間保育」をこともなげに主張している人たちは、長時間保育の弊害に警告しているこの『朝日新聞』の記事をどう読むのであろうか。もし悪影響があった場合にどう責任を取ろうというのであろうか。

 たとえば、スウェーデン型福祉国家を天国のように言って宣伝していた人たちは、スウェーデンの壊滅的現実が明らかになったいま、沈黙してしまった。彼らは責任など取ってくれないのだ。われわれが事前によく見定めて、ウソの宣伝に乗らないで正しい選択をするようにしないと、日本はとんでもない国になってしまうだろう。

 なお、保育園がいまどんな問題を抱えているか、また保育行政にどんな問題があるかについて、保育園の園長さん自身が母性不足の危険を訴えているHPがある。是非読んでみて下さい。

アドレスは http://www.kyorei.ed.jp