Welcome to Henri Rousseau's World

an essay 〜Henri ROUSSEAU物語〜


やさしいルソーよ、きこえますか 僕たちはきみに挨拶を送る....僕たちの荷物を、無税で天国の門を通してくれたまえ筆と絵具とキャンバスをとどける.君が僕の肖像画を描いたように聖なる余暇に、まことの光の中で、星たちの顔が描けるようにと............。

アポリネール



ルソーの墓に今でも刻まれているこの詩は訪れる人々に何を伝えるのだろう....

パリ、モンマルトルの丘に建つ“洗濯船”とよばれる古アパートの一室。

1908年11月のある日、後にキュビズムと呼ばれる新しい絵画の創造を目指していた

27歳の画家ピカソのアトリエは、ある夜会のために飾られ、詩人のアポリネールや

その恋人で画家のローランサン、ブラックなど、時代の先端をいく文化人が集まっていた。

主賓は64歳の老画家アンリ・ルソー。この夜会は、彼の風変わりな絵にみせられた

ピカソが、友人達と一緒にこの画家を励ますために計画したものだった。

左手にはステッキ、右手にはバイオリンを抱えた老画家は、拍手で迎えられると満足げな

顔で一礼した.....。

今では素朴派の代表的な画家として知られるルソー。しかし、印象派のルノワールや

モネでさえ、まだ評価の途上にあった20世紀初頭のパリでは、彼は絵画の基礎も習得

していない未熟な画家としか見られてなかった。

風景に比べ“異常”なまでに大きく描かれた人物。まるで舞台装置のような背景の木々。

遠近法を無視した平面的な構図....。評論家は「6歳の子供が筆の代わりに指で、パレットの

代わりに舌を使って書いた殴りがき」と罵倒し、パリジャンたちは展示された彼の絵の前で

笑い転げたという。

しかし、一部の画家たちはルソーの独創性に感嘆していた。「この黒はまねできない。」と

ゴーギャンがいい、ピカソは4枚のルソーの絵を終生手放すことはなかった。

美術史でも名高い「ピカソの夜会」に招かれたルソーは終始ご機嫌だった。

アポリネールが、ルソーを賛美する詩を披露すると、彼も得意のバイオリンで答える、

そんなすてきな夜に僕も参加してみたい...。


アンリ・ルソーの絵には、喜びとか悲しみとかの感情はあまり表現されません。

そこには以前から、そう何十年何百年もの間そこにあったような不思議な時間の中に

存在するのです。これがルソーの絵が素朴派といわれる由縁かもしれません。

ルソーには二人の妻がいました。ジョセフィーヌとクレマンスです。TOPページの

ルソーの持つパレットにはクレマンスの名前が書かれています。これは後に書き直された

もので、以前はジョセフィーヌの名前がそこにありました。

そしてルソーにはたくさんの子供もいました。しかし、前妻ジョセフィーヌ、そしてクレマンス、

子供達も次々に病気で失っていくルソーには、きっと永遠の時間、そして悲しみを超越した

無感情の世界を表現したかったのかもしれません。

画家の中にはあるときから画風が一新してしまうものがあります。ピカソの青の時代、

そして抽象画へなどは有名ですが、ルソーにも二つの時代があると僕は思います。

それはルソーの住む身近なパリを描いた作品、当時ルソーの興味のあった万博などを

描いた作品、そしてニューヨーク近代美術館にある有名な“眠れるジプシー女”に代表

されるパリから離れた作品特にジャングルを描いた作品などがそれにあたります。

初期の作品では、“セーヴェル橋のながめ”という絵があります。この絵こそ、僕がルソーの

絵を初めて目の前にした絵なのです。そこにはルソーの憧れていた空飛ぶものが三つ

描かれています。気球に飛行船そして飛行機が一枚の絵に描かれているのです。

とても構図を無視したこれらのものはルソーのとても強い大空絵の憧れをあらわして

いるのでしょう。

そして晩期の作品であるジャングルをを描いた作品、ルソーはパリから離れることは

なかったので、当然ジャングルにも砂漠にも行ったことがありません。

そんなルソーが想像だけで描いたジャングルにはいったい何を求めていたのでしょう。

そういえばジャングルを描いた絵の中には数点激しさの感じられるものがあります。

この時になってやっとルソーの中の時間は進み出したのかもしれません。

それはあとわずかな余生を残して...。冒頭アポリネールの詩に続く。

Tuyoshi Ohata.


さあ皆さんこれからルソーの美術館へ行きませんか?

 


Henri Rousseau ってだれ?


時代は、まだルノワールなどが代表する印象派が台頭する少し前、

素朴派と後に称される老いた画家、それがルソーです。

 【アンリ・ルソー年表】


それでは、ごゆっくり
MUSE of henri Roussauへ