イルカとカカシが里の外れに引っ越してから一年後。
 二人は息を引き取った。
 一年も持ったのは奇跡だったと後から聞いた。
 本当ならばイルカは一ヶ月も生きていられなかったはずだった。だがカカシのチャクラと、そして仲間達のおかげで、一年間生き延びることが出来たのだと。
 そして、最後は二人とも穏やかな顔をしていたという。






 あれから何年が過ぎただろうか。
 ナルトはイルカの好きだった桜の木の下で、その満開の花を見上げていた。
「イルカ先生に見せたかったな……」
 小さく呟いた言葉に、後ろからしていた気配が応える。
「今も見てるわよ。きっと二人でその辺に座ってるんじゃないかしら?」
「サクラちゃん……」
 そう言って笑う、サクラも既に上忍だ。ナルトを補佐してくれている。
 火という名を背負ったナルトは、今でも自分の大好きだった人達を忘れることはない。
 里を護るために、命を賭けてくれた、大切な人達を。
 二人は今この木の下で眠っている。
 骨は粉々に砕け、砂のようだった。
 イルカが大好きだったこの桜の下に、と二人で決めた事だったらしい。
 子供だった自分たちには、死が迫っていることなど微塵も感じさせなかった。
 死ぬ前の日も普通に話してたのに。
「相変わらず泣き虫ね……」
 ぐすりと鼻を鳴らしたナルトに、呆れたような声で、それでも優しさを感じた。
「イルカ先生とカカシ先生は、多分幸せだったんだと思うわよ……」
 だから、火影が泣かないの! と今度はもっと強く怒られた。
「なんで、そう思うんだってばよ……」
「だって、死ぬ前の日も、二人ともとても幸せそうに笑っていたから……」
 思い出せるのは笑顔だけだ。
「そうだな……」
 ナルトは涙を拭って、そして空を見上げた。













 桜の咲く季節に二人は逝った。
 穏やかな季節に、二人寄り添うように。



 彼等が護ってくれたこの里を、絶対に護ろうとナルトは誓う。

 その意志はしっかりと受け継がれていた。







――――未来へと。





 

 



 













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――――2009.6.17.up

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