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ジェームズが、顔を強張らせる。
「優しかった!あの人は私を、私という存在を認めてくれている!価値観が同じだから、私が誇りに持ちたい事を、誇りとして認めてくれる!!」
「ルシウスは、君を認めてるわけじゃない。側に置いておく玩具の一つとして見てるだけだ」
掴みあげるジェームズの手に、更に力が入る。
スタジアムを飛び回る、その箒をしっかり掴むその手は、セブルスの細い腕をやすやすと折ってしまいそうだ。
ぐい、と引寄せ、セブルスに言い聞かせるように、はっきりとジェームズは告げる。
「君は、あいつの玩具の一つに過ぎないよ。優しくなんて無い。そこそこ実力があって、価値観が同じで、さらに見栄えが良けりゃ誰でもいいんだ。隣に置いて、王様のように真ん中でふんぞり返っていたいだけだ。」
「そんな事は分かってる!!!」
叫びながら、涙が出そうになる。
「だとして、お前と何が違う!!お前にとってこそ、私など玩具に過ぎないだろうが!!ただ気に食わない気に入らないという理由で、事あるごとに私を馬鹿にする!!私に屈辱を与える!惨めな思いばかりさせて、私の顔色を見て笑う!!さぞ楽しいだろう、不本意ながら私は感情を殺す事が苦手だからな!!貴様の思い通りになる私は、さぞ楽しい玩具だっただろう!!」
「――だからルシウスに乗り換えるってのか?」
ジェームズが低い声で、問う。セブルスは、涙が出そうになりながら、下手な笑顔を浮かべる。
「同じ玩具なら、あの人の方が優しい。あの人は私を馬鹿にはしない。将来の事を見据えたって、あの人の側にいた方が何かと有利である事は間違い無い。それともいつまでもお前の玩具などでいろと言うのか?卒業しても年を取ってもずっと?」
下手に、笑う。
「もう、私を脅そうとしても駄目だぞ、ポッター。元々お前との関係を隠そうとしたから、私はお前の玩具にされる羽目になったんだ。生憎、先輩はもう私達の関係など重々承知だ。脅しなんて通用しない。もう私と先輩の関係自体が公認と化してるからな、今更お前との事など、もうどうでもいい。私はもう、お前に縛り付けられる理由は無い」
凍りついているジェームズの顔。
ざまをみろ。
お前だって、そんな顔ができる。
いいざまだ、ポッター。飼い犬に手を噛まれる気分はどうだ。
もうお前に、余裕なんて与えない。
「!」
セブルスを掴んでいた手を更に引っ張り、ジェームズは強引に歩き出す。
「離っ……」
言いかけて、つまづきそうになる。ジェームズはセブルスを掴んだまま、談話室を出、無言で階段を上る。
「おい、ポッ……」
セブルスは転ばないように付いていくのがやっとだ。あれだけ言っても腕を離さないジェームズの考えている事に、セブルスは気付いていた――つもりでいた。
「――」
甘かった、と思い知らされる。適当な部屋に連れて行かれるか、さもなければセブルス自身の部屋だと思っていた。
「行儀の悪い飼い犬は、躾直さないとね。」
ルシウスの部屋。
昨夜、セブルスが抱かれた――
「ルシウスのベッドはどこ?」
蒼褪めたセブルスが、当然答えるわけはない。が、一瞬、無意識で目が動いたらしかった。ジェームズはセブルスを引っ張り、正確にルシウスのベッドへ移動する。
「は――なせ」
震える声で抗議しても、ジェームズがそれを聞くわけがない。逃げ出したくとも、身体がろくに動かない。
「!」
柔らかいベッドに、投げ出される。すぐにジェームズが覆い被さってくる。ひ、と身体を捩ろうとしても、すぐに両手首を掴まれ、押さえつけられた。
鋭い瞳が、セブルスを間近で射貫き、寒々しく、笑った。
「何勘違いしてるんだよ、セブルス。今更『脅し』なんて関係ないよ。君が僕に縛り付けられているのは、君が『僕のもの』だからだよ。それを、乗り換えるだって?誰が君にそんな権利を与えたのさ。」
セブルスを押さえつけたまま首筋に顔を埋めたジェームズが、セブルスのその白い首筋に歯を立てる。大した痛みではなかったが、セブルスは、恐怖で声にならない悲鳴をあげる。
「――誰が飼い主か、じっくり教え直してやるよ。君の全部に叩きこみな」
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