Cryforthemoon


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「ルーピンは、決して人に害を成したりはしない。決して口外しないでくれるね、セブルス」
「貴方がそう仰るのなら、ダンブルドア」
 セブルスは無感動に答えた。ダンブルドアは胸を撫で下ろしたように、セブルスに頭を下げた。
「ありがとうセブルス。人狼と言っても、本人も本意では無いのだよ。可哀想な境遇なのだ」
「貴方が私などに頭を下げないで下さい。私はこれで失礼します」
 なおも続けようとするダンブルドアに、慇懃に頭を下げ、機械のように無感動に、セブルスは校長室を出た。校長室の前にはシリウスが立っていて、セブルスと入れ替わりに校長室へと入っていった。すれ違い様にシリウスは鋭い瞳で睨みつけてきたが、セブルスは一瞥しただけで、なんの感動もくれてやらなかった。時が経てばまた憎しみが増すかもしれないが、今はとにかく疲れていた。廊下を歩き出そうとすると、目の前にジェームズが立っていた。
「すまない、セブルス」
「かのジェームズ・ポッターが、私に頭を下げるとはどういう風の吹き回しだ?」
 神妙に頭を下げるジェームズを見つめもせず、セブルスは感情を浮かばせない瞳で答えた。

「どうせ私は、お前に逆らう事など許してもらえないのだろう?」

 所詮所有物だからな。

「――」
 その時ジェームズの瞳に浮かんだ色は怒りだったのか、寂しさだったのか。セブルスは見ていなかったから知らない。ジェームズも恐らく分からない。肩を思い切り押されセブルスは壁に押し付けられ、衝撃で顔を顰める間も一瞬で、唇を強く重ねられた。
「……っ」
 鋭い痛みを感じた。すぐに唇は離れた。瞳を開けると、すぐ間近でジェームズの鋭い瞳がセブルスを射た。
「――そうだよ」
 押し殺した声でそう告げると、早足でジェームズはその場を離れた。セブルスは壁にもたれたまま動かなかった。残る、痺れるような痛みに指先を持っていくと血がついた。唇を思いきり噛まれた。

 ――動物が、自分より弱いものに噛み傷をつけて、上下関係を思い知らせると聞いた事がある。
 セブルスは少し笑った。


 もう心が空っぽで、何もかもどうでも良かった。


























 それから卒業までの約2年、セブルスはジェームズに呼び出され、夜を共にした。しかし馴れ合う事はもう無かった。傷つける為に、傷つけられる為に一緒にいるようなものだった。最初に戻っただけだ。セブルスはそう思った。もう気を許してしまうような事も無く、心を閉ざしてジェームズを締め出した。そしてジェームズはジェームズで、心を閉ざしたセブルスが自分を全く拒み出した為、なおさら傷つけるのを目的としてセブルスを抱いた。
 心を閉ざしたセブルスと、その扉を無理にこじあけようとしたジェームズ。二人の心はお互いをますます頑なにさせて、かつて重なったかに思えた二人の関係は、もうすれ違ったまま手の届かないものとなっていった。
 卒業が近付く頃にはお互いに忙しくなり、なかなか会う暇も無くなった。そして気が付けば、最後にキスをした日さえ明確に思い出す事はできず、二人の関係は曖昧なまま卒業を迎えて終りを告げ。



















 そして永遠に終った。 



    



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