鎌倉山から広町の谷戸へ

 

鎌倉山を歩きたいので、適当なコースを紹介して欲しいという人が結構いる。鎌倉山というからには、今でも自然にあふれた山があると想像されている人も多いようだ。でも残念ながら今の、鎌倉山にはそのようなイメージはのこされていない。

鎌倉山の尾根道は今ではメインストリートになり、桜並木で有名である。ところどころ海や富士山を望むなかなか風光明媚な道ではあるが、片側一車線のバス通りになっていて、歩道がなく、意外に交通量が多くて、とても散策するような気分にはなれないのが実状である。桜の木もこの20年間で、随分折れたり、枯れたり、宅地造成で引き抜かれたりして、数が減ってしまった。

これらの桜の木は並木として道路に植えられているものは少なく、沿道の民家の庭に植えられているものが多いので、計画的に植樹するのは難しいようである。年々桜の木が減少していくのは寂しいことだ。

そんな訳で、鎌倉山のみを主体とした本格的なハイキングコースはみあたらないが、鎌倉山を起点としたコースとして、まず第一にお薦めできるのが、旭ヶ丘から広町の谷戸に抜けるコースである。

 

旭ヶ丘バス停をおりて、郵便ポストのある角を棟方志功版画美術館の案内板にしたがって進んでいくと、5分程で海がみえる地点に突き当たる。この三叉路を右折してのんびりと15分程あるくと、左側に七里ガ浜分譲地に下る階段のある場所に突き当たる。舗装はされていないが、その先にも細い道が続いており、真っ直ぐ進めば自然に広町の森に入り込んで行く。

 

森に入って直ぐそばに山桜の大木のあるところに通じる道が分岐している。山桜はソメイヨシノが咲く頃かその若干あとに満開を迎えるが、実に見事なもので、以前は友人と花見によく訪れたものだ。その先の急坂を下っていくと、湿地帯をこえて川沿いに谷戸の正面入り口に通じている。また山桜の方には曲がらずに直進し、七里ヶ浜の分譲地を左手にみながら、外周路を進んでいくと、左手に下る急坂がある。その道を下りると鎌倉洋蘭園の近くの、車道にでる。江ノ電の七里ガ浜駅まで、10分強で出られるが、ここで下りてしまうと広町の谷戸の雰囲気は味わえない。

その道を下らずに、霊光寺を左手に見ながら更に進むと右手に下る急坂がある。ここを下ると、入り口に通じる湿地帯に出る。冬はルリビタキなどによく出会う場所である。

広町谷戸の森は平日には、人出が少なく、山道では誰にもあわないこともある。標識が所々に設置されているが、道が荒れているところがあり、迷いやすく、急坂などもあるが、あまり奥が深い森ではないので、それほど危険な目にあうことはないだろう。とはいえ実際に初めて現地を歩く場合はより詳細な地図を持参されるのが望ましい。

旭ヶ丘から歩き始めて、一番遠いコースを辿っても、2時間ほどで、モノレールの西鎌倉駅に着くことができるだろう。

広町の谷戸とその周辺の森は宅地開発で問題となったが、やっと市が買い上げて保存することが決まったばかりである。鎌倉には台峰など、ほかにも開発で失われかけている貴重な自然がかなり残されている。なんとかして保存して欲しいものだ。

広町の谷戸は、流れが豊富であるが、不思議なことに私は流れのなかに魚を発見した記憶が全くない。案内図にはホトケドジョウが生息していると書かれており、ヨシノボリを見たという人はいるが、どうして見つからないのだろうか?カワニナはどこの流れにも豊富にいるので、ホタルの数は多いのだろう。市が管理するに際し、あまり人手は加えてほしくないが、どこかに小さい池を作って、鎌倉に古来から生息している、メダカやフナ、クチボソ等を放流してはどうだろうか? (2002年11月)

2004年10月31日の午後、広町の谷戸を散策していたら、流れのよどんだところにホトケドジョウの稚魚が3匹いるのを発見した。

 

 

 

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