平成24秋「サシバとともに」

10年間続けてきた、サシバ観察記録は這般の事情により取り止めることとし、今後は異なった観点からサシバを見続けて行きたいと考えております。
ところで、這般の事情とは大げさなのですが、春のサシバ観察が終わった時点で、急に目に変調がおこり、ぼやけたり、二重に見えたり、異常に眩しかったり、して、医者からは紫外線の強い、屋外での長期間のサシバ観察は厳禁されております。
まだ検査中で、状況がはっきりしない面もありますが、いずれにせよ、従来通りの観察は到底無理で、笛田公園を中心として、30年間続けてきた、定点観察は中止せざるを得ません。

それでは一体なにができるのか?このところ秋は毎年100羽前後のサシバは観察できていたが、今年は果たして何羽観察できるのだろうか?まさかゼロはないとは思うが、まったく予測ができない。既に今年も8月4日にサシバが初認されており、本格的な渡りのシーズンも間近にせまりつつあります。9月9日の時点で、水戸では8月15日からの観察で、すでに出現395羽、飛去304羽が記録されているし、静岡では2羽の通過が記録されている。

ある意味、今年はとても注目すべき年になる筈だと思われる。それは昨年の混乱がおさまり、東日本大震災の影響が、顕著に本格反映される年になるだろうと想定されるからである。鎌倉以東のサシバの繁殖地の内、比較的影響が少ないのは茨城県のみで、千葉、宮城。岩手各県の太平洋岸は壊滅的な影響が、今後かなり長期にわたり、残ることになるものと思われます。これらの地域で繁殖するサシバが行きも帰りも鎌倉を通過すると仮定すれば、ことしの秋見られるサシバは大幅に減少することになる筈です。でも現実にはサシバはそれほど単純なルートを辿っているのではないようにも思われます。いずれにせよ今年の秋、何羽のサシバが鎌倉にやってくるのかは、とても興味のあるテーマだと思えます。

                                                                                       平成24年9月9日

9月12日(水) 晴   

久しぶりに鎌倉市の天気図を見ると、午前中は北風、午後からは南風に変わるという典型的な、パターンの日が続いている。
9月11日現在、茨城県水戸市を通過したサシバは318羽、これに対し、白樺峠を通過したのは169羽、静岡を通過したのは20羽に過ぎない。少なくともこの差額に見合う数のサシバは鎌倉を含む、中間地点に滞留しながら、徐々に西に向かっているものと考えられる。依然クレージーに暑い日が続いているが、例年のパターンから言うと、本格的な渡りが始まるのは、9月20日頃からではないかと予測される。

この日、今シーズン初めて、サシバ観察目的で笛田公園に行ってみた。11時から約一時間、目の調子をテストしながら観察をしてみたが、何も発見はできなかった。双眼鏡の使用については、医師からは特別問題はないといわれているが、現実には疲労が激しく、長時間使うのは無理なようだ。「幻のタカ柱」の追跡は残念だが、あきらめるしかないようだ。

私が「幻のタカ柱」にこだわる理由、それは出会ったときの神秘的な美しさもさることながら、実は幻のタカ柱はタカ柱のように見えて、全く違うものではないのか?という思いがあるからです。サシバは、基本的には上昇気流を利用して、移動していくものだということは疑う余地がありません。そしてある場合は自力で羽ばたきながら移動することがあります。しかしサシバの渡りはこの二つのパターンだけでなりたっているのでしょうか?

仮に第三のパターンがあると想定すると、私が抱いているサシバの謎は相当部分解明されることになります。その第三のパターンとは、偏西風とか、ジェットストリームとかいった地球規模で発生する自然の風を利用した移動方法です。こうした風は一般に超高空を西から東に吹いていますが、秋に東から西に吹くケース(偏東風とか貿易風とよばれる)もあるそうです。春のサシバが秋に比べて、発見しにくいのは、低空を広範に分散して飛んでいるからだというのが、一般的な理解のように思われます。しかし超高空をジェットストリームにのって飛んでいるから見えないのだと考える方が合理的だとも私には思えます。しかしそれを裏付ける材料がない以上、説得力が得られません。

「幻のタカ柱」はもしかすると、秋における第三のパターンによるサシバの移動方式ではないのか?と考える根拠はなにか?通常のタカ柱であれば、ネットワークの中で、必ず把握される筈です。しかし私が過去に大崎公園,江ノ島で見た幻のタカ柱は、最低100羽、最高200羽という規模であったにも関わらず、富津でも、武山でも、稲村ガ崎でも、矢倉岳でも、数的に反映されていなかったように記憶しております。(それ故に幻なのです)通常のタカ柱であれば上昇、下降を繰り返しますので、必ずどこかの観察ポイントで、把握される筈だと思われます。

サシバ観察にはこのように、わくわくするようなテーマが色々とあるから楽しいのでしょう。「幻のタカ柱」を発見できる確率?が一番高い場所は、江ノ島の展望台だと思います。新しい展望台には上ったことがありませんが、旧展望台でアメリカ方面と表示された方向の超高空がポイントだと思います。(私は30年間で、7回しか見ていません。しかしこの場所には二回行って一回出会うことができました。まあ確率が高いといってもこの程度の話です。しかしサシバに出会えるかどうかは別としても、この場所でサシバを見ることは、全く別の角度からサシバを見るということであり、とても有意義なことであると思います。)

9月14日(金)  晴

依然猛烈な暑さが続いている。先日御殿場で法事があったので、ひさしぶりで矢倉岳を近くに見ることができた。矢倉岳(標高870m)は笛田公園からも遠望できるが、やはり近くで見ると趣が違う。

鎌倉を通過するサシバの大半は矢倉岳を通過して、十里木高原の方向に向かうといわれている。毎年3000羽前後のサシバが渡って行く場所は神奈川県ではここだけだと思われるが、最近矢倉岳での定点観察結果が得られなくなり、とても残念である。昔何回か矢倉岳の山頂でサシバを観察したことがあるが、足元から浮かび上がってくるサシバが特に印象的であった。矢倉岳に上るには、足柄万葉公園から約一時間、麓の矢倉沢からは約2時間かかり、最後はかなりの急坂である。交通の便が悪く、車がないと、行くのが大変であるが、元気な人には是非一度行かれることをお奨めします。私は白樺峠には行ったことがありませんし、他にもこうした場所があるのかもしれません。しかし私の行ったことのある他の場所で、こうした感動的な光景は見たことがありません。

9月17日(月)   晴

白樺峠では昨日で1290羽のサシバが通過しているが、静岡は87羽となっている。両ポイントとも、最終的には1万羽前後の通過が予想されるので、まだ序の口という感じがする。依然信じられないような暑さが続いているが、時期的にみてそろそろ太平洋岸でもサシバの渡りが本格化するものと予想される。私はまだ1羽のサシバにも、出会っていないが、とにかくまずサシバに出会うこと、今はそれだけしか考えられないのが実情である。

日本で一番紫外線が強いところはどこか? 当然沖縄県だろうと考えていたが、正解は長野県の松本市だそうだ。紫外線が強い場所は、砂浜、山の上、雲の多い晴天の日、時期的には真夏、時間的には正午前後だそうである。端的に言えば、サシバが見られる場所はどこも紫外線が強い場所であって、紫外線をさけていたらサシバには出会うことは不可能だと思われる。サングラスを紫外線を最大限遮断する偏向ガラスに作り変えてみたが、絶対的なものではありえない。極力効率良く、短時間で、最大の効果を上げるような戦略を考えて行くしかないようしかないようである。

笛田公園での秋の代表的なコースは、住生住宅の上空あたりに出現し、太陽の真下かなりの高空をヒタキ桜の上を通過して夫婦池方面に消え去るものである。このコースはかなり高度があって写真撮影はまだ一度も成功していないが、このコースを飛ぶサシバはまるで、宝石のように輝いて,この世のものとは思われないような美しさがある。サシバが最も美しく輝いて見える、瞬間、それはサシバがサシバのように見えない瞬間であるのは、皮肉な感じがしないでもないが、とにかく、このコースの観察は目への負担が大きすぎて、断念せざるを得ないのがとても残念である。

9月19日(水)  曇り時々雨

そろそろ本格的な渡りが始まっても良い頃であるが、悪天候が続いている。この日も終日南風が強く、サシバは渡りそうになかった。しかしこんな日でも、サシバに出会える可能性はゼロではない。最近はあまり経験していないが、以前には夕方に笛田公園の上空を舞うサシバを良く見かけたものだ。こうしたサシバにも、二つのパターンがあるように思われる。すなわち8月上旬から9月初旬にかけて見られるサシバは所謂原初的な渡りとして、鎌倉に滞在するサシバであり、殆どが若鳥である。笛田公園で見られるサシバは主として広町、夫婦池、常盤山レンジに滞在するものだと思われる。しかし9月中旬になり、本格渡りの時期になると、この地域で夕方見られるサシバは天候調整のため、一時的に滞在するものだと私は考えている。したがって、成鳥もかなりの比率で見られる。もしかして、こうしたサシバが見られるかもしれないと、15:30から約一時間、笛田公園の野球場で観察してみたが、成果はなかった。

9月20日(木)  晴

晴天で、気温も少し下がって、一見サシバ日和に思えたが、風向きが終始南南西であった。9時現在1mの南風であり、終日この程度の風であれば、笛田公園でも十分期待はできるが、前後が3,4mの南風であることを考えると、可能性は限りなくゼロに近い。多少可能性が高いと思われる鎌倉霊園で、10:30から約一時間観察をしてみた。鎌倉天園の方向にサシバらしい影が何度か見られたものの、はっきりと確認はできなかった。サシバだとしても、居ついているもので、渡りではないと思われる。

上の右側の写真は霊園から、鎌倉天園方面を望むものである。遠望すると、この先から右手にかけての山林にサシバと思われる鳥が止まっているのが、しばしば見られる。この付近から十二所果樹園、池子の森にかけては、昔浄明寺に住んでいたときに、良く歩き回ったとても懐かしい場所である。当時は霊園もまだ建設されておらず、泉水橋から先は舗装もされていなかったが、金沢八景行きのバスは運行されていた。その後霊園が開発され様相は随分かわってしまったが、自然そのものは50年前に比べて、比較的変わっていないように思える。

9月21日(金)  曇

空は曇っていたが、笛田公園は北の微風で、視界もそれほど悪くはなく、サシバがやって来そうな雰囲気であった。9時頃から顔見知りの人と始めて会う人と3名で観察した。9:16、9:52、10:01に各一羽、10:07に2羽と合計5羽のサシバが、かろうじて肉眼で見える程度の高空を定番コースで、西に向かっていった。まだまだやってきそうであったが、目が疲れて、やむなく10:15で引き上げた。本格的な渡りの始まりだと思われるが,三浦半島に滞留していたサシバが一斉に飛び立ったのかもしれない。豆粒のようなサシバであったが、ともかく今シーズンもサシバに出会えて、ハッピーであった。

9月22日(土)  曇後晴

9:00−10:30 逗子披露山公園で観察した。空は快晴ではなかったが、北風が、2m程度で条件は悪くはないと思われた。こんな日は海側が面白いのだが、目が疲れるので、あえて公園の上空のみに焦点をしぼって観察した。上空を色々な鳥が渡っており、サシバもやってきそうな雰囲気はあったが、結局一羽も発見できなかった。

22日現在 白樺峠5063羽、静岡94羽通過。太平洋側の主要観察地点では、まだ殆どサシバが観察されていない。来週からは天候も回復し飛びはじめる筈だが

9月24日(月)   晴

9:00−10:30 笛田公園で常連の人と一緒に観察。弱い北風で、視界も良く、絶好のコンディションであった。9:39,9:45,10:09にサシバ各一羽がグラウンド上空を肉眼でかろうじて確認できるような高さを西に向かっていった。一緒に観察した人は超高空をハチクマ2羽が飛行していくのを観察したが、残念ながら私には見えなかった。まだまだ飛びそうであったが、疲れたので観察を中止した。

昨日は雨であったので、白樺峠について、色々データを調べてみたが、これまであまりにも無知であったことに気がついた。私は白樺峠に行ったことがないので、Google earthで付近の地形等を見てみると、なんとなく標高1700mのこの場所を何故10,000羽ものサシバが飛ぶのかは理解できる。

                                             

 

しかし、意外に思ったのは、この場所を通過するサシバは長野の北、新潟、山形から来たものだと推定されるという共通認識が出来上がっているように思われることである。私は漠然と関東以北で繁殖したサシバは、八王子を経由するものを含めて一定部分白樺峠に向かうのではないのかと考えていたが、それは間違いなのだろうか? 東日本大震災と白樺峠は全く無関係なのであろうか?

机上の空論にすぎないが、農水省発表の平成23年度の県別の水稲米の作付け面積をみると、長野、新潟、山形の3県を合計して224,100haである。一方岩手、宮城、秋田、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、静岡の11県を合計した作付け面積は589,020haであり、3県の2.5倍に相当する。もちろんサシバの向かう里山環境のcapacityが、当然に米の作付面積と比例するという合理的な根拠はない。しかし3県から10,000羽のサシバが白樺峠に向かい、2.5倍の米の作付面積がある11県からは、サシバが静岡、伊良湖に向かい、その数はほぼ10,000羽と同じであるというのは、なんとなく釈然としないように思えるのは私だけなのだろうか?

なお岩手県の水稲米の作付面積は57,000haである。これに対し青森県は50,700ha, 北海道は114,000haである。しかし岩手県にはサシバがいるが、青森、北海道にはいないそうだ。何故なのか?津軽海峡にはブランキストン線という、動植物の分布境界が走っているという話は知っている。昔はゴキブリは北海道にはいなかったそうだ。しかし現在は札幌にいる友人に聞いても、ビルやマンションには立派に生息しているそうである。北海道はともかく、青森にいない理由は私には理解できないのだが。

9月25日(火) 曇

雨こそ降らなかったが、曇りで、北風が5m程度吹いていて、半袖では寒いぐらいであった。10時頃から約一時間、葉山の城ヶ崎海岸で、観察したが、全く成果はなかった。


昨日は稲村ケ崎で204羽のサシバが見られたとのこと。全般に高度が高かったようだが、やはりこれだけの数が見られるのは素晴らしいことである。武山で45羽、矢倉岳で349羽、秦野の権現山で118羽、静岡で2805羽、白樺峠は255羽と、各地でかなりのサシバが飛んでいる。しかし富津では3羽しか飛ばなかったとのこと。一方横浜市内でかなりの数のサシバが見られたとの情報もある。yahooでサシバというキーワードで検索すると、現在277,000件の情報が得られる。一昔前は8,000件程度であったように記憶している。情報といっても玉石混交であるが、とにかくサシバに関心を持つ人が増えることは、好ましいことだと思う。

9月26日(水)  晴

天気は良かったが、午前中6m程度の北風が吹いていた。北風は帽子が飛ばされない限り、サシバの渡りがストップすることはないと経験上言いうると思うが、笛田公園ではかなり厳しい。10時半ごろには4,5mとやや北風が弱くなったので、12時前まで、サッカー場で観察してみた。10:56にチョウゲンボウ、11:32にはハチクマが各一羽現れたが、残念ながらサシバは見られなかった。ハチクマは強風にもかかわらず、ほぼ定番コースを西に向かっていった。以前千葉県支部の情報として、関東以東のサシバは9月下旬あたりまでは、日本列島の中央部を流れる貿易風に乗って、白樺峠の方向に向かい、気温が24度を下回り、北風が強くなる頃から、房総半島から三浦半島を通過し、太平洋岸を西に向かうようになるという説があるという話を聞いた事がある。

9月27日(木)  晴

昨日は6mの北風であったが、各地とも、そこそこサシバが飛んでいる。今日は晴れていたが、7mの北風という予測であった。1mの違いであれば、それなりに期待はできるが、笛田公園は期待薄である。色々迷った結果江ノ島の防波堤で10:30−12:30観察した。この場所で観察する目的は、今の私にとって、究極のロマンともいえる、「幻のタカ柱」に出会う事である。前回であった時は確か5mの北風であったが、流石に7mの風は厳しく、帽子が何度か吹き飛ばされた。しかしそれ以外の条件は悪くはなかった。休み休みであるが、今シーズン初めて双眼鏡を使用して高空を探した。成果は何もなかったが、あっという間に時間が流れ、満足感が残る半日であった。(ドクターストップを無視して、目を酷使したので、後が心配であるが)

私は行ったことはないがスペイン通の人の話では、首都マドリードに近いトレドという町に、ドンキホーテ(ラマンチャの男)の作者セルバンテスの銅像がたっていて、今でも多くの人々の敬愛を受けているそうである。ドンキホーテの物語は人間、何歳になってもロマンを持ち続ける事が、いかに大切であるかということを教えているのだそうだ。私も昔この本を読んだことがあるが、騎士道の名の下に、痩せ馬にまたがって、風車に突撃するなど、とても正気だとは思えなかった。しかしそんな意味もあるのかと最近この本を買ってきたのだが、丁度目がおかしくなり、未だに読むことができないままである、

究極のロマンか? 狂気の沙汰か? それはさておき、吉日を選んでもう一度挑戦してみたいものだ。

9月28日(金)   曇後晴

三日連続で、6,7mの強い北風が吹くというのはあまり、記憶にないことである。こんな日でもサシバは各地で数こそすくないが、飛んでいるのには驚かされる。この日は10:30−12:00笛田公園で観察。初めは曇っていたが、だんだん晴れ間が多くなり、幾分風も収まり、サシバがやってきそうな期待感はあった。しかし、結局何も飛ばなかった。白樺峠は一万羽を越え、大詰めという感じであるが、太平洋岸は静岡で4850羽で、まだ半分程度しか飛んでいないという感じである。三浦半島でも、最低あと二山か三山はあるのだろう。私はまだ8羽しか観察できていないが、一応想定内ではある。それにしても富津はまだ4羽しか飛んでいないというのは、意外なことだと思われる。

余談であるが、紫外線は晴天を100とすれば、曇りの日は60、雨の日は30という割合なのだそうだ。

9月29日(土) 曇後晴

9:30−11:00  笛田公園で観察。始めは雲が多かったが、だんだんと青空がでて、無風快晴、絶好の条件になってきた。最近常連となっている300種を観察していて、かなりベテランの人と一緒に観察したので、あまり見落としはないと思うが、このまたとない条件にも関わらず、サシバは一羽も見られなかった。
集中しすぎたのか、帰宅後眩暈がして、少し横になっていたが、収まったので、15時半頃八雲神社を車で通行中、目の前をサシバ1羽が肉眼でもはっきり見えるぐらい、低く飛行しているのを発見した。今夜は常盤山で一泊するのだろうか?それにしても懸命に探してゼロ、思いもよらずに一羽、これが、サシバであり、人生なのかもしれない。

9月30日(日)  晴

9:00−10:00 笛田公園で観察。台風の接近にともない、だんだんと南風が強くなることが予測されていたが9時に公園に着いた時点ではまだ風も弱く、十分サシバがやってきそうな雰囲気はあった。珍しく押上さんご夫妻が来ておられご一緒に観察させていただいた。稲村ケ崎から笛田公園方向にサシバ2羽が向かったとの電話連絡が入って、注目したが、それらしくものは発見できなかった。また北から南へ、低空でタカが一羽、横切っていった。グランドの別の場所で観察していた常連の人の話では、はじめ2羽で旋回していたそうで、一旦別れ、稲村ヶ崎の方向に消える直前でまた合流したようだ。ハイタカのようだったという話であるが、果たしてなにだろうか?

残念ながら、今の私には高いのも、速いのも、カメラの液晶画面すら、ぼやけてしまって識別ができない日が多い。録に目が見えないのに、何故サシバを見ているのか? 韓国ドラマ風に言えば、それは未練であり、執着なのであろう。

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サシバと日本人

日本人の先祖はどこから来たのか?この議論は今から50年以上も前になりますが、私の高校時代結構さかんでした。丁度京都大学の安田徳太郎という先生が、日本語の起源はヒマラヤにあるレプチャという国であるという本を出し、話題となりました。その後この説は誤りであるということになり、消えていきました。一方民俗学の大家である柳田国男は「海上の道」という本を著して、日本人のルーツは南方から、琉球列島沿いにサバニという小船をあやつりながらやってきて、水稲稲作文化を確立したという説を発表しました。私は祖祖父の代までは純粋な薩摩隼人であるといわれていたことこともあり、この説には共感するところが多かったのを記憶しています。その後この説にも異論が出て、現在では日本人の先祖は朝鮮半島からやってきたという説が有力なようですが、決め手はないようです。要するに日本人のうち大和民族という固有の民族は遺伝子的にみても、存在しないそうで、(アイヌ人の先祖は明白に特定できるそうですが)ようは混血民族なのでしょう。したがって南方説も朝鮮半島、大陸説はいずれも正しいのだろうと思います。

日本人の姓は最低10万、広義でいえば30万以上と言われています。これに対し韓国人の姓は僅か280です。さらに驚く事は、あれだけの人口を抱える中国の内漢民族の姓は僅か5しかないそうです。これは重要な問題を含んでいるとおもわれますが、サシバとの関係においてはどうでも良いことかもしれません。問題は日本人の先祖が水稲稲作文化を築き上げたということなのです。(韓国でも北部にいくと水田がみれれるそうですが)水稲稲作文化のベースになるのが、里山です。

「里山」とは、広い意味では里山林・田んぼ・ため池・用水路・畦などがセットになった農業環境・農業景観のことを指し、狭い意味では稲作農業に必要な肥料や木材、薪炭をとるための農用林(里山林)のことをさすそうです。 「里山」は、人間が長期にわたって手を入れ利用してきた「文化としての自然」であり、日本人にとっての原風景とも呼べる景観です。この里山を身近でみるのであれば茅ヶ崎にある県立里山公園と園周辺の田園風景が最適だと思います。これだけの環境があって、初めてサシバが繁殖できるのだということを実感することができます。

日本列島にアイヌ人だけが住んでいた頃はおそらくサシバもいなかったのではないでしょうか?サシバは日本人の先祖とともに、日本にやってきたのでしょう。ですからサシバと日本人とは水稲稲作を通じ、古来より密接に結びついて、生活してきたのでしょう。戦後の一時期、米をコストの安い豪州とか、カリフォルニア、タイなどから輸入したことがあります。しかし結局生き残ったのは、コストは高くても、コシヒカリ、ササニシキ、ヒトメボレといった日本米です。

日本ではトキ・コウノトリ・クマタカ・イヌワシの保護だけが、熱心で他はあまり力が入れられていないという批判を耳にすることがあります。しかし日本に生息する580種強の野鳥の数がそれ程変動していないということはある意味評価すべきことだと思います。サシバは平成18年に環境省のレッドブックで、絶滅危惧種に加えられています。しかしリストアップされただけで、具体的にどのような実態調査が行われ、どのような保護策がとられているのか?さっぱり見えてきません。

サシバの保護はイコール里山の保護だと思われます。里山の再生こそが、東日本大震災からの復興策はもとより、脱原発によりクリーンエネルギーへの代替策を求められている、日本の将来展望の中で、一つの柱になるべきではないかと私は考えます。500年に一度津波がくるから住めないという土地に新しいタイプの里山を作り、中心部を緊急避難ができるような小高い丘にして、発電用の風車を設置し、エネルギーも自給できるようにする、そんな発想がそろそろ出てきてもよいのではないでしょうか?

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10月1日(月)  晴

台風一過の青空であったが、南風が強かった。こんな日、笛田公園ではチャンスがないので、今まで、実り少ない北紀行を繰り返してきた。八王子の遠矢堀公園まで、北に行けば、それほど南風の影響は受けないようだが、県内は北に行ってもサシバに出会うことは稀であった。(全くゼロではないというのが、悩ましいところである)北風であれば、5〜7m程度の強風であっても、鎌倉をサシバが飛んでいる。しかし5〜7mの南風が吹いたときはサシバはほぼ100%飛ばない。サシバは左右対称の飛行物体である。仮にヨットであれば、セールを操作することにより、左右から風を受けても、全く同じように意図した方向に進む事ができる筈である。ヨットのセールとサシバの羽を一緒にはできないとしても、全く納得がいかない。北風が強い時はサシバははるか海上に流され、伊豆半島の伊東から下田の中間あたりに到達するのではないかと思って、昔オートバイで現地まで行ったことがある。しかしそのような形跡は発見できなかった。即ち北風が強い日であっても、どこかで方向転換をして、大半は矢倉岳方面に向かっているのだろうということが、各地の観察データから推測される。サシバは南風の日は何故神奈川県を飛ばないのか?

11:00−12:00 引地川親水公園で観察したが、サシバは一羽も飛ばなかった。この場所で過去30年一体何匹飛んだのだろうか?何年か前鉄塔に止まったサシバが思い出される。サシバが鉄塔に止まることは岩手県ではしばしば見られるそうである。

                                                                                                                   
  10月2日(火)  

快晴北風で、絶好の条件思われた。9:45−11:45湘南平展望台今シーズン初めて観察した。以前足柄万葉公園一緒観察したことのある、平塚江南高校先生偶然お会いして一緒観察した。   私が着く前に既に20羽以上サシバ が通過 したとのことであったがサシバその後絶え間なく海側と内陸側を同時に、それ程大きく  はない群れつくって渡っていった。  `結局私は96羽サシバを観察することができた。他にオオタカツミハヤブサミサゴ などが見られたこのところ不振続きであった湘南平で、このような大成果が得られるとは驚きあった。一人で観察していたら、半分見つけられなかっただろう。幸い目の調子も良く久しぶりにサシバ観察醍醐味味わう事ができた。


 

10月3日(水)  曇

昨日は富津が186羽、武山109羽、稲村ケ崎289羽、矢倉岳392羽、静岡1413羽と、久しぶりに太平洋岸各地で相当数のサシバが見られた。一方中央部に位置する白樺峠は12羽しか飛ばなかったが、累計で11145羽となり、ほぼ終了と思われる。 これに対し静岡では累計6557羽で昨年実績の62%弱である。太平洋岸は今後まだまだ飛ぶものと予測される。

この日は10:00−11:30葉山の城ヶ崎海岸で観察した。空はどんよりとしており、北風が強く、サシバがやって来そうな雰囲気ではなかった。ミサゴを何度か見かけた他はみるべき動きはなかった。それでもサシバモードの体調維持のためには有益なひと時であったはずである。

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最近サシバが高く飛ぶようになり、昨日の稲村ケ崎等では肉眼では殆ど見られないほどの高さであったとのことである。肉眼でサシバを確認できる限界は真上で高度1000mという説があるが、もしそうだとしても、それは目がかなり、良い人の話しであり、今の私には到底無理である。国際基準による視力検査は3m先の表に記載された記号を使う、おなじみのものだが、これはあくまで3m先の識別能力を測定するものであり、1000m先とは当然にはリンクしないはずである。もっとも3m先がみえないのに、1000m先なら良く見えるということはありえないのだろう。したがって、探鳥会などでも真っ先に遠方の鳥を探し出す人は、まず裸眼(視力矯正後)の視力が2.0とか1.5とかの人なのだと思うが、どうなのだろうか?双眼鏡をアットランダムに振り回して、偶然にサシバを捕らえるということは、私もテストしたことはあるが、極めて効率が悪く、疲労困憊するものであり、現実的ではない。(実は今でも江ノ島で幻のタカ柱を探す時、笛田公園で金色に輝く宝石のようなサシバを探す時にはこの手法を用いている。ただ気休めかもしれないが、全くあてずっぽうでやっている訳ではなく、幻のタカ柱は気象図を見て、貿易風が吹くと予測される日を選ぶ。そして宝石サシバは、過去の観察データから、一定のルートが特定されているので、その線にそって双眼鏡を向けている)やはり高く飛ぶサシバであっても、肉眼で何らかの影を見つけるか、そばを飛ぶ鳥を手がかりにたどり着くという方法をとるのが、一般的なのだろう。

昨日私は湘南平で96羽ものサシバを観察することができたが、実はこれには非常にラッキーな要因があった。即ち、陸上を東からやってくるサシバの殆どが、気流の関係で、相模川付近で一旦失速し、再度上昇気流を探して上昇しながら、西へ向かっていくという、パターンを辿ったのだ。したがって高度が比較的低く、大半を肉眼で確認することができた。 仮にこれらのサシバが常に1000m以上の高度を保っていたとすれば、恐らく大半を見落としていたのだろう。最近サシバが湘南平を飛ばなくなったと思っていたが、実は飛んでいたのだが、高くて見えなかったというのが正しいのではないだろうか?

また余談であるが、矢倉岳では昨日観察された392羽の総てが12時までに通過したとのことである。この日の稲村ケ崎のデータと付き合わせると、11時過ぎに78羽のサシバが飛んでいる。鎌倉と矢倉岳は実際は一時間以上かかると思うが、少なくとも78羽のサシバは矢倉岳に向かわず、箱根を越えたか、海上を熱海方面まで進んでいったことが推測される。このように各観察ポイントの詳細の通過内容をつき合わせていくことで、色々なことが見えてくる反面、疑問点も浮かんでくる。サシバ観察は、フィールドだけではなく、出かける前にも、帰宅後テータを分析することによっても、限りなく広がっていくのが楽しいところだと思う。

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 10月4日(木)  晴

10:00−11:00 笛田公園。北の風が7,8m吹いており、サシバは期待薄であったが、公園は人も少なく、モズの高なきが聞こえて、のどかであった。結局成果はなにもなかった。

10月2日湘南平で観察されたサシバはすべて、50分後に矢倉岳通過が確認されているとのことである。サシバは概ねバイクと同じスピードで移動すると理解しているが、両地点間をバイクで移動したら50分程度かかった筈であり、整合している。稲村ケ崎、湘南平はバイクで40分程度と思うので、稲村と矢倉岳は1時間半程度で移動しているのではないかと推測できるが、いかがなものだろうか?

ところでサシバが最も飛ばない日は、富士山から房総半島まで、一点の雲もなく、見渡す事ができて、風もなく、一見絶好のサシバ日和に見える日だという説がある。初めは意外に思えたが、良く考えると、その通りのような気がしてくる。このような日は全域にわたり、気候が安定し、サシバが移動する原動力となる、上昇気流も発生しないのだろう。 過去にこんなに条件が良いのに何故飛ばないのか?と疑問に思った日がしばしばあったが、サシバは自然におけるバランスの崩れを利用して、移動しているのであろう。したがって、全域に渡り、バランスが保たれているような状態では、飛べないのかもしれない。 

 本日稲村ケ崎にグンカンドリが出現したとのこと。以前江ノ島にオオグンカンドリがやって来たのは今から14年前の平成98年の9月28日だったと思う。丁度台風が来た直後であった。その後数日間滞在したが、日ごろあまり探鳥に来る人もいない江ノ島の外防波堤がプロミナーの鈴なりになったのを思い出す。その頃は江ノ島でサシバがかなり見られた。大半の人がオオグンカンドリを追いかけていたが、私はサシバを探すのにやっきになっていた記憶がある。

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静岡のサシバについて

秋に鎌倉を通過したサシバは、静岡のどこかを経由して伊良湖方面に向かっていくと考えられます。したがって静岡のタカの渡りは鎌倉とも、重要な関連があると考えられますが、土地勘がないこともあり、これまでタカ渡りの全国ネットで発表されるデータの取り扱いを、間違って認識していたことが判明しました。即ち、杉尾山展望台と平山林道とは相当程度重複するものと誤解し、杉尾山展望台での観察データのみを使用してきましたが、この両地点は極く僅かの部分が重複するだけで、基本的には、別個なデータとして、考えるべきもののようです。そうなると静岡の通過数はこれまで考えていたのとは大幅に増加することになります。できれば現地に行って状況を見てみたいところですが、本日日本野鳥の会の静岡支部に電話で、照会したところ懇切丁寧に対応してもらい、かなりの疑問点がクリアーになりました。結論的に言えば、静岡を考える時この2地点の数字を合計して考えるべきであること、静岡を通過するサシバの数はGross2万羽というレベルで間違いがないこと、この二つの観察ポイントで海岸部も含め、殆どの地域をカバーしていると考えられる事(最新の観察機器を使っているのでかなり遠方でも把握できるとのこと)、サシバが来る方向は、まだ不明な点が多いが富士川の上流方面から来るものが、多いと思われること、伊良湖に渡っていたサシバは最近岡崎方面に流れるものが多くなっている等、貴重な情報を知る事ができました。

ただお隣の静岡を2万羽のサシバが通過するとして、神奈川県から静岡に向かうものが、3000羽強というのは、、あまりにも少ないのではないか、なにか重要なものが抜けているのではないのかという疑問の解明が今後の重要課題だと思われる。静岡支部では、シベリアから渡ってくるのではないかという意見もあるそうだ。この説は以前にも話題になったことがあるが、否定的な見解が多かったと理解している。

杉尾山展望台付近の風景

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10月5日(金)   晴

笛田公園。9:30−11:30。この日は晴天で弱い北風、時期的にみても、90%以上の確率でサシバに出会える筈だと予測していた。一人だと無理でも、常連のベテランと一緒の観察だったので、見落としはないと思われた。しかし期待に反してサシバは一羽も現れなかった。 昔はサシバ観察にはあまり倍率の高くない、7〜8倍の双眼鏡が望ましいといわれていたが、最近静岡などでは、両眼用に改良されたプロミナ等最新の機器を使って観察しているそうだ。高く、遠くを飛ぶサシバを捉えるには、こうした機器が必要なのだろうが、目への負担は相当なものだろうと思われる。

10月6日(土)     晴

昨日は富津24で羽、武山172羽、稲村ケ崎291羽、矢倉岳392羽、のサシバが渡った。白樺峠は4羽で累計11,211羽となっている。ただ驚くべきは静岡で昨日だけで8,137羽が渡り、累計で20,116羽となっている。お隣の県では何故このような桁違いの数が飛ぶのだろうか?

従来稲村ケ崎が大飛びする日は笛田公園でも、若干は見られるというのが通例であったように思う。昨日のゼロは見落としがあったと考えざるを得ない。同じ過ちを二度繰る返すのは能がないので、今日はプロミナーを持ち出してグラウンドに向かったが、駐車場が満杯で入れず、結局バイクで出直して、9:30−10:30観察した。プロミナーは使用できず、そのためかどうかは不明だが、この日もまた成果ゼロに終わってしまった。
現実問題として、プロミナーを使ったからといって、サシバの発見率が、良くなるということは、笛田公園ではない様に思う。視野が狭まるだけ、むしろ発見率は落ちるだろう。プロミナーの使用が極めて有効だと思われるのは、海上はるか沖合いを飛ぶ鳥とか、遠くの山の稜線伝いに飛ぶ鳥の識別ではないだろうか?即ち既に見えてはいるが、遠すぎて種を特定できない鳥がいる場合に効力を発揮するのであろう。

 

10月7日(日)    雨

昨日も各地でそれなりにサシバが飛んでいるようだ。大量に飛ぶ静岡は豆粒みたいにしか見えないのだろうと思ったが、結構間近にやってくるのも多いとのことであった。
今日は朝方冷たい雨が降っていた。当然サシバ観察は中止の積もりだったが、14時ごろ、外を見ると快晴であった。10月4日の矢倉岳での観察記録に15時過ぎになって、江の島の上空で蚊柱の様に舞う黒いものが見え、それが42羽のタカ柱であったという記載があった。今までこんな時間帯は全く無関心であったが、もしかしてハプニングが起こるかもしれないと、14:00−15:00笛田公園で急遽観察することになった。結果的に成果はなかったが、こんな時間帯でも江ノ島上空にタカ柱ができる事があり、しかも矢倉岳で発見されたということには、ビックリした。

 

10月8日(月)    晴

10:00−11:15 笛田公園。 北風がやや強めであったが、条件的には悪くはなかった。このところ久しくこの公園ではサシバに出会っていないので、そろそろ来ないかと期待したが、ハイタカとチョウゲンボウが出現したのみであった。公園の職員でサシバに興味のある人がいて、色々と鳥の話をしながら観察した。以前にもタカに関心のある職員がいたが、定年退職されたとのこと。

昨日、今日と順調にサシバが飛んで、本日現在で、稲村ケ崎でのサシバ通過実績が1000羽を越えたそうです。笛田公園がさっぱり飛ばないこともあり、東日本大震災の影響で、最悪の場合、三浦半島を通過するサシバの数が大幅に減少し、絶滅危惧種を実感せざるを得なくなるのでは、などと心配しておりましたが、これで一安心です。観察者の皆様のご努力、レベルアップの成果に心よりcongratulationを申しあげます。

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笛田公園のイチョウの話

昨年の台風で左半分が枯れ死したこのイチョウの木は再生が危ぶまれていましたが、春に新芽が出て、一見問題なく生き返ったように見えました。しかし一番右の写真の如く、10月8日現在今年も左半分は殆ど葉が落ちています。今までも強い台風がきましたが、こんな現象は昨年が初めてだと思います。やはり木が相当弱っているのでしょう。春のサシバシーズンが始まった頃は、まだイチョウの木は葉がでていません。しかし4月に入ると新緑がさわやかになります。秋のサシバシーズンはまだ紅葉にははやく、通常は緑のままです。サシバを見なければ、公園に行く事もないでしょうし、まして樹木に関心をもつこともない筈です。このイチョウの木が来年も芽をだしてくれることを祈っています。

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10月10日(水)  晴

10:30−12:00 笛田公園。昨日は通院のため観察を中止した。この日も、北風が3,4mとやや強かったが、晴天で視界も良く、かなり良い条件であった。今日こそはサシバに出会えるだろうと期待して観察したが、ノスリ、ハイタカ、チョウゲンボウが出現しただけでサシバの姿を捉えることはできなかった。

笛田公園はサシバの渡りのメイン・ルートではない。しかし過去の実績から見て、稲村ケ崎の10%程度のサシバは飛んでいる筈だと私は思っている笛田公園を通過するサシバには大きく分けて3パターンがあると思える。

第一のパターンは初めから笛田公園を通過する飛行プログラムをもっていると思われるサシバである。これらのサシバは住生住宅または源氏山上空方向から、まっすぐに笛田公園の南端、ヒタキ桜の上空付近を夫婦池から江ノ島方面に向かう。これを定番コースと呼んでいる。第二のパターンは稲村ケ崎で大量のサシバが飛ぶような日に、何かの関係で内陸に一時的に流れ込むサシバである。稲村ケ崎とダブルカウントされる可能性があるとすれば、このケースであるが、実際ダブルでカウントされるケースは殆どないように思える。第3のパターンは、北風が強い日に台峰方面から流れてくるサシバである。こうしたサシバは笛田公園までやってくることはまれで、梶原住宅地の上空辺りを深沢方面に向かうケースが多い。

ながいこと同じ場所で観察していると、どうしてもコースにたいする固定概念ができてしまう。上記も私の笛田公園のサシバにたいして抱いている固定概念にすぎないものかもしれない。自然というものは毎年変化しているものであるし、笛田公園を取りまく環境も過去30年間においても、大きく変わってしまった。ヒタキ桜からヒタキが姿を消して、もう何年たったのだろうか? 固定概念でサシバを見るということは、好ましいことではないし、今後笛田公園で新しく観察を開始される人はあくまで一つの参考として、上記を受け止めてもらえれば幸いである。

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アンビリーバブルなサシバの現実

冷静に考えてみると、サシバに出会った30年前に抱いた数々の謎でその後解明ができたというものは、実は一つもないのではないかと思わざるを得ない。10月11日の時点で静岡を通過したサシバはなんと16,000羽程度に達し、白樺峠は11.200羽を越えている。この両地点で実に27,200羽のサシバが通過したということになる。まだ今年の観察が終了した訳ではないが、この数字は、私の理解では過去最高レベルのものだと思う。即ち東日本大震災による影響は全く無かったということだと数字的には受け取れる。日本全体でサシバが何羽渡っているのかを集計したデータは環境省にせよ、その他の主要研究機関でも把握していないようである。もっとも参考になるデータとして、昨年の秋、台湾を通過したサシバの数は、45,666羽であるという集計結果である。台湾の事情については、良く知らないが、公的な機関と思われる組織で、かなりの要員を投入した調査が行われているようである。この数が正しいものであり、全て日本から来たものと、考えると、日本全体では45,000羽のサシバが渡っており、うち27,000羽は日本の中央部である、静岡と長野を通過している。その他中部・西日本の各所から1万8千羽のサシバが加わっているというイメージが出来上がる。(静岡の集計に私の誤認識がある事が判明し、数字を調製しました。台湾の数字も正確でない可能性がある)

この数字の評価については、私がどうこうと言いうる立場にはないが、一応こうしたイメージが抱けるということは、タカの渡り全国ネットワークの成果であり、賞賛すべきものである思う。不完全な部分、重複している部分がもしあるとするなら、これから修正して行けば良い話であろう。30年前台湾でサシバの渡りを集計していたかどうか、わからないが、もし今と同じベースでの統計があったとすれば、恐らくその数は10万羽乃至12万羽、一説によれば20万羽というレベルだった筈である。環境省が2008年にどういった判断基準で、サシバを絶滅危惧種に指定したのかは、不明だが、恐らくこうした減少傾向に歯止めをかける狙いがあったものと思われる。

総論はともかくとして、各論では神奈川県でサシバを見るものとして、忸怩たる思いをもたざるを得ない。今年の秋にしても静岡市で16,000羽のサシバが飛んでいるのに、このうち明らかに神奈川県を通過したと確認できているのは、矢倉岳での集計結果である2000羽強のみである。静岡市に隣接するのは神奈川と山梨だけなので、残りの14,000羽は山梨から来たのであろうか?私には到底信じ難いことである。しかし一方神奈川の2000羽に大きな誤りがあるとも思えない。一体どうなっているのだろうか?強いていえば、海上ルートに若干の盲点があるかもしれないが、30年探して依然道が開けないままに、年をとっていくのは忍び難い。

東日本大震災の影響が見えないということ、それはある意味とてもほっとすることである。しかし冷静に考えた場合、結果オーライと喜んでいる訳にもいかないと思う。実際に現地を訪問することができず、残念であるが、現実に災害によって多くのサシバの繁殖地が失われたことは事実だろう。繁殖地を失ったサシバは、当然別の場所に繁殖の場所を求めた筈だ。その結果、なにが起こったのだろうか?サシバよりも力の弱いなんらかの生物が繁殖地を失う結果になったのだろうか?そうした状況は徐々に明らかになってくるだろうが、やはり一刻も早く、人とサシバにとっての本来の居場所を回復することが、先決であると思われる。

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10月12日(金)  晴

10:00−12:00 逗子披露山公園。サシバは依然、数は多くないが各地を飛んでいるのに、私はひさしく蚊帳の外である。この場所は海側を捨てれば、とても観察しやすい場所である。緑が多く、目にやさしい場所でもある。頭上低くをサシバが通過するのではないかと期待して、500mmの望遠レンズを持ち込んだが、結局成果はなかった。ヒタキが結構多く、チラチラしていたが、サシバ以外にかまっている余裕などなかった。

10月13日(土)  晴

8:20−10:00 江ノ島外防波堤。弱い北風、快晴で視界も良好、絶好の条件であった。プロミナを持ち込み予定通りの工程をこなしたが、成果はなく、くたくたに疲労した。それでも最高の満足感が残るから不思議である。

10月14日(日)   曇

藤沢市の長久保公園にて9:00−10:30観察。弱い北風で晴れ間がでることを期待して観察。しかし青空は一度も見られなかった。この公園は、何度か行ったことがあるが、サシバの観察実績はない。しかし公園の規模は小さいが鳥が多く、なかなか良い公園だとは思う。この日はカワセミを写真に撮ろうと、カメラマンが集まっていた。鎌倉市にはどこも駐車できる場所がなく、なんとなくこの公園に行きついたという感じであった。

10月15日(月)  晴

9:00−10:30  笛田公園。弱い北東風、快晴で絶好の条件であった。このところ良く出現するハイタカとチョウゲンボウは何度か見られたが、サシバの姿は見られなかった。   

なお今シーズン最大の驚きは静岡を経由するサシバの数の多さであった。杉尾山展望台と平山林道との2ヶ所で観察されているが、昨日で観察を終了し、Grossの通過数は23,926羽となっている。 しかしこの二つの観察ポイントは5km離れているが、一部に重複して、カウントされるものがあり、その分を調整しないと正確な数字がでないとのことであった。こうした状況をはっきり掴めずに23,000羽が通過したように、考えてきたが、実際の調整分は約7000羽程度が想定されるとのことで、結論として、静岡市を通過したサシバの数は約16,000羽(14,000羽という試算もある由)と考えるのが正しいようである。そして台湾における昨年度の通過数45000羽についても、3乃至5箇所での観察結果の合計である可能性がある。二重にカウントされたものを、把握して調整することは非常に難しい作業だと思われる。いずれにせよ数字の取り扱いが安易であったことを、訂正してお詫びいたします。 

10月16日(火)  晴

9:30−11:30  箱根大観山。 殆どの観察ポイントが観察を終了しているということは、既にシーズンが終了したということなのだろう。こうした時期であってもまれに飛ぶサシバに出会う事はあるが、どこに行っても、現実にサシバに出会える確率は極めて低いと考えざるをえない。そんな状況でラストサシバに会おうという発想自体に無理があることは重々承知している。それでも出かける価値は十分あると思えるのがサシバ観察の不思議な魅力なのだろうか?海抜1011mの箱根大観山は気温13度、快晴、富士山はややもやっていたが、こんな景観の中を飛んで行くサシバの写真が撮れたらどんなに、素晴らしいだろうと思いながら観察したが、サシバも他のタカも全く現れなかった。結局10月2日に見た豆粒のようなサシバが今年のラストサシバになってしまった。

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今年の秋、私が見たサシバの数は105羽である。これは過去10年間の平均的な数であり、特別少なくはないように一見見える。しかしこの内の96羽は湘南平で、別の人と一緒に観察したもので、自力では到底カウントできなかったものである。したがって実質的には、非渡りも含めて9羽のサシバを観察したにすぎない。例年の一割程度しか観察できなかったというのが、残念ながら現実だと思わざるを得ない。今後のことはまだなにも考えていない。昨年初めて存在を知った、ハイタカの逆渡りはとても興味があるテーマであるが、速い動きにはとてもついていけそうにないので断念せざるをえないだろう。赤い鳥探しは昨年は全く手がつけられなかったが、体調が良ければやってみたいと思っている唯一のテーマである。「赤い鳥のバラード」というテーマで、11月末頃からHPに掲載する予定です。

今シーズンも本当に多くの方から貴重な情報をいただき、深謝いたします

                                                                                        未完

 

             

 

 

 

      


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