28年秋サシバとともに

今年もサシバの季節がやってきた。例年のことであるが、夏場に何度と無く、体調を崩し、もうサシバ観察は無理かと思ったことがあったが、ともかく今年もフィールドに戻ってくることができた。ことしは台風の影響等で、サシバの渡りも遅れているようで、昨日の時点で白樺峠で1000羽強、静岡で100羽強しか飛んでいないが、晴れ間が出てくれば、私のホームグラウンドである笛田公園にも、そろそろサシバがやってくるだろう。(9月20日)
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10:00−11:30 笛田公園
予報では9時頃から午後にかけて、晴れることになっていたが、一部青空は見られたものの、曇りで、北北東の風が4m程度、視界は芳しくなかった。とはいえサシバがひょっこり現われそうな雰囲気もあり、期待して観察したが、結局ミサゴが1羽現われただけであった。
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最近イギリスから帰国した人から、英国の野鳥図鑑を二冊もらった。まだパラッとしか見ていないが、イギリスと日本とは生息する野鳥の種類が驚くほど似ている。全体の生息数は574種といわれるが、300種程度が一般に見られる鳥だそうだ。日本も概ねそんなものだと思う。タカ類も日本と同じようなタイプが生息しているが、残念ながらサシバに類似したものは見当たらない。とはいえ全般的に、本当に良く似ている。トビはアカトビとクロトビがいるそうだ。なぜこんなに似ているのだろうか?日本と韓国も、野鳥の種類は非常に良く似ているようだが、韓国とヨーロッパは陸続きなので、交流があって当然だと言えるのかも知れない。日本と韓国、関門海峡をへだてて、渡り鳥、夏鳥、冬鳥と認識している以外にも、多くの野鳥たちが交流しているのだろうか? 一方、アメリカから送ってもらった野鳥の図鑑を見ても、日本と共通するような野鳥は非常に少ないようである。その意味で、キズタアメリカムシクイの飛来は、私にとっては過去30年で一番のサプライズであるが、その後あまり話題にされていないのは何故なのだろうか?
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9月25日(日) 曇後晴
9:30−11;00 笛田公園
9月に入ってから雨ばかりで、まともに観察ができるような日は殆どなかった。こんなことは過去30年間でも、初めてではないだろうか。この日は10:10 まず最初のサシバが比較的低く定番コースを通過していった。続いて10.25 5羽の群れが通過していった。ここまでは写真が撮れた。さらに10:51 2羽が比較的低く野球場の上空に現われたが、高度をどんどん上げながら梶原方向に向っていった。こうした飛び方は笛田公園では極めて珍しい。2羽を追いかけていくと、梶原の上空あたりにタカ柱ができており、この2羽も合流、合計11羽となって、藤沢方向に流れていった。合計17羽、笛田公園では、最近では上々の成果といえるが、こんなに飛ぶようでは、各観察ポイントとも、カウントに追われて大変なのだろうと余計な心配をしながら帰路についた。

9月26日(月) 晴
9:30−11:00 笛田公園
条件的には昨日とあまり変わらないように思えたが、とにかく蒸し暑く、さっぱり集中ができなかった。サシバは9:57と10;31に合計2羽通過したのみであったが、高度が高く見落としがあったかもしれない。10:37ハチクマが1羽通過した。他にはノスリが何度か出現した。
昨日は稲村ガ崎でサシバ49羽、ノスリ23羽が通過したとの連絡をいただいた。武山22羽、秦野7羽、矢倉岳174羽これは何を意味するのだろうか?
9月27日(火) 晴
10:00−11:30 逗子披露山公園
この公園は何時来ても、素晴らしい景色に圧倒される。この日はかなりの数のサシバが通過するものと期待して、観察したが、二羽のミサゴによる華麗な舞いを堪能できた以外に成果はなかった。それにしてもこの時期、この暑さは一体なんなのだろうか?


9月28日(水) 晴
境川遊水地 10:00−11:30
空は晴れていたが、朝から南南西の風が4m程度吹いていた。春には良くあるが、秋は台風時以外はあまりない風だと思われる。こんな日サシバは飛ぶのだろうか?久方ぶりに、春に実績のある県立境川遊水地公園に行って見た。サシバは全く飛ばなかったが、遊水地に出入する水鳥の動きを眺めていると、退屈はしなかった。
因みにこの日、三浦半島ではサシバは飛ばなかったが、八王子24羽、青梅22羽、そして矢倉岳では16羽、秦野で1羽飛んでいる。
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懐かしのパソコン通信時代
インターネットが普及する前のアナログ時代、パソコン通信が野鳥愛好家の間でも盛んであったことを記憶されている方も多いと思う。ニフティー・サーブやPC VANなどのフロバイダーがそれぞれ野鳥フォーラムを設けていたが、サシバ情報の交流も非常に盛んであった。

私がパソコン通信に注目するのは、例えば南箱根ダイヤランドとか、河口湖などの詳しい情報が当時入手できたことである。これらの発信者は、定年退職後にこの地に定住した人で、ハンドルネームしか知らない人であるが、サシバについて、一定の知識をもった人であったと記憶している。インターネット時代になって、タカ渡りの全国ネットができ、勿論現在入手できる情報量は、当時の比ではない。そして東日本は若干物足りないが、西日本を中心に概ね日本のサシバの渡りのルートに沿った情報が整備されつつある。しかし南箱根ダイアランドにせよ、河口湖にせよ、現在一般にマークされているポイントではない。その他にも、意外な場所について、色々興味のある情報があったが、残念ながらニフティーなどに照会しても当時のログの記録は保存されていないのことであった。当時は河口湖を通過したサシバは当然白樺峠の方向に進むものと理解していたが、現在では静岡に向っている公算が強いように思える。ただ南箱根ダイアランドを通過するサシバ(正確な数は記憶にないが、かなりの数だったと思う)は一体どこから来たのだろうか?一時、箱根や十国峠を通過するサシバを自分なりに調査したことがあるが、大半が三島、沼津方面に向かい、函南に近い南箱根ダイアランドに向うサシバは確認できなかった。
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9月30日(金) 曇
12;00−13;00 葉山長者ヶ崎海岸
予報はお天気マークになっていた筈だが、10時頃笛田公園に行くと、まったく青空がなかった。より可能性の高い場所を求めて葉山に来て見た。初めの内は、青空が多く、時間は遅かったが、期待できそうな雰囲気であった。しかしサシバは全く飛ばず、徐々に雲が多くなってきた。昨年は9月に63羽、10月はたった1羽しか観察できなかった。今年は9月に19羽、果たして10月はどうだろうか?

この日稲村ガ崎は早朝からサシバが、絶間なく飛んで、574羽をカウントしたとの連絡を受け取って、絶句。いつも蚊帳の外、隣の芝生が青く見えるのには慣れているが、今日だけは、本当に驚きました。笛田公園では観察する気も起きず、城ヶ崎でもゼロ、この天候では各地も大して飛んでいないだろうと思っていただけに大ショック。修行の足りなさを痛感するのみです。稲村で観察された皆様conglatulations!
この日、武山308羽、秦野1348羽、矢倉岳1781羽、杉尾山(静岡)5570羽と各地ともに、大群が通過している。10月入っても、天候は不順のようだが、こんな群れがあと一回か二回来るのだろうか?
10月2日(日) 曇後晴
9:00−10:45 笛田公園
予報は曇りであったが、晴れ間が出ていた。9時過ぎにグラウンドに着くと、日頃稲村ガ崎で観察されている女性が、既にサシバを1羽観察されていた。常盤山方面から、野球場を通過して、藤沢方向に飛び去ったとのこと。しばらく雑談をしながら、観察させていただいた。サシバはその後、さっぱり現われなかったが、10:28定番コースを1羽がかなりの高度で通過していった。たった1羽の豆粒にしか見えないサシバではあるが、かずあるルートのなかから、縁あって笛田公園にやってきてくれたサシバに限りない親しみを感じ、すこし元気をもらって帰途についた。
人はどこから来て、どこへ向っているのか?そんな難しい話はbeyond controlであるが、せめて笛田公園を通過するサシバ達はどこからやって来て、どこへ向って飛んでいくのかだけは解明したいものである。
10月4日(火) 晴
9:30−11:00 笛田公園
予想外の好天気であった。珍しくこの公園では常連のN氏と今シーズン初めて出会い、情報交換しながら観察した。10:03定番コースを中空で飛行するサシバ1羽を観察。10:13 N氏が常盤山上空から野球場方面に飛行するサシバ1羽を発見。このコースは定番コースを観察していると、背中側になるので、一人では発見できない。10:24、10:39定番コースを通過するサシバを各1羽観察した。これらのサシバを追跡すると上空にタカ柱があり、それに合流するケースも良くある。しかしこの日は上昇気流が無いのか、いずれのサシバもそれほど高度をあげず、カラスにモビングされながら、西に去っていった。それにしてもこの時期にしては暑い日であった。


10月5日(水) 曇
10:00−11:00 笛田公園
視界も悪く、飛びそうにないと思ったが、9月30日のこともあるので、来るという前提で観察した。上空ヒメアマツバメが舞っていた。羽がボロボロのミサゴが通過していった。時として、晴れ間もでて、台風の接近さえなければ、飛んでもおかしくない状態になったが、小雨が降ってきたので、切り上げた。
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神奈川のサシバについてゼロベースで考えよう

この荒涼とした風景は一体どこですか?かつて、木霊がこたえる幽玄の世界とか、西丹沢の秘境といわれた檜洞丸(標高1,600M)の現況です。私の年代の丹沢愛好家間では憧れの山であった檜洞丸のあまりの変貌振りに、言葉もありません。しかしそれを嘆くのは今回のテーマではありません。
私はこれまで、神奈川県を通過するサシバの大半は千葉県の房総半島からやってくるものと考えてきました。千葉側の観察ポイントである富津、神奈川に以前から存在する観察ポイントである武山、鎌倉、秦野、矢倉岳の情報を勘案しても、千葉の房総半島からやってきた、サシバが一部の箱根越えをのぞくと矢倉岳から静岡県に向っていくのだろうということは数字的にも概ね整合しているものと考えてきました。勿論数字が整合しない場合も多々ありましたが、それらは所謂海上ルートのサシバが小田原やその他の地点から内陸に流入したものと考えることで、納得してきました。海上ルートの規模はまだ解明されていませんが、存在すること自体は間違いないと確信するところです。
ところが最近指摘されたいくつかの事例では、海上ルートから流入したとは到底考えられないのに、矢倉岳の数字だけが膨らんでいるのです。矢倉岳でのコメントによると、松田山、高松山方面から、流れ込んでくるサシバの存在が示唆されております。私はこれらの地域に格別詳しいわけではありませんが、丹沢山塊とその周辺の山々は昔殆ど歩いたことがあります。高松山というと寄(ヤドロギ)やユーシン・ロッジが浮かんできます。私は檜洞丸には確か3回登っていますが、ユーシンロッジから登ったこともあったように記憶しています。そんなことはどうでも良いのですが、要は八王子等を通過したサシバが道志道から神の川林道沿いに檜洞丸付近を経由して、神奈川県に入っている可能性があるのでは?という疑問がでてきます。
またこれとは全く別の話ですが、最近東京の23区内で、サシバの観察例が数多く報告されているという話を耳にします。従来東京の都心部はサシバは飛ばないというのが通説でしたが、どうも間違いだったのか、サシバがルートを変えたのか、とにかくこうした情報を総合すると無視できない数のサシバが恐らく神奈川県に流入している筈です。これらのサシバも八王子ルートに含まれるのか、それとも別のルートがあるのでしょうか?
サシバはさっぱり飛びませんが、次から次へとあらたな疑問がでてくるからサシバ観察は楽しいのでしょうか?すべてが予測通り、なんの問題もなくサシバが飛んでいくのであれば、どんなにかつまらないことでしょう。
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10月6日(木) 晴
8:30−10:00 笛田公園
昨日稲村ガ崎は258羽飛んだとのこと。9月30日の574羽と合計すると、この二日で832羽も飛んだことになる。これに対し笛田公園はゼロ。すくなくとも5時間程度観察できる体力と視力があれば、それなりの数はカウントできたはずである。もしかすると笛田公園の過去の最高記録である120羽程度の数が飛んでいたのかもしれない。
まあ悔やんでいても仕方がないので、虚心坦懐、明鏡止水の心境で観察を続けようと、いつもよりは早めに公園に向う。台風一過の秋晴れで富士山がはっきりと見える絶好の条件に見えるが、こんな日は意外に成果が上がらないものだ。この日の定番コースには、トビやカラスはもとより、鳥が1羽も出現しないという不思議な日であった。これに対し、常盤山から梶原方面はトビが盛んに上空を舞っていた。 9:37 サシバ 1羽 9:57 サシバ 3羽がいずれも常盤山上空はるか上をいずれも梶原方向に向かっていった。