平成23年春サシバ観察記録

 

私は子供の時から、鳥が好きだった。これまでに200種強の鳥を見聞きしていたが、定年退職後は少なくとも300種までこれを増やそうと考えていた。しかし70歳を超えた今、私が見聞きした鳥は依然として200種強である。思いがけない病に見舞われ、満足に動けないことが主因であると考えていたが、実は少し違うのではないかと最近思うようになった。現在私が会いたいと思う鳥はサシバと赤い鳥だけなのだ。何故今サシバと赤い鳥なのか?

私は過去30年近く、殆ど神奈川県内でサシバを見てきた。それらの場所はいずれも風光明媚、眺望絶佳な素晴らしい場所である。しかしどんなに素晴らしい場所であっても、通常であれば、15分もすれば飽きてしまう。それがサシバがやってくるかも知れないという期待感があれば、体力が続く限り、何時までその場を離れたくなくなるのだから不思議である。サシバの存在により、世界のすべてが、より光り輝いて見えてくるのだ。このようにサシバという鳥は私にとっては、特別な存在である。

赤い鳥については、少し違った要素があるようだが、ともかくも万難を排しても会いたいと思う鳥がまだ存在しているということは、とてもハッピーなことである。

つまらない前置が長くなったが、とにかく今年もハルサシの季節を迎えることができた。東北関東大震災によってサシバの繁殖地である里山はどのような影響を受けたのだろうか?

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3月23日(水)  晴

10:00−11:00  笛田公園にて今シーズンはじめて観察した。北風が強く、とても寒かった。ミサゴとオオタカの姿が見られたが、サシバの姿は見られなかった。

3月24日(木)  曇

12:30−13:30   笛田公園。

空がどんよりと曇っており、南西の風が緩やかに吹いていて、寒かった。上空ノスリが旋回するのが見られたが、サシバは見られなかった。

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春に見られるサシバの数が秋に較べて、格段に少ない理由については、いまだになにも解明ができていないが、一つの可能性として、春のサシバは超高空を飛んでいるのではないという疑問が拭いきれない。たまたま自宅の近くに、昨年まで、現役でJALの国内線、国際線を飛行していたパイロットが住んでいるので、その人に、色々と話を聞いてみた。飛行機の操縦席からも、渡り鳥の姿がみえることはしばしばあるとのことであった。しかし通常飛行している状態(6000mから12,000mの間と思われる)では鳥を見たことはないとのことで、鳥の姿を目にするのは高度を相当下げた状態に限られるとのことであった。その場合でも春の方が高度を上げて飛ぶ鳥が多いという認識はないとのことであった。

ヒマラヤを越えるツルといわれるアネハズルなどは明らかに高度8000m以上の高度をとる能力があるが、一体サシバはどれだけ高く飛ぶことができるのだろうか?

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3月25日(金)     晴

笛田公園は北東の風が2m程度吹いており、かなり寒かったが、天候が良く、サシバがやってきそうな雰囲気はあった。ウグイスやヤマガラの囀りを、今シーズンはじめて耳にした。オオタカが一羽飛来したが、サシバの姿は発見できなかった。早い年なら、そろそろサクラが開花する時期であるが、今年は寒い日が続き、まだ蕾も膨らんでいない。

鎌倉を通過するサシバの大半は通常であれば、原発事故による放射能汚染地域に向う筈である。サシバに放射能を予知する能力があるのだろうか? 影響が心配である。

3月26日(土)    晴

笛田公園 9:30−11:30。予報では北の風6mとなっていたが、実際には2,3mで視界も開け、寒いのを除けば、絶好の条件だと思われた。そろそろサシバに会えるのではないかと期待して観察したが、残念ながら一羽も現れなかった。

3月27日(日)    晴

笛田公園 9:30−11:00。 昨日同様北の風がやや強く、寒かったが、快晴でかなり良い条件だと思われた。西日本各地の情報を見てもまだサシバはあまり飛んでいないが、例年そんな情況でも鎌倉にはサシバがやってきているので、この日もかなり期待して観察したが、残念ながらサシバは一羽もやってこなかった。なお今シーズンから静岡と秦野の情報が得られそうだが、鎌倉での観察にも非常に参考になりそうである。

私は特に静岡でも観察結果には重大な関心をよせている。なぜならば、これまで、春と秋で見られるサシバの数にアンバランスが見られるのは、鎌倉を通るルート(神奈川県だけのともいいうるが)だけの特質だろうという前提で考えていたのだが、もしこのようなアンバランスが静岡通過の時点で既に生じているのだとすれば、全てが原点に戻ることになりかねないからである。

3月28日(月)   晴

9:00−11:30 笛田公園。この日も寒かったが、初めのうちは北風も弱く、絶好の条件だと思われた。上空多数のトビが旋回していた。しかしサシバは一羽も現れなかった。今年は確かに、寒い日が続き、サクラの蕾もやっと少し膨らみ始めたという情況である。平年に比べ随分と春の到来がおくれているように思う。しかし東京では今日サクラの開花が確認されたそうで、これで平年並みだそうだ。 何日君再来???

3月29日(火)  晴

9:30−11:00 笛田公園。5日連続で笛田公園での観察となったが、この日は気温も高く、初めは弱い北風が吹いており、今まででも最高の条件だと思われた。しかしサシバは一羽もやってこなかった。11:00頃からは南風が強くなってきたので、切り上げた。

過去の例からみると、3月に、こんな良い条件が続くことも珍しいし、にも拘らず、一羽も飛ばないのも珍しいように思える。でもそんなこともあるのだろう。なにしろ相手はサシバなのだから。この日長谷配水地で、7時台にサシバ1羽が観察されたとのこと。

3月30日(水)  晴

9:30−11:30 笛田公園。この日も前日同様、かなり良い条件だと思われた。しかし上空にハイタカが1羽現れた以外、見るべきものはなかった。この日も長谷配水地ではサシバが1羽観察されたそうだ。台峰の情報は未入手であるが、総じて今年は不振のように思われる。それは単に時期的な遅れなのか、それともその他の要因によるものなのだろうか?

3月31日(木)  晴

江ノ島外防波堤で9:30−12:00 観察した。笛田公園でもそろそろやってきそうな感じはしていたが、何故か駐車場が満杯で、急遽予定を変更した。ガソリン不足のため、このところ土日でも、駐車場はガラガラだったのだが、やっと平常に戻ったのか?

江ノ島は殆ど無風で視界もまあまあで、条件としては、悪いとは思えなかったが、上空を無数のトビが飛び交うだけで、サシバもその他のタカ類も全く姿を現さなかった。

7日連続で好天に恵まれながら、ついにサシバは1羽もカウントすることができなかった。これまでに体調不良で満足に観察が出来なかった15年と16年の春は別として、3月の観察実績がゼロという年はなかった筈である。

4月2日(土)  晴

8:00−10:30 笛田公園。昨日は体調不良で観察できず。この日も朝は弱い北風、昼前には南風に変わるとの予報であった。予報とおり初めのうちは、ほぼ無風で、かなり良い条件だと思われたが、チョウゲンボウが一羽現れただけで、サシバはついに現れなかった。サクラはいつの間にか5分咲きのものがみられたが、イチョウの木はまだ芽が出ておらず、ウグイスが囀っている写真が撮れた。10時ごろからは南風が強くなり、風に押し流されたのか、この場所では珍しいカモメ類が見られた。

昨日は静岡と秦野で20羽を超えるサシバが観察されている。静岡というと日本平、御前崎、三保の松原など海側の名所を連想するが、鎌倉との関連はどうなのか、気になるところである。

4月3日(日)  曇

8:45−11:15 境川遊水地にて観察。どんよりと曇った空、5m近い北風が冷たかった。鎌倉市内は駐車スペースが見つからず、やむなくこの場所に来たという感じであるが、ここで北風の日にサシバ観察をするのは初めてであった。、オオタカが何度も出現し、遊水地に渡来する水鳥を眺めているのも気分転換にはなったが、肝心のサシバにはこの日も会うことができなかった。

4月4日(月)  晴

9:00−11:15 笛田公園で観察。5m前後の北風が吹いており、かなり寒く、おまけにグランドから砂塵が吹き上がって条件はこれまでで最悪であった。しかし、9:31、9:57、10:03,10:56にサシバ各一羽を観察することができた。

北の風が5m以上吹いていても笛田公園で、サシバを観察したことは秋には前例があるが、春では初めてのような気がする。うち一羽はまるでツバメのように野球場の地表すれすれを滑空して、一直線に常盤山方面に飛び去ったが、このような飛び方は初めて目にする光景であった。今シーズン笛田公園に8回通ってやっとサシバを初認することができた。数多く見るのが目的ではないとはいえゼロはだめですね。

4月5日(火)  晴

9:00−11:30 鎌倉霊園にて観察。地上では殆ど風を感じなかったが、上空の雲は南から北にゆるやかにながれていた。桜が一部の区域では満開で、春爛漫という天候であった。しかしサシバは一羽も発見できなかった。

本日までに静岡で177羽、秦野で65羽のサシバが観察されている。単純にこの数字を見ると、この両地点はリンクしているように思われる。これに対し、今年の現時点までの鎌倉の情況は全く不可解というしかない?単なる遅れなのか、それともコースが変わったのか?秋であれば300羽、500羽という群れが出現すれば一気に遅れを取り戻すことができるのだが。

4月6日(水) 晴

9:30−12:00 湘南平展望台にて観察。行詰まるとどうしても、湘南平にいって見たくなる。といっても近年の湘南平は、不振続きで、定点観察をしていた人も撤収したと伝えられる。こんな場所に固執しているのは古き良き時代へのノスタルジアに過ぎないのか?

桜の花はまだ5分咲き程度であったが、ものすごい人出であった。10時半頃までは条件が悪くないと思われたが、その後南の風が強くなってきた。11:21サシバが一羽、中空をまっすぐに東に向かって行った。そのほかはノスリが一羽出現しただけであった。

なお昨日の夕方、笛田公園を覗いてみたら、まだ葉がないイチョウの木で、黄色い影が盛んに動いていた。一瞬キズタの再来かと思ったが、キビタキであった。笛田公園でキビタキを見るのは初めてであった。

4月7日(木)  曇

7:45−9:00 笛田公園。 この日は朝6時は無風だが、徐々に南風が強くなり、午後からは10mという予報であったので、早い時間帯での観察となったが、それでも南風は既に3m程度吹いており、全く期待薄であった。自販機のモーニングコーヒーを飲みながら、満開の桜を眺めているうちに、空しく時が過ぎていった。

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南風の日サシバはどこを飛んでいるのか?それとも渡りを休止するのか?かなり前から、こうした疑問を抱きながら、私は南の方角にあるルート探しを続けてきた。大船フラワーセンター、鎌倉天園、境川遊水地、藤沢卸売り市場、引地川遊水公園、茅ヶ崎里山公園、藤沢市青少年の森などには何度となく通ってきた。藤沢のオリンピックや大船のイトウヨーカドーの屋上駐車場などでも観察をしたことがある。

もしこうした場所がすべてゼロ回答を続けてくれていたら、ある意味もっとすっきりと、別の方向性を探ることが出来たのかもしれないと最近思うことがある。ところがこうした場所でも時として、一羽とか二羽というサシバを観察することができた。そしてその感動があまりにも大きすぎたので、過大評価しすぎたのが、そもそも敗因の原因ではなかったのか?春のサシバを考える際、分母にもってくる数字は鎌倉全体では、秋の三分の二、即ち1000羽を念頭に置くべきではないのか?1000分の1とか2とかいう数字はnegligible smallであると考えるべきなのだろう。すくなくとも科学的にはそういえそうだ。

といいながらも、私は今年横浜の「港が見える丘公園」でサシバ観察をして見たいと思っている。何故ならば春のサシバが港南台を通過しているという事実から、線引きして見るとこのあたりが、湘南房総ルートでの渡りの北限ではないかと思えるからだ。この場所は高校時代に行ったきりで、50年ぶりである。平野愛子さんが歌うなつかしいメロディー、「あなたと二人で来た丘は港が見える丘、色褪せた桜唯一つ、寂しく咲いていた」といった時期なら花見客もすくないだろう。そしてもしこの場所でサシバを一羽でも発見できたらと想像するだけで楽しくなる。

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今年から菜の花台でも観察が行われているが、ここでの観察結果は非常に興味深いものがある。特に南風の日はどうなのだろうか?

               菜の花台より湘南平方面を望む。 鎌倉のサシバは、この平野のどこかを通って、やってくるのだろう。              

今年の鎌倉の春はまさにサシバが大混乱の様相を呈しているようにも思える。本来見えるはずの場所で、条件が整っているのに、思うようにサシバが見られない反面、想定外の場所で、信じられないような条件下でもサシバが観察されているようだ。でも想定外だと感じるのは、私の固定概念がまちがっているのかもしれない。多くの人がサシバに関心をもって、より多くの情報を発信するようになれば、より多くの真実が見えてくるだろう。

4月10日(日)  晴

9:00−11:00 源氏山公園の頼朝像前で観察。初めは弱い北風、その内風はだんだんと南に変わってきたが、条件的にはそれほど悪いとも思えなかった。しかしサシバは一羽も現れず、上空をアオサギが2羽、ダイサギが一羽通過しただけであった。3日連続の10mを越える南風は、最近あまり例がなかったように思う。その直後でもあり、通常であれば相当数が飛ぶはずだと期待したが、意外な結果となった。

源氏山より鎌倉天園方面を望む

今年の鎌倉は確かに異常だと思う。現時点で正確な数は把握していないが、これまでに鎌倉全体で観察されたサシバは10数羽にすぎないようである。今年は春が遅いとはいえ、桜はもう満開、この数の少なさは到底理解できないものである。

鎌倉を通過するサシバの大半は今回の東日本震災の被災地の方向に飛んでいくものと想定される。被災地の現況をテレビで見ても、津波の影響は想像以上で、とてもサシバが繁殖できるような情況ではないようである。とはいえサシバがこうした事実を鎌倉通過以前の段階で予知して、ルートを変えたのだろうか?いくらなんでもそれは無理だろうと私は考えるが、一つ気になることがある、それは放射能による汚染である。横須賀における放射線量の推移は公表されているが、人体に影響を及ぼすレベルではないものの、平常よりは相当高いレベルを示している。もしサシバの渡りのメカニズムを構成する要素のなかに自然状態でも含まれているといわれる放射線というファクターが組み込まれているとすれば、サシバが鎌倉を避けている、または避けようとして混乱している情況を説明できるのではないだろうか?

4月11日(月)  晴

8:00−10:00笛田公園。 快晴で絶好の条件と思われたが、南風が初めは1m程度、その内3m程度吹いていた。こうした条件では残念ながら笛田公園にサシバがやってくる確率はほぼゼロというのが私の固定概念である。しかし今年は固定概念を打ち破るようなハプニングが起こりそうな予感もあって、かなり集中して観察したが、羽の一部が白化したトビが見られただけで、結局なにも起こらなかった。

既に高知では3,586羽、静岡で383羽、秦野では83羽が通過している。それなのに私の鎌倉での観察数はわずか4羽にすぎない。とはいえ私の選択肢に3はない。

1.飛ばぬなら飛ぶまで待とうハルサシバ                                                                2.飛ばぬなら探しに行こうハルサシバ                                                                 3.飛ばぬなら見るのを辞めようハルサシバ

4月12日(火)  晴

9:00−11:30  笛田公園にて観察。初めは5m程度の北風が吹いていて寒かった。風はその後少し弱まってきたが、それでも3m程度とあまり良い条件ではなかった。しかし4羽を観察した4月4日もこのような条件であったので、大いに期待したが、ノスリが一羽現れただけで、サシバはついに姿を見せなかった。

春のサシバの渡りは延々と5月末頃まで続く。しかし繁殖を目的とする成鳥の渡りが一次的な渡りだとすれば、ヒナの成長スケジュールから逆算しても、そろそろ終りが、近ずいているような気がする。

4月13日(水)  晴

9:00−10:30 大船フラワーセンターにて観察。 南風がだんだんと強くなり、上空はトビもカラスも飛んでいなかった。まれにウやドバトが通過するのみで、サシバは全く期待できなかった。園内はシャクナゲやポピィーなどが満開で、それなりに楽しむことができた。この場所には何度か来ているが、まだ観察実績はない。南風2〜5mという条件ではサシバは、もう少し南を飛ぶのだろうか?

4月14日(木)   晴

8:30−10:30 笛田公園。 初めのうちはほぼ無風、そらも澄んでいてかなり良い条件だと思われたが、トビが盛んに上空を飛び交うだけで、シャッター・チャンスはゼロであった。昨年は31羽、一昨年は30羽のサシバを観察しているが、今年はまだ5羽にすぎない。

What's the matter with you?

4月16日(土)  薄曇

笛田公園をのぞいてみたが、南風が強く、サシバは全く期待できそうになかった。ボンヤリと辺りの景色を見渡して見ると、色々な種類のサクラが咲いていて実に綺麗である。例年だとソメイヨシノはもうすっかり散っている時期なのだが、今年はこのところ気温も高く、風も強いのに何故か花もちが良く、未だに満開状態をほぼ維持している木も多い。それに加え、山桜や大島桜その他名前を知らない色々なサクラが一斉に咲き始めて、まさに春爛漫といった風情である。「花よりサシバ」でこのところサクラなどじっくりと眺めたことはなかったが、図らずもサクラの素晴らしさを再認識することとなった。

静岡では昨日までに469羽のサシバが観察されている。そして4月10日には若鳥の渡りが確認されたそうである。これだけの数サシバが観察されているのにハチクマはゼロというのも驚きである。秦野ではこれまで116羽のサシバ、5羽のハチクマが観察されている。この両地点での観察データが蓄積されていけば、鎌倉での観察にとっても非常に有益なものが得られることになるだろう。

 

4月17日(日) 晴

8:30−10:00 笛田公園、10:15−12:00 常盤山野村総研跡地にて観察した。笛田公園は弱い北風が吹いており、視界も良く、絶好の条件だと思われた。しかしサシバの姿を発見することができなかった。その内風が南に変わってきたので、野村総研跡地にシフトして観察した。ここは10時開場なのと、入り口で入場手続きをしなくてはならないのが欠点であるが、自然環境も素晴らしく、静かでサシバ観察には絶好の場所である。

センダイムシクイが下手な声で囀っていた。だんだんと南風が強くなってきたが、11:08と11:27にサシバ各一羽が頭上かなり高いところを通過していった。高くて写真は撮れなかったが、久し振りに見るサシバは、サシバ色に燦然と輝いて実に美しかった。他にノスリが一羽かなり高いところを旋回していた。

4月18日(月)  曇

10:00−12:00  湘南平展望台にて観察。 北の風がやや強く、寒かった。雲が垂れ込めて、視界はあまり良くなかったが、観察に支障があるほどではなかった。10:41サシバが2羽、内陸よりをほぼ並んで真っ直ぐに東に向かっていった。その後ノスリが何度か現れたが、羽がかなり欠落した個体であった。11:54 サシバと思われるタカが内陸側を通過したが、遠くて断定できなかった。この風なら海側を通るだろうと思っていたが、一羽もやってこなかった。以前は大磯ロングビーチ方面から浮き上がってくるサシバが多かったが、何故か最近このルートをとるサシバは殆ど見られない。なおこの日、クロツグミの声を聞いた。

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サシバは美しい鳥である。しかし近くで見た場合、私にはオオタカやハイタカ、ハヤブサ等の方がむしろ美しく見える。秋にサシバが一番美しく見えるのは、超高空で太陽の光を受けてキラキラと宝石のように輝きながら並んで飛行していく姿だと思う。それは大自然の光と影が織り成す、幻想のように思える。そこにはリズムがあり、また詩情すら感じられる。そんな光景は滅多に見られないし、一旦双眼鏡から目をはなすと、二度と立ち入ることができない別世界なのだ。

春のサシバが一番美しく見えるのは、背景に桜やコブシ等白い花が咲いている美しい山間をぬうように飛行して行く姿である。 しかしそのようなアングルでサシバを観察できる場所は、かなり限定されてくる。自由に遠出ができるか、また地元でも多少山登りができればそんな場所は、いくらでもあるのだが、現実に私が今行ける場所は、湘南平と逗子の披露山公園位しかない。

秋は見上げるサシバ、春は眼下に見るサシバ、それは対象的であるというより、全く別の鳥といった方が適切だと私には思えるのだ。

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4月20日(水)   晴

9:00−11:30  笛田公園にて観察。北風がやや強かったが、視界は悪くなく、かなり期待して観察した。9:44サシバが1羽野球場の上空を常盤山方面に飛び去った。しかしその後風がかなり強くなり、サシバはまったく見られなかった。笛田公園ではサシバに関心がある人が数名(1人を除き、名前を知らないが)いる。その中の一人が7時台にサシバが通過するのを目撃したとのことであった。

4月21日(木)  曇時々晴

9:30−11:30 笛田公園。 予報では曇で、昼からは南風が強くなる予定であったが、思いのほか風は弱く、青空も見えてかなり良い条件だと思われた。しかし期待に反し、サシバは一羽も現れなかった。今年これまでに観察できたサシバは僅か10羽である。この数は例年の三分の一程度であり、到底納得できるものではない。しかし数が少なくても、格別満足度が低い訳ではない。今年出会えた10羽については、どこからやってきて、どの方向に飛び去ったのか、どのような個体であったか、飛行高度はどうだったか等を、説明することができる。(明日には忘れるかもしれないが、現時点では)数が少なければそれだけ一羽当たりの印象が強くるからなのだろう。

4月22日(金)  曇

10:00−11:00 台峰老人の畑にて観察。南南西の風がかなり強く吹いており、サシバは期待薄だと思われた。先日川上さんにお会いした時、老人の畑がすっかり整備され、素晴らしくなったとの話を聞き、見学の積もりで、出かけて見たが、予想に反し、11:00と11:08にサシバが各一羽、山崎?の方向から現れ、六国見山の左端を越えて消えていった。今年は台峰の整備関連の準備で忙しく、サシバには手が回らないとのことで、観察者はだれもいなかったが、この状態なら、南風の日でも結構の数、飛んでいるのでは?と思われる。この場所では昔は良く観察したが、久しぶりに来て見ると畑がなくなり、周辺が綺麗に整備されていて、すっかり雰囲気が変わっていた。ウグイスやメジロの囀りに混じって、ガビチョウの声がひときわ賑やかでであった。遠望する風景は昔のままで、何一つ変わっていなかったが、背後の森は随分木が間引かれたようで、すっかり明るくなっていた。

眼下に北鎌倉駅、円覚寺を望む。

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アンデスのフォルクローレの代表曲といわれる「コンドルが飛んでいく」、素晴らしい曲だと思います。この曲の原曲は三部構成になっていて、一部はアンデスの寒く乾いた山を連想させるもの悲しい旋律、二部は行進曲調のリズムそして三部は華やかな舞曲になっているそうです。

「コンドルが飛んで行く」はアメリカのフォークソング歌手サイモンとガーファンクルによって、広く世界中に紹介されたものですが、原曲第一部のごく一部分をカバーしているにすぎないそうです。

ところでコンドルはタカなのでしょうか?ハゲワシ科のタカであるという主張と、コウノトリ科の鳥であるという論争が、長いこと学者間で続いてきたそうです。1990年頃のDNA検査の結果、コウノトリ科の鳥であるとの結論に一旦はなったそうですが、その後、この検査結果は間違いであり、タカが正しいという結論に今ではなっているそうです。

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4月25日(月)  晴

8:30−10:00 笛田公園。天気晴朗、暑くなく、寒くもなく、快適な日であった。予報通り9時の時点で、南風1mであれば、来るかもしれないと若干期待して現地に向かった。しかし既に南風がかなり強く吹いており、9時を過ぎると3m程度にもなり、サシバは期待薄となった。公園内を少し見て回ったが、特別目に付くものはなかった。平成20年にはこの場所で、4月27日に6羽、28日に8羽観察した記録がある。条件さえ良ければまだ十分可能性はあるのだが。

4月29日(祝)   晴

9:00−11:30 笛田公園にて観察。ここ数日は南風が強い日が続き、観察ができなかった。連休に入ってから、サシバを見るのはあまり前例がないような気がするが、この日は風も緩やかで、空も澄んでおり、多少の期待感をもって観察した。しかしサシバは一羽も発見できなかった。

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今シーズンは結局12羽を観察したのみであった。これは東日本大震災の影響によるところが大きいのではと思っていたが、鎌倉では例年通りの数観察している観察ポイントもあり、現時点ではなんとも言えないように思える。しかし秋にはなんらかの影響がでることは避けられないだろうと予測せざるをえない。鎌倉を通過したサシバのかなりの部分は、テレビに映し出される、福島、宮城、岩手の太平洋岸地域に向かうものと推測されるからである。

体調が悪く、予定していた「港の見える丘」公園に行けなかったのは、心残りである。今シーズンも数多くの人から色々なアドバイスをいただき、本当にありがとうございました。

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