
鎌倉山のロータリーから西鎌倉方面に歩いて十分程下ったところにある、西鎌倉山住宅地の入り口のすぐ傍にこの遊水地がある。遊水地といっても、かなり小さいもので、周りは金網で二重に被われていて、いささか殺風景な感じがする。
何度も前の道を通っていたのに、こんな場所に遊水池があるとは、長いこと気が付かなかった。この遊水地は日頃はカラスやハクセキレイ、キジバト、スズメなどしか見つからないし、市街地に近く、弁当を広げるようなところもないので、格別注目するような場所でもないが、この池でバンが繁殖しているので、繁殖期に訪れると、金網越しにではあるが、その生態をじっくりと観察することができる。

バンはクイナ科の鳥で体長は32,3センチ、体の色は黒いいが、クチバシが赤く、地味ではあるが、きれいな鳥である。水面を泳いで、潜って水草や昆虫などを食べているが、陸上で休んだり、餌をとったりすることもある。

幼鳥は黄色がかった色にみえ、クチバシも赤くないので、初めて見たときは何の鳥かわからなかったが、すぐに親鳥が近ずいてきたのでバンだとわかった。その時幼鳥は3羽確認できたが、アシのなかをチョコマカと出入りしていて、なかなか可愛いものである。
バンはあまり飛翔力はないと図鑑に記載されているが、繁殖期には夫婦池でも良く姿がみられるので、ここから餌をとりにいっているのかとも思うが,あるいは別の個体なのかもしれない。
市街地にある小さい空間であるとはいえ、金網で厳重にロックされているために、外敵が進入出来ずバンにとっては結構安全な環境が確保されているのだと思われる。近くにモノレールが通っているし、タカだってこんなところに急降下するのはためらうだろう。
体調を崩しここ2,3年私はバンの繁殖を確認していないが、最近見に行っても、環境自体は変化していないようなので、恐らく毎年バンが来ているのであろう。5月から7月頃の繁殖期に訪れると、きっとヒナを連れたバンに出会える筈である。(2002年11月)
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バンのことが気になり、2003年5月16日の夕方に、バイクで遊水地に行って見た。カルガモの番が悠然と水面を泳いでいたが、草が茂っていて、他の鳥を探すのは容易ではなかった。水の量は、やや例年より少ないようだが、梅雨になれば回復するのだろう。ねばること15分、やっと茂みのなかに赤いクチバシをした鳥が動くのがチラッと目撃できた。今年もバンはきているようだ。
その後数回現場に行って見たが、バンの姿は目撃できなかった。先日は巣があるだろうと思われる地点のそばにアオサギが悠然と止まっていた。アオサギは山北にある家内の実家の池の、70センチ近い緋鯉を食いちぎるなど獰猛な面があるが、営巣(今年は確認されてはいないが)に影響を与えるような行動をとる恐れがないか、心配である。 (2003年6月8日)
その後も3,4回、遊水地を覗いてみたが、残念ながらバンの姿は発見できなかった。今年は例年より雨が少ないとのことで、池の相当部分が干上がって草が生い茂っていた。手前の水面は死角になって全く見えないが、以前バンの親子が泳いでいた場所には水面が見られない。今年は繁殖するには条件が悪いのだろうか?(2003年7月1日)
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2004年4月22日の15:30ごろ、遊水地に行ってみた。夫婦池は水が増水気味であるが、ここは相変わらず水が少なく、ところどころに水面が見えるが、中央部分は草が密生しており、水が干上がっているようであった。住宅地側の手前の比較的広い水面にはオナガガモが2羽、ゆったりと泳いでいた。一番奥に見える水面に鳥の姿が見え隠れしていたが、そのうちコンクリートの通路を歩いて、中央部の草むらに姿をかくした。その姿は間違いなくバンのオスであった。
2004年6月19日の16:00ごろ、遊水地を覗くと、なんとすぐ手前に広がる比較的広い水路をバンのオスが、盛んに行き来していた。巣やヒナは確認できなかったが、雰囲気からみて、今年は営巣しているのは、間違いないように思われる。なおカワセミの姿が一羽見られた。
2005年5月27日の16:00ごろ、遊水地に寄ってみたが、バンの姿を頻繁に観察することができた。今年は例年に無く、水量が豊富で、バンは水面をゆうゆうと泳ぎ回っていた。オスの姿しか見られなかったが、間違いなく繁殖しているような雰囲気があった。