櫻池院(ようちいん)龍安寺に触発された庭 昭和27年56歳
(和歌山県伊都郡高野町)予め連絡をとること
15石、白砂、僅かの苔の三要素よりなる枯山水。龍安寺の様式を最も忠実に踏襲している。この庭の張り詰めた空間は、塵一つなく掃き清められている。この前に佇むと、龍安寺より厳しい雰囲気の中にいる自分に気が付き、我に帰る。
重森が上記三要素のみによる枯山水の純粋さに気がついたのは、もちろん龍安寺であろうが、それを具体的な庭園の形にした初めての庭は、郷里の小倉家庭園ではなかろうか(昭和26年)。そのときに石組みの周りに少しの苔を置くことで随分雰囲気が柔らかくなることを実感したのであろうか。櫻池院の場合は寺院の庭なので苔を少なくし、玄関前の厳粛な雰囲気を損ねないようにしている。また、門から入り玄関に向かって視点が動くことを想定した配石である。重森が苦労したと思われる点は、高野山の庭には自然界との区切りの塀が無いということである。超自然的な造形物が自然界に飲み込まれないようにするためには、背後の石楠花との距離を多くとったのであろうか。この一直線に配列された緊張の庭は、重森の枯山水を理解するうえで必見である。 |